読まなきゃ損!心に残った本15選|2019年に読んだ面白かった小説
2019年に読んで心に残った小説を15冊ご紹介します。とても面白かったのでおすすめ。読まなきゃ損!です。
- SF・ファンタジー (5冊)
- ミステリー (6冊)
- 名作・ほっこり癒され小説 (4冊)
今年もたくさんの素敵な小説に出会えたよ。
おすすめSF・ファンタジー|世界観が素晴らしい小説
まずは、おすすめSF・ファンタジーより5冊です。どれも世界観が素晴らしく、いつまでも小説に浸っていたくなりました。
『火星ダーク・バラード』上田早夕里
ハードボイルドなSF小説
火星治安管理局の水島は 神月璃奈とともに、凶悪犯ジョエル・タニを列車で護送中、奇妙な現象に巻き込まれて意識を失った。その間にジョエルは逃亡、璃奈は射殺されていた。疑いをかけられた水島は個人捜査を開始するが、その矢先、アデリーンという名の少女と出会う。
上田早夕里さんのデビュー作。小説の舞台は火星です。ピリッと怖くて圧倒される世界観が魅力。読むと止まらなくなりました。上田さんのSF小説にハズレはありません。
上田さんが描く小説の世界観はどれも完璧で絶品。
意図的に作られた新人類や、脇役なのに存在感があるジョエルが気になりました。
『秋の牢獄』恒川光太郎
この日に終わりはあるのか―?
11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその日を何度もくり返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び11月7日が始まるのだった。このくり返しに終わりは来るのか。
表題作 「秋の牢獄」 を含む3つの短編集です。テーマは 「牢獄」。果たして主人公たちは牢獄から出ることができるのか。時間のループは、ちょっと怖いです。でも楽しそう。
3つの物語どれも良かったよ。
美しくて残酷な世界にハマりました。恒川さんが描く世界は、怖いけど魅力があって憧れます。
『know』野崎まど
超情報化社会の未来日本
2081年の日本。情報があふれる社会で人造の脳葉 “電子葉” の移植が義務化されていた。情報庁の官僚、御野・連レルは、行方不明の恩師である道終・常イチが残した暗号により、ひとりの少女と出会う。世界が変わる4日間が始まった―。
ラノベのような読みやすさ。舞台は、超情報化社会で 「電子葉」 を埋め込むことを義務化された世界です。ぶっ飛んだ世界ですが、「知る」 ということを通して 「生きること」 を深く考えたくなる物語でした。
人は 「知ること」 に対して、どこまでもどん欲。「知りたい」 と思うのは人間の本質なんだね。
個人の情報までもが筒抜けっていうのは怖いけど。ある意味ディストピアかもしれません。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック
映画『ブレードランナー』原作
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では 生きた動物を持っているかどうかが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡してきたアンドロイドの首にかけられた莫大な懸賞金を狙って、決死の狩りをはじめた。
海外作品から有名な1冊。読みやすくて、なかなか深い物語でした。テーマはアンドロイドと人間です。アンドロイドを通して人間の本質に迫った小説。
アンドロイドが人間と見た目の区別がつかなければ、どうやって判断したらいいんだろ。
AIが人間のように発達した社会では、人間と大きな違いはないのかもしれません。AIと人間が共存していける社会が理想ですね。
『ソードアート・オンライン1 アインクラッド』川原礫
禁断のデスゲーム
主人公・キリト (桐ヶ谷和人) は 次世代MMO『ソードアート・オンライン (SAO)』にログインした約1万人のユーザーと共に苛酷なデスバトルに参加させられる。クリアするまでログアウトできない、ゲームオーバーは本当の“死”を意味するゲームだった・・・。
アニメ化もされているライトノベルです。「ソードアート・オンライン」 というゲームの中に閉じ込められて、デスゲームがくり広げられる。でも怖くはありません。
ジャンルはファンタジー。人間ドラマが魅力だった。
泣けてほっこりする人間ドラマ、アインクラッドの世界観が良くてハマりました。
おすすめミステリー|面白すぎて止められない小説
おすすめミステリー6冊です。面白すぎて止められなくなりました。ドキドキが止まりません。
『まほり』高田大介
長篇民俗学ミステリ
大学院で研究を続けている大学生の勝山裕。飲み会ででた都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか?そして「まほり」の意味とは?
めちゃくちゃ面白かったです。ホラーよりのミステリー小説。特にラスト 「まほり」 の意味がわかったとき震えがきました。『図書館の魔女』が好きすぎて、マツリカを感じながら読んでしまう。
マツリカは語られなかった言葉からも推理をくり広げる人。
高田大介さんの本は言葉が深い。民俗学ミステリということで、その分野でも楽しめます。
『希望の糸』東野圭吾
加賀恭一郎シリーズ
閑静な住宅街で喫茶店を営む女性・花塚弥生が殺された。捜査線上に浮上した常連客だった男・汐見行伸。災害で2人の子供を失った彼は 深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に若き刑事・松宮脩平が挑む。
加賀恭一郎シリーズです。もうそれだけでもファンにはたまりませんね。テーマは 「家族」。今回は加賀さんの従兄弟・松宮刑事にスポットが当たっていました。温かな気持ちがあふれてきて泣けます。
大切な人を思う気持ちは尊い。
すれ違っていた家族が再生されていく様子は心地が良かったです。まさに希望の糸。ちゃんと繋がっているんですよね。
『神の手』久坂部羊
テーマは安楽死
外科医・白川は 末期がん患者・古林章太郎の激痛を取り除くため安楽死を選んだ。だが章太郎の母・康代はそれを告発。殺人か過失致死か、状況は限りなく不利だったが謎の圧力で白川は不起訴になった。背後に安楽死法制化の画策と世論誘導を行う “センセイ” の影が・・・。
医師が主人公の 「安楽死」 を扱ったミステリー小説です。それによって神の手になるか、それとも死神の手になるかは紙一重。「安楽死」 法制化の裏でくり広げられる暗躍では、人々の自分勝手な思惑があふれていました。
なかなか興味深い。
リアル感・ミステリー感もあって読み応えあり。何よりテーマを深く掘り下げているのが良かったです。
『コンビニ人間』村田沙耶香
第155回芥川賞受賞作
コンビニのアルバイト店員18年目・古倉恵子。36歳未婚。彼氏なし。毎日の食事はコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日 婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて・・・。
楽しそうな話?と思って読んだら、めちゃめちゃヘビーでダークな物語でした。・・・そうですよね、村田沙耶香さんですものね。でも面白かったです。コンビニ店員を描いた『コンビニ人間』というタイトルがピッタリな小説。
このダーク (?) な雰囲気が好き。
「普通」 ってなんだろうと思いました。自分の 「普通」 が 他人の 「普通」 とは限らない。逆も然りです。これはすごくオススメな1冊。
『カエルの小指』道尾秀介
『カラスの親指』の続編!
詐欺師から足を洗い、実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで、再びペテンの世界に戻ることを決意した。まひろ、やひろ、貫太郎らと「超人気テレビ番組」を巻き込んだド派手な大仕掛けを計画するが・・・。
『カラスの親指』の続編、壮大なペテンを描いたお話です。さすが道尾さん。ペテン、ペテン、ペテンの連続でした。騙しているつもりが騙されていたという前作を思わせる展開です。これが面白いんですよね。
道尾さんの小説は タイトルの意味を考えるのも楽しい。
タイトルに深い意味を含めた小説が多いイメージです。今回も意味深で期待を裏切りません。
『フーガはユーガ』伊坂幸太郎
彼らには不思議なアレがある
ユーガ (常盤優我) には、双子の弟・フーガ (風我) がいた。彼らの身に異変がおきたのは、誕生日の日だった・・・。ファミレスで1人の男と向き合ったユーガは、不思議な現象について語り出す。
フーガとユーガ、不思議な力を持つ双子が主人公のお話です。優しさと切なさの余韻があとをひく。ラストはなんとも言えない気持ちになりました。・・・せ、切ない。
泣けてくる。優しい気持ちにもなれた。
それにしても伊坂さんが描く 「悪」 は半端ないですね。周りの人たちの人生が狂わされる。こんな人たちが周りにいないことを願うばかりです。
名作・ほっこり癒され小説
最後に太宰治さんの名作1冊と、ほっこり癒され小説より3冊を厳選しました。
『人間失格』太宰治
転落していく男の半生
東北の名家に生まれた青年・大庭葉蔵の手記。3枚の写真と共に渡されたそれには、彼の陰惨な半生が描かれていた。他人がどう思っているかわからず、自分を偽ってきた少年時代。次々、女性と関わりを持ち、やがて酒と薬物に溺れていくのだった・・・。
意外と読みやすかったです。主人公・大庭葉蔵には 全く共感出来なかったけど面白かった。タイトルが意味深ですね。確かに彼は自堕落でどうしようもないけど、「人間失格」 ではない。
葉蔵は彼なりにたくさん悩みながら生きてきた。
葉蔵を通して人間の弱さが描かれていて、胸が痛みました。でも人って何かしら弱い部分を持ち合わせているものですよね。名作でした。
『東京すみっこごはん 楓の味噌汁』成田名璃子
楓のお父さんが初登場!?
東京の一角にある共同台所 「すみっこごはん」 。今日も様々な人たちが訪れる。SNS映えを気にする読者モデル、普通の生活すら困難な中学生、修行中の料理人、そして思いがけなかった人・・・。天井の雨漏りをきっかけに、すみっこごはんの2階に足を踏み入れた常連たち。そこで見つけたノートの中身とは!?
東京すみっこごはんシリーズ4作目、3つの連作短編集です。このシリーズはどれもほっこりしてオススメです。今回は3話とも、ちょっぴり切なくて苦味がありました。でもキレイごとばかりじゃないから人間味を感じます。
「SUKIYAKI」を読んで、常連の柿本さんがより好きになった。
登録人物が魅力なんですよね。ほっこりしたいとき、泣きたいときにオススメの小説です。
『永遠の出口』森絵都
紀子の成長記
誕生日会の小さな事件、恐ろしい担任との闘い、グレかかった中学時代、高校での切ない初恋・・・。どこにでもいる普通の女の子・紀子の、小学3年から高校3年までの9年間を描いた成長記。
ひとりの少女の成長記を描いた物語です。最初はハマれなくて、でもその理由がわかったとき、これはすごい本だ!と思った1冊。・・・読んでいると昔のことを思い出してしまうんです。私の黒歴史。
若気の至り・・・というか、今考えると恥ずかしいことを堂々としていたなと。
きっと主人公の紀子と自分が重なるのでしょうね。恥ずかしいことも全て含めて 「わたし」。それでも一生懸命、生きていたということに気づきました。
『宇宙のみなしご』森絵都
思春期の中学生を描いた物語
中学2年生の陽子と1つ歳下の弟・リンは いつも2人で自己流の遊びを生み出してきた。新しく見つけた遊び。それは真夜中に近所の家に忍び込んで屋根にのぼること。同じクラスの七瀬さんも加わり、3人で屋根にのぼっていたら、いじめられっ子・キオスクに見られてしまい・・・。
鋭くリアルな子どもの気持ちを描いている1冊です。登場人物の七瀬さんを見ていたら、学生のころと社会人に成り立てのころの私を重ねていました。一生懸命、背伸びをしていたころの自分です。
そういう時期もあったな。懐かしい。
「屋根のぼり」 が楽しそうでした。最後の 「屋根のぼり」 をした4人が手を繋ぐシーンが好きです。
読まなきゃ損!2019年に読んだ小説イチオシはこの3冊
今日紹介した本の中で特に良かったものが、こちらの3冊です。
特に高田大介さんの新作『まほり』。最高でした。来年は『図書館の魔女』新作を期待してます。