『リング』ネタバレ感想文・あらすじ|原作小説と映画の違いを解説|鈴木光司
- 『リング』あらすじと感想文
- 原作と映画はどちらが怖い?違いを解説
- 怖くも惹かれる呪いのビデオ
- 高山竜司の魅力
- 小説で怖かったところ
- オマジナイの謎とは?
ネタバレあります。ご注意ください。
この映像を見た者は・・・。
鈴木光司さんのホラー小説『リング』読書感想です。映画にもなっていて有名な作品ですね。映像は見ていたのだけど、原作は初めて読みました。
ストーリーを知っているのに、めちゃめちゃ面白くて止まらなくなった!
これは面白かったです。ホラー小説だけど、そこまで怖さは感じませんでした。
原作「リング」シリーズ3冊目『ループ』まで読むとホラーからSFになる(?)とのことで、楽しみなんです(←とりあえず『ループ』までは読もうと思っている)
『リング』に興味を持ったのはコレが理由なんだ。
『リング』あらすじ
ホラー小説
同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。―そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。期待と恐怖に顔を歪めながら。画面に光が入る。静かにビデオが始まった・・・。
『リング』ネタバレ感想文|原作と映画の違いも解説
もしも一本のビデオテープを視聴したことによって、一週間後に命を落とすとしたら?
『リング』はビデオを見てしまったふたりの男たちが、助かる方法を探って奮闘する物語です。映画にもなっているから知っている人は多いですよね。ホラー映画では有名な作品。
僕も映画を見たから知ってるよ。ものすごく怖いやつ。
そうなんです、映画は怖いんですよ。でも原作小説とはだいぶ印象が違っていました。・・・その辺りのことを踏まえながら感想を書いています。
原作と映画はどちらが怖い?
原作小説と映画では、映画の方がより怖さを感じました。
小説はホラーというよりも、謎解きミステリーに重きを置いたものになっています。映画は視覚的なものもあって、ホラー感を強調してますよね。
小説と映画では違うところがいくつかありました。
すぐ目についたのは主人公・浅川の性別でしょうか。小説では男性だけど、映画では女性で松嶋菜々子さんが演じておられました。
小説は貞子が歩んできた人生が深掘りされていて良かったです。・・・だからかな。貞子がそこまで怖くないんですよね。
映画だと怖いイメージしかなかったから、小説を読んで良かった。
怖くも惹かれる呪いのビデオ|この映像を見た者は・・・
物語は別々の場所で同じ時間に複数の少年少女が突然死するところから始まります。死因はどれも心臓麻痺。
不審に思った雑誌記者の浅川が調べ始めるのだけど・・・。少年少女たちが見たであろう一本のビデオテープを浅川も見てしまうんです。
「この映像を見た者は、一週間後のこの時間に死ぬ運命にある。死にたくなければ、今から言うことを実行せよ。すなわち・・・・・・」
初めて『リング』(映画の方)を見たときは、このビデオテープが不気味で怖かった。
『リング』と言ったら、まず思い浮かぶのが呪いのビデオテープです。それを見たら一週間後に死ぬとか、一体どういうことなんだ?・・・と、怖くも謎に惹かれました。
最悪なことに、ビデオの最後「すなわち・・・・・・」の後に記されている回避方法が消されていたのです。
私もパニックになるかも。回避方法なにー!!
一週間後に命を落とすかもしれない浅川の心理描写にハラハラ&ドキドキしっぱなしでした。こういう心理描写が読めるのは小説の醍醐味ですね。
高山竜司|180度、印象が変わった彼の魅力
『リング』には浅川の他にもうひとり、個性あふれる人物が登場します。高山竜司、浅川の友人で大学の非常勤講師の彼がまた良いキャラでした。
「恐い? 逆だよ、期限をきられるなんておもしろいじゃねえか。罰は死・・・・・・。いいねえ、命がけじゃなければ遊びはおもしろくねえ」
呪いのビデオテープを見たのに面白がる反応はさすがです。・・・なかなか、こうはいかないですよね。
この高山という男、小説の最初の方では「最低な奴」と感じたのだけど、最後の方には「良い奴」という印象に変わりました。
180度、印象が変わるってすごくない?
印象が変わったのは、高山の教え子・舞の言葉によってなんだけど・・・。こんな描写がありました。
先生、私の前では十歳の純真な坊や、そこに第三者が加わると紳士、そして、たぶん浅川さんの前では悪党、を演じてらしたんじゃない?
そうしないと、この社会で生きていくことができなかった―。
たとえ演じていたとしても、どれも高山竜司というひとりの人間の顔なんですよね。純真な坊やでもあり、紳士でも悪党でもあり・・・。
私は浅川の視点で彼を見ていたから「最低な奴」と感じたのだけど。舞いわく、浅川の前では悪党を演じていたらしいから。
様々な顔で必死に生きていた高山が愛おしくなった。
小説『リング』で怖かったところ
ミステリー要素が多めの小説『リング』だけど、しっかりホラーを感じた描写もありました。
私が怖いと感じたのはワンシーン、高山竜司の最期です。
呪いのビデオテープを見て、命を落とした人たちはみんな苦悶の表情をしていました。何を見てそんな表情になったのか気になりますよね。
確か映画では、テレビから貞子が這い出てくるのがトラウマ級に怖かった記憶が・・・。
小説では、高山の最期に彼が見たものが描かれていました。
鏡に映った、百年先の自分の姿です。
映画の貞子よりはインパクトないかもしれないけど、想像してみてください。百年後の自分の姿を。
いきなり鏡に映ったらびっくりしますよね。・・・とゆうか、これは見たくない。
背筋がヒヤリとしたよ。
『リング』から続編『らせん』へ|オマジナイの謎とは?
『リング』を読んだら『らせん』も読まずにはいられなくなります。一見、解決されたようで、でも解決されてない謎を残した終わり方でした。
高山は命を落としたのに、なぜ浅川は助かったのか。
浅川がやったことで、高山がやらなかったこと(オマジナイの謎)は、ビデオをダビングして人に見せること?
これが正解なのかは『リング』では描かれてないんだ。
映画『らせん』を見ていると、どうやら「ビデオをダビングして人に見せること」ではないんじゃないかと察しがつくんですよね。
真相は次作『らせん』で明かされるのかな。楽しみです。