中山七里さんの小説の中でダントツ好きなシリーズ、悪辣弁護士・御子柴礼司。このシリーズが最高に面白い!
もくじ
悪魔の弁護士・御子柴礼司シリーズ読む順番と小説の魅力
悪辣&悪魔の弁護士・御子柴礼司。中山七里さんの小説の中では人気のシリーズとなっています。
- 『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』
- 『追憶の夜想曲 (ノクターン)』
- 『恩讐の鎮魂曲 (レクイエム)』
- 『悪徳の輪舞曲 (ロンド)』
- 『復讐の協奏曲 (コンチェルト)』
主人公は御子柴礼司。高額な弁護料を請求する悪辣弁護士です。でも優秀なんですよね。幾度もの法廷で判決をひっくり返すから、警察や検事には嫌われている。
小説の魅力は御子柴礼司、その人にあります。
犯罪者で弁護士。普通、その2つはイコールで結ばれることはないかもしれまん。このシリーズでは成り立っていて、それが面白いんです。
悪辣弁護士の経歴に驚愕|魅力①

御子柴礼司の意外な経歴
彼の経歴が意外でした。幼少期に猟奇殺人を起こし、日本中を震撼させた死体配達人・園部信一郎。少年院に送致された後に御子柴礼司と名前を変え、やがて弁護士になった人物です。

彼は かつて死体配達人と呼ばれた犯罪者なのです。それなのに弁護士になれるものなのかと びっくり。
リアルだったら、絶対近寄りたくない・・・。そんな彼に魅力を感じるのは、彼の心情が描かれている小説ならではなのかな。
テーマは 「贖罪」|魅力②

シリーズ通してのテーマが 「贖罪」。
これは小説のテーマでもあり、また主人公・御子柴が生きている限り、彼の永遠のテーマでもあります。そのことを彼自身が理解していて、小説の端々に描かれている。
彼を通して描かれている 「贖罪」 には、重みが感じられて深い。言葉で贖罪の気持ちを表すのではなく、彼の行動などで伝わってくるんですよね。

目を離せない法廷シーン・どんでん返し|魅力③

どんでん返しありの法廷シーンが面白くて目を離せない。
七里さんが描く法廷シーンが面白すぎます。御子柴弁護士の弁論にひきつけられ、法廷のピリピリ雰囲気が感じられる。しかも どんでん返しもあるからクセになります。

コテンパンにやられる検事が可愛そうになりました。淡々としている御子柴は 検事に嫌われても、どこ吹く風で気にしないのですが。
御子柴礼司シリーズ あらすじ・簡単なレビュー
読む順番と小説の魅力がわかったところで、1冊ずつのあらすじ、簡単なレビューを踏まえて紹介していきます。
- 『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』
- 『追憶の夜想曲 (ノクターン)』
- 『恩讐の鎮魂曲 (レクイエム)』
- 『悪徳の輪舞曲 (ロンド)』
- 『復讐の協奏曲 (コンチェルト)』
まずは記念すべき第1冊目『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』から。
『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』
御子柴礼司シリーズ1
弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。警察は 御子柴に辿りつき事情を聴く。だが 彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった―。
シリーズ1『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』。御子柴が死体を遺棄するシーンから始まる冒頭に衝撃を受けました。めちゃめちゃ型破りな弁護士。面白い予感しかしません。彼の少年院時代の回想も描かれていて、より人間味を感じました。

『追憶の夜想曲 (ノクターン)』
御子柴礼司シリーズ2
少年時代に凶悪事件を犯し、弁護は素性の悪い金持ち専門、懲戒請求が後を絶たない不良弁護士・御子柴。彼は誰も見向きもしない、身勝手な主婦の夫殺し控訴審の弁護を奪い取る。御子柴が金目のない事件に関わる目的とは?
シリーズ2『追憶の夜想曲 (ノクターン)』では、因縁の検事・岬恭平との法廷対決が見ものです。どんでん返し&波乱の展開。特に最終弁論の法廷シーンは衝撃でした。彼は なぜ身勝手な主婦の弁護を奪い取ったのか? その理由に注目です。

『恩讐の鎮魂曲 (レクイエム)』
御子柴礼司シリーズ3
韓国船の沈没事故で女性から救命胴衣を奪った日本人男性は 刑法「緊急避難」が適用され無罪となった。そして医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕された。御子柴は弁護人に名乗り出るのたが・・・。稲見は本当に殺人を犯したのか?
シリーズ3『恩讐の鎮魂曲 (レクイエム)』では、刑法第37条 「緊急避難」 が取り上げられていました。裁かれなかった罪と贖罪のあり方が深い。そして医療少年院時代の恩師・稲見が殺人容疑で逮捕されます。稲見は本当に殺人を犯したのか?

『悪徳の輪舞曲 (ロンド)』
御子柴礼司シリーズ4
14歳で殺人を犯した悪辣弁護士・御子柴礼司を妹・梓が30年ぶりに訪れ、母・郁美の弁護を依頼する。郁美は、再婚した夫を自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕されたという。接見した御子柴に対し、郁美は容疑を否認。名を変え、過去を捨てた御子柴は 肉親とどう向き合うのか。そして母も殺人者なのか?
シリーズ4『悪徳の輪舞曲 (ロンド)』。今回は今までになく、御子柴の心が揺れ動きます。弁護することになったのは、彼の母・郁美でした。再婚した夫を自殺に見せかけて殺害した容疑で逮捕されたのです。母は本当に再婚した夫を殺めてしまったのか?

『復讐の協奏曲 (コンチェルト)』
御子柴礼司シリーズ5
弁護士・御子柴礼司の事務所に“この国のジャスティス”と名乗る者の呼びかけに応じた800人以上からの懲戒請求書が届く。処理に忙殺されるなか事務員の洋子は、外資系コンサルタント・知原と夕食をともに。翌朝、知原は遺体で見つかり、凶器に残った指紋から洋子が殺人容疑で逮捕された。弁護人を引き受けた御子柴は、洋子が自身と同じ地域出身であることを知り・・・。
シリーズ5『復讐の協奏曲 (コンチェルト)』では、事務員・洋子にスポットが当てられています。圧巻の法廷シーンは面白くてドキドキしました。今まで謎だった洋子の過去や、御子柴の元で働くことになった経緯が明らかに・・・

シリーズ以外にも登場|御子柴礼司との夢の共演
シリーズ以外にも御子柴弁護士が登場する小説があります。全てではないですが、その中から数冊をご紹介。
『合唱 岬洋介の帰還』
洋介と御子柴の最強タッグ!?
幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した “平成最悪の凶悪犯” 仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、取り調べ中に突如意識を失ってしまう。目を覚ましたとき目の前には仙街の銃殺死体があった・・・。
ピアニスト・岬洋介シリーズ『合唱 岬洋介の帰還』でも 御子柴礼司が登場します。なんと今回は 岬洋介&御子柴礼司 VS 岬恭平!! 洋介と御子柴の最強タッグと同時に、岬・父息子の法廷対決まで楽しめちゃう1冊。刑法第39条を扱ったシリアスな内容でした。

『連続殺人鬼カエル男ふたたび』
渡瀬&古手川コンビ再び
街中を震撼させたカエル男連続猟奇殺人事件から10ヶ月。事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。埼玉県警の渡瀬&古手川コンビは現場に向かった。ふたたび起こる悪夢の先にあるものは―。
渡瀬&古手川刑事の『連続殺人鬼カエル男ふたたび』。カエル男シリーズ2作目です。ほんの少しですが、御子柴弁護士も登場しました。こちらも刑法第39条を扱っています。前作に続き、グロい、怖い、目を背けたくなる・・・という三拍子揃いの小説。

『翼がなくても』
御子柴弁護士 VS 犬養刑事
左足をなくしたアスリート・市ノ瀬沙良。彼女は再び羽ばたけるのか?
『翼がなくても』はアスリートのお話でした。左足をなくしたアスリート・市ノ瀬沙良。彼女の弁護を引き受ける御子柴の影がチラチラと・・・。御子柴さんは刑事たちに嫌われているんですよね。ことごとく判決をひっくり返すから しょうがないのかな。

御子柴礼司シリーズ、まずは『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』から
悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズ、まずは『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』から読みましょう。
- 『贖罪の奏鳴曲 (ソナタ)』
- 『追憶の夜想曲 (ノクターン)』
- 『恩讐の鎮魂曲 (レクイエム)』
- 『悪徳の輪舞曲 (ロンド)』
- 『復讐の協奏曲 (コンチェルト)』



