- 東野圭吾さんの小説『祈りの幕が下りる時』あらすじと感想
- 加賀刑事の過去
- 関連する2つの事件
- 偶然と必然
- テーマは親子の絆
少しだけネタバレあります。
加賀恭一郎シリーズ
東野圭吾さんの小説『祈りの幕が下りる時』感想です。お馴染み、加賀恭一郎シリーズ。映画化もされました。
小説『祈りの幕が下りる時』あらすじ
極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
夢を叶えた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、遺体となって発見された。警察の捜査が進展しない中、加賀刑事の母・百合子の影がチラチラと・・・。
小説『祈りの幕が下りる時』感想
加賀刑事、あいかわらず鋭くてカッコイイ。でも今回はメインでは描かれていないように感じました。それがちょっと未消化。
加賀刑事の過去

『祈りの幕が下りる時』魅力は?
なんと言っても加賀さんの過去、家族にまつわることが描かれていることです。シリーズものって主人公個人のことが書かれていると気になりますよね。
松宮の目には 日本橋署に異動になり変わったように見えた恭さん。その理由は、加賀さんが小さい頃に家を出ていった母親にありました。
加賀さんの母親と聞くと、一つのエピソードを思い出します。
母が知らない土地で独りで亡くなっていたこと。そして父親も妻と同じ状況で最後を迎えようとしたこと。加賀刑事はそんな父の思いを尊重して、父の最後には立ち会わず、ひっそりと病院の外で見守っていたこと・・・。
『祈りの幕が下りる時』では 行方しれずだった母について描かれていました。
関連する2つの事件
2つの事件の関連は!?
2つの事件が発生します。
- ハウスクリーニングの従業員、押谷道子が遺体となって発見。
- ホームレスが小屋ごと焼かれた事件。
一見関係がなさそうに見える事件の関連を疑う松宮刑事。
ハウスクリーニングの従業員・押谷道子が遺体となって発見された場所は、越川睦夫という男のアパートの一室でした。越川は行方不明。松宮は 焼死体で発見されたホームレス=越川でないかとの疑念を持ちますが・・・。
いろいろと複雑でした。読んでいて頭が混乱。
綿部=越川? 後に苗村誠三なる人物もでてきて、綿部=苗村?などと混乱してしまいました。
真相は書きませんので、どうぞ本を読んで混乱して下さいませ(笑)きっとラストにはスッキリします。
偶然ではなく必然!?

怪しい人物がもう1人
松宮が捜査を進める中で、殺された押谷道子の幼なじみが容疑者として浮上します。
女性演出家の浅居博美です。
彼女と加賀刑事は知り合いで、管轄が違う加賀さんも独自に調べ始めます。その過程での松宮刑事と加賀さんのやりとりが楽しい。加賀さんから気になる一言が・・・。
ずっと気に掛かっていることがある。それは、今回の事件があまりにも俺個人に関係しているということだ。
偶然ではなく必然じゃないか
今回の事件は 加賀さんの個人に関係していると疑われることが次々とわきあがってきました。
- 加賀さんの母・百合子と綿部の関係
- 渡部はどうやって加賀刑事の所在をつきとめたのか
- 過去に浅居博美が加賀刑事に剣道を習ったのは、本当に偶然なのか
気になって読むのをやめられません。東野さんは描き方が上手いですね。サクサク読めてしまう。
テーマは親子の絆
最後は全ての人の関係性がわかりスッキリとした結末です。真相だけ見ると至ってシンプルなんですよね。様々な登場人物 (名前) が事件を複雑にしていました。
『祈りの幕が下りる時』は、親子の絆をテーマとしています。
加賀刑事の家族、浅居博美の家族・・・。離れていても絆で結ばれているものなんだと実感しました。
心が温かくなると同時に切なくもなります。特に博美の家族の絆を見ていると、それゆえに歪だと思わずにはいられなくなりました。
加賀刑事の母との絆を感じると、ぽっと心が温かくなりました。最終章にて、母のことが分かって良かったです。
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