ミステリー・サスペンス

『三月は深き紅の淵を』恩田陸【あらすじと感想】「待っている人々」と読書について

幻の本をめぐるミステリー

恩田陸さん『三月は深き紅の淵を』感想。
恩田さんの著作の中でも圧倒的に好きな1冊です。タイトルからして素敵ですよね。そして表紙のイラストも好き。再読してのレビューです。

でもこの本、好きな人と全くダメな人とでレビューの評価が割れているんです。・・・なぜだ?こんなに面白いのに。

『三月は深き紅の淵を』あらすじ

読書好きにおすすめの一冊。

『三月は深き紅の淵を』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
幻の本『三月は深き紅の淵を』をめぐるミステリー短編集。

幻の本をめぐる4つの物語

『三月は深き紅の淵を』は4つの章からなる短編集です。

目次
  • 第1章 待っている人々
  • 第2章 出雲夜想曲
  • 第3章 虹と雲と鳥と
  • 第4章 回転木馬

どれも 「三月は深き紅の淵を」 という幻の本が出てきます。

たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本

4つの物語の中で私が好きなのは、「待っている人々」 です。「出雲夜想曲」 も心に残りました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
あ。やっぱり好きだな。

4つ全部のレビューを書きたいところですが、ダントツ好きな1章とその理由についてのレビューを書きたいと思います。

「待っている人々」 感想

『三月は深き紅の淵を』という本を読んでいるのに、その本が読みたくなってしまうなんて不思議な感覚。私が初めてこれを読んだとき、衝撃を受けたのを覚えています。

読んでみたい!「三月は深き紅の淵を」

主な登場人物は、鮫島巧一、金子会長、会長のお友達が3人。会社の会長の別宅に招かれた主人公・鮫島巧一が、その別宅のどこかにあるはずの本を探すお話です。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された『三月は深き紅の淵を』という本です。

恩田さんの描き方が上手いんですよね。金子会長と友人たちはそれぞれ読んだことがあって内容が小出しに書かれています。

「黒と茶の幻想」 などは、恩田さんの他の著作に実際にあるんですよね。「待っている人々」 を読んでいると、読者もその幻の本にひきつけられるんです。

ひつじくん。
ひつじくん。
こんな感覚、他では味わえないね。

『三月は深き紅の淵を』の魅力はそれだけではありません。私が改めて好きだなと思った理由は別のところにあります。・・・それは、「本を読む」 ということが肯定されているから。

読書が肯定される安心感

「待っている人々」 の空気感が好きです。

最初から最後までメインは 「三月は深き紅の淵を」 という1冊の本なんですよね。これは読書好きにはたまらない設定です。そして主人公を始め、ここに集う人たちがみんな読書を当たり前の習慣にしている。

こういう雰囲気、大好きです。
そういえば、前に読んだ江國香織さんの『なかなか暮れない夏の夕暮れ』を思い出しました。こちらも “本の中で本を読む” ということが描かれていました。

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ひだまりさん。
ひだまりさん。
上手く言えないんだけど、これらの本を読むと読書が肯定されているから安心感があるんです。

周りには 「本を読みます!」 と公言している ひだまりさん。ですが、上司とかに 「休日に本を読んでます!」 と堂々と言いづらい雰囲気があって。だからここで描かれている彼らを見ると共感するのかもしれません。

本を読む人って少数派?

第1章 「待っている人々」 には、こんな記述があります。

「今の若い人って、本読むのかなあ?」

この辺りの会話も、ひだまりさん。が この章が好きな理由です。1冊の本をめぐる話だけじゃなく、”本を読む” ということについて深く追求しているんです。

前によんだ絵本『スイミー』のレビューに、”1人で過ごす大切な時間 ” ということで少しだけ読書について書きました。

教科書の名作『スイミー』の絵本を読んだ感想。レオ=レオニが描いた壮大な海の世界レオ=レオニの絵本『スイミー』を読んだ感想とあらすじを書いています。国語の教科書にも掲載されている『スイミー』。大人になって絵本を読むと、子どもの頃には気づかなかったことが見えてきました。『スイミー』には大切なことが書かれています。協調性と一人の時間です。一人になって初めて見えたものがありました。...

なんとなく 「本を読みます!」 と大っぴらに言いづらい現代。私はまわりの人と本について語り合う・・・というのがほとんどない環境で暮らしています。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
本を読む人って少数派?
ひつじくん。
ひつじくん。
どうだろう。アンケートとったことないからわからない。

こんなに面白い本が世の中にはいっぱいあるのに、それを読まないなんてもったいない!!・・・と思ってしまいます。読む読まないは自由ですけどね。ひだまりさん。は 本をよむ側で良かった。

『三月は深き紅の淵を』は 物語に没頭する楽しさを実感できた本

『三月は深き紅の淵を』は 物語に没頭する楽しさを実感した本です。

今や恩田さんの代表作になりつつある『蜜蜂と遠雷』も、そういう意味ではどんぴしゃなのですがこっちの方が恩田さんらしいなと思います。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
改めて本を読む自分と向き合えた。

初めて読んでからずいぶん経っているのに、今も変わらず印象深く心に残っている物語です。

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ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

POSTED COMMENT

  1. 焼酎太郎 より:

    おつかれさまです。

    私もこの本好きです。
    一番、恩田陸らしいですね。このころの恩田陸は良かった。
    黒と茶の幻想とか黄昏の百合の骨とかに続いていく流れが好きです。
    きれいな女子の先輩が学園の奥のほうでなにやらごそごそしてるみたいな。
    怪しげでね、終わってみればいつもなんてことのない物語なんだけど(笑)
    ほんと雰囲気だけで読ませる作家ですわ。

  2. ひだまりさん。 より:

    おつかれさまです。
    冒険の旅から帰ってまいりました (*^o^*)
    また旅立ちます。

    「黒と茶の幻想」 良いですね。
    あと理瀬シリーズも好きです。
    私もどちらかと言うと、過去の作品の方が好きかもしれません。
    「蜜蜂と遠雷」 も夢中で読みましたが、恩田さんらしからぬ感じがしました。
    「三月は深き紅の淵を」 は、とても心に残っていていつまでも色褪せません。良い意味の恩田さんらしさが出ている作品だと思います。

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