ミステリー・サスペンス

『犯罪者 上下』あらすじ&感想|裁かれない悪とメルトフェイス症候群|太田愛

この記事に書かれていること
  • 『犯罪者 上下』あらすじと感想・レビュー
  • 裁かれない悪
  • 魅力的な登場人物
  • 狙われた被害者たち
  • メルトフェイス症候群と原因
  • 相馬刑事の執念

ネタバレあります。ご注意ください。

彼はなぜ 殺されなければならないのか―。

太田愛さんの小説『犯罪者 上下』感想です。初めて読む作家さん。ボリューミーですが、サクサク読めました。

ちなみに 単行本では『犯罪者 クリミナル』ですが、文庫では『犯罪者』と改題されています。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
太田愛さんは ドラマ『相棒』の脚本を手がけている方。

面白くないわけがない。『相棒』面白いから期待して読みました。案の定、期待を裏切りません。『相棒』を思わせるキャラや、ドキドキの展開。めちゃめちゃ面白かったです。

『犯罪者 上下』あらすじ・評価

『相棒』の脚本家が描くミステリー小説

本の評価

おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと10日生き延びれば助かる」と警告される。その直後、謎の暗殺者に襲撃される修司。なぜ自分は10日以内に殺されなければならないのか。はみだし刑事・相馬によって命を救われた修司は、相馬の友人・鑓水と3人で事件の真相を追う。

『犯罪者 上下』感想・レビュー

感想をひとことで言うと、めちゃめちゃ面白い!ですが、なかなか深い小説でもありました。その深い部分が 「裁かれない悪」。

ひつじくん。
ひつじくん。
ブラックだと知っているのに、グレー止まりなんだね・・・。

全ては証拠、物証。それがない限りは犯罪を証明できない。理不尽さを感じました。

『相棒』を思わせる 「裁かれない悪」

『犯罪者』を読んで 1番に感じたことは 「裁かれない悪」 について。これはドラマ『相棒』でも たまに描かれたりします。

真実を知っていても、証明できない限り全ての 「悪」 を裁くことは不可能ということ。

ふくざつ、ふくざつ、あぁーっと叫びたくなるくらいモヤモヤします。・・・くやしい。

結局、彼ら (大物政治家・磯辺とその私設秘書・服部) にはお咎めなしなのか。リアルというか、なんと言うか。

ひつじくん。
ひつじくん。
許されないことをしていても、反省の色なし。

裏を返せば これも本書の魅力なんですけどね。これぞ『相棒』の脚本家・太田愛さんの小説って感じです。

『相棒』でも全ての犯罪が裁かれているわけではなくて、これまで 右京さんでも立件できないものがありました。見ているこっちは悔しいけど、致し方ない。

そういうのが本書『犯罪者』でも描かれているんです。全ての悪を裁けない。黒だとわかっていても・・・。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
願わくば、いつかは裁かれてほしい。

はみ出しものだけど魅力的な登場人物

ところどころ『相棒』を連想しました。「裁かれない悪」 もそうですが、『相棒』の右京さんと『犯罪者』の相馬刑事、鑓水が かぶります。

魅力的な登場人物

建設業で働く繁藤修司 (通り魔事件の被害者で生き残り)、刑事の相馬亮介、フリーライターの鑓水七雄。

どのキャラも味のある人物でした。『相棒』を思わせるコンビネーションの良さで事件の真相へと迫ります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
鑓水 (やりみず) が好き。

彼は探偵役のような感じで、鋭い推理を繰り広げる人。相馬刑事と鑓水 (元テレビマン) は 2人とも組織に馴染めず、周りから浮いていました。

ひつじくん。
ひつじくん。
特命係という陸の孤島に追いやられている『相棒』の右京さんと似た匂いがする。

『相棒』を連想せずにはいられない雰囲気を持った小説。それが、私のような『相棒』ファンには たまらなく嬉しいです。

狙われた被害者たち

物語は 繁藤修司が通り魔事件に巻き込まれるところから始まります。彼だけ運良く生き延びることができた。

襲われたのは修司を含む5人の老若男女です。みんな誰かと待ち合わせをしていて通り魔に遭遇しました。犯人はその後、クスリで死亡しているのが発見される。

助かった修司の元にある男が謎の言葉を残していきます。

あと十日。十日、生き延びれば助かる。生き延びてくれ。君が最後の一人なんだ

ひつじくん。
ひつじくん。
通り魔だったはずの事件が、どうもそうではないらしいね。

この言葉を残して去っていったのは、中迫武、タイタスフーズ営業課長でした。疑問に思った修司と相馬刑事、鑓水は 修司を匿いながら事件の真相を追うことになります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
面白い展開になってきた。

暗殺者・滝川と名乗る謎の男が修司を追う。修司と相馬と鑓水 (後半では中迫も加わり)、逃げながらも、とんでもない真実が明らかになる。

面白すぎてヤメ時が分からなくなりました。ミステリー感もあり、ハードボイルドなシーンもあり、ドラマ向きな感じです。

それにしても滝川が怖い。滝川だけでなく、彼を雇って殺しを指示している人物や、他人の命を何とも思ってない人たち。

価値観の違いと ひとことでは片付けられない怖さと、もはや理解不能な人たちが描かれていました。

メルトフェイス症候群|原因は 「マミーパレット」

『犯罪者』では、「メルトフェイス症候群」 なる奇病に感染した子どもが描かれています。

メルトフェイス症候群

原因不明の高熱、眼球を含む顔面の組織が次々と壊死するという恐ろしい奇病。起炎菌はバチルスf50。

「メルトフェイス症候群」 は、実際には存在しない病で、太田さんの創作です。でも恐ろしくて、こんな病があるの?と検索してしまいました。・・・なくて良かった。

この奇病が、実は修司が巻き込まれた通り魔事件に関係してきます。

スマイルキッズキャンペーンの大号令の下に、タイタスフーズが行った『マミーパレットプロジェクト』。それが、こんな恐ろしい結果を生もうとは・・・・・・。

「メルトフェイス症候群」 は 「バチルスf50」 という菌が原因で感染する病です。この 「バチルスf50」 が、タイタスフーズが行った『マミーパレットプロジェクト』の製品に混入されていました。

タイタスフーズが開発した離乳食のレトルト 「マミーパレット」 です。

タイタスフーズ側と、それの認可に関わった大物政治家たちは事実を隠蔽しようと躍起になる。・・・その結果、通り魔事件が起こってしまったわけです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
本当に酷い。「メルトフェイス症候群」 に感染した子どもを心配せず、会社や自分の保身のために隠蔽、果ては殺人事件まで画策するなんて・・・。

タイタスフーズ内部では隠蔽する雰囲気の中、営業課長・中迫だけは 真人間でした。『マミーパレットプロジェクト』を進めていた人ですが、その事実に責任感を感じて最後は告発をしようとします。

中迫も魅力的な登場人物です。

相馬刑事の執念

相馬刑事の執念を感じました。彼は警察組織から浮いた人間です。『相棒』で言うところの右京さんみたいな。

組織では はみ出しものでも優秀な刑事。交通課へ異動 (左遷) になった相馬は、それでも警察を辞めませんでした。

警官でなくなれば、このさき事件に関する情報に近づくことさえできなくなる。

相馬刑事の執念です。交通課でも警官であり続ければ、事件の情報に近づける。好感度大。こういう人、好きです。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
根っからの刑事さんなんだね。

『犯罪者』は 絶品だったので読む価値あり

修司、相馬、鑓水の3人がでてくる『犯罪者』の続編。相馬にスポットを当てた『幻夏』、鑓水にスポットをあてた『天上の葦』と続きます。

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ひつじくん。
ひつじくん。
ちなみに本作『犯罪者』は修司にスポットが当たっていたよ。

『犯罪者』絶品でした。Amazonのレビューも読みましたが、そもそものレビュー数が少ない。この小説、もっと評価されても良い気がします。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
『相棒』並に面白かった。
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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら