『閉鎖病棟』あらすじ・ネタバレ感想文|心に響く感動作|帚木蓬生
- 『閉鎖病棟』あらすじと感想文
- 精神科の医師が描く患者目線の小説
- 登場人物と心の病
- 彼はなぜ罪を犯したのか
- 心に訴えてくるもの
少しだけネタバレあります。
心に響く愛情いっぱいの物語
帚木蓬生さんの小説『閉鎖病棟』あらすじと感想です。とても温かみのある物語でした。ミステリー要素は少しあるものの、それが主体ではない感じです。
泣いたよ。
『閉鎖病棟』は映画化されましたね。主演で笑福亭鶴瓶さんが秀丸さんの役を演じています。他に綾野剛さん、小松菜奈さんと豪華俳優。
『閉鎖病棟』あらすじ
患者の視点から描いた小説
とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。
『閉鎖病棟』ネタバレ感想文
『閉鎖病棟』はレビューの評価が高い作品なんですよね。その理由がわかります。
しっかり心に響くものがあるんです。
それが何であるかをまじえて、レビューを書いてるよ。
精神科の医師が描く患者目線の小説
これまで帚木さんの本は絵本も含めて3冊ほど読みました。『ひかるさくら』(絵本) でも思ったことだけど、作者の優しい人柄を感じます。
帚木蓬生さんは精神科の医師で小説家。
ふだん身近に患者さんと接しているからこそ書けた物語だ。
患者さんを見る目が優しい・・・。患者さん目線で描かれていました。
「閉鎖病棟」って、あまり馴染みがなかったのだけど・・・。ここで描いている人たちは少しだけ精神を患わっていて、でもごく普通の人たちなんですよね。
みんな温かい心を持っていて、ほのぼのとした。
登場人物と心の病
ここで描かれている登場人物は、それぞれが重い過去を背負って生きていました。
こころを患った人たちが必死に生きていく様子が書かれています。みんなピュアな心の持ち主で癒されました。
前向きなんだよね。一生懸命で生きていく強さを感じたよ。
前半はそれぞれの視点で、中盤は入院患者であるチュウさんの視点で進んでいきます。
彼はなぜ罪を犯したのか
入院患者の中には根っからの悪でどうしようもない奴もいました。元暴力団の重宗です。
重宗がある人(彼)に殺されてしまう。彼を犯行に駆り立てたものは何なのか。
切なさとやり切れなさで胸がいっぱいになりました。病院内で次々と問題をおこす重宗。でも警察は何もしてくれないんです。不条理と苛立ちを感じました。
犯罪を犯してしまった彼は、他にどうしようもなかったんだね。
そうせざるをえなかった彼と、それをさせてしまった状況にやり切れなくて泣きました。
『閉鎖病棟』は心に訴えてくるものがある小説
『閉鎖病棟』は心に響くものがあります。それは、患者さんの前向きな生き方だったり、ある人に罪を犯させた理不尽な状況だったりするのだけど。
切なくなったことがありました。
入院する前はみんな何かであった。それが病院に入れられたとたんに、患者と一括りにされてしまう。
入院患者だけで劇をやることになり、台本と配役を考えたチュウさん。みんな生き生きと演じていたのが印象的でした。
患者でありながら患者以外のものになれることを訴えたかった
チュウさんの気持ちが心に刺さりました。いままで想像したこともなかったことです。私が知ろうともしなかったことを教えてくれました。
本当に患者さん目線で書かれていて心に刺さる。