『合唱 岬洋介の帰還』あらすじ・ネタバレ感想|洋介・御子柴礼司vs恭平|中山七里

- 『合唱 岬洋介の帰還』あらすじと感想文
- 豪華キャスト夢の共演
- 刑法第39条が絡む2つの事件
- 岬洋介の帰還と決意
- 白熱の法廷シーン
ネタバレあります。ご注意ください。
豪華キャスト夢の共演!!
中山七里さんの小説『合唱 岬洋介の帰還』感想です。大好きな登場人物がたくさん出てきました。これは すごいですね。
岬洋介、御子柴礼司、犬養隼人、渡瀬&古手川・・・。

犬養さんは ほんの少しの登場だったよ。
ピアニスト・岬洋介シリーズ。彼が起訴された友人のために帰国します。「音楽ミステリー」 ですが、彼のピアノ演奏は描かれておらず。でも面白かったです。
『合唱 岬洋介の帰還』あらすじ
「音楽ミステリー」 シリーズ
幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した “平成最悪の凶悪犯” 仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、取り調べ中に突如意識を失ってしまう。目を覚ましたとき目の前には仙街の銃殺死体があった。指紋や硝煙反応が検出され、身に覚えのない殺害容疑で逮捕されてしまう天生。そんな彼を救うため、あの男が帰還する!!
『合唱 岬洋介の帰還』ネタバレ感想・レビュー
読み応えがありました。どんでん返しの帝王・中山七里さんの小説ですが、今回は どんでん返しはありません。
この本の魅力は 豪華キャストの共演! それだけでも読むのが楽しく嬉しかったです。岬洋介の音楽ミステリー・シリーズ。
洋介は将来を有望視されているピアニストです。父は検察官の岬恭平。悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズでもお馴染みですね。
洋介は父の希望で司法試験を受け、トップで合格。でも修習期間を終えると裁判所にも検察庁にも勤めず、ピアニストとしての道を選ぶ。

父親には勘当されて没交渉だったけど、本作で父息子の法廷シーンが描かれていたよ。
豪華キャスト夢の共演|岬洋介、御子柴礼司が結託!?

『合唱 岬洋介の帰還』は 豪華キャスト夢の共演でした。七里さんの小説は 登場人物のリンクが多い。ファンには嬉しいですよね。
岬洋介を中心に、悪辣弁護士・御子柴礼司、刑事・犬養隼人、刑事・渡瀬&古手川、解剖医・光崎藤次郎までもが登場しちゃいます。
キタ━━ヾ(≧∀≦)ノ━━!!
キャスト大集合。岬洋介もカッコ良いことながら、御子柴礼司、渡瀬&古手川、犬養隼人です!! ・・・めっちゃ豪華。

今回は岬洋介と御子柴が結託して被疑者の弁護にあたってた。
検察官は もちろん岬恭平。父子の法廷シーンが見ものでした。
刑法第39条が絡む2つの事件

主に2つの事件が絡みながら進んでいきます。そして 2つに共通するのが 刑法第39条でした。

責任能力がない場合には 罰することができないという法律だね。
七里さんの小説で刑法第39条を扱ったものと言えば、渡瀬&古手川が大活躍する『連続殺人鬼 カエル男』シリーズ。薬丸岳さんの小説『虚夢』でも扱っています。



交差する2つの事件
1つは、無惨な殺人事件。幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した犯人・仙街不比等。捜査は渡瀬&古手川刑事が担当しました。
「確信犯ですよ。あいつは間違いなく刑法第三十九条を逃げ道に用意した上で五人を殺しています」

仙街は 刑法第39条を狙っていたフシがある。古手川刑事が悔しそう・・・。
もう1つの事件は、検察庁の検事・天生の執務室で起こりました。送検された被疑者・仙街の取り調べ中の出来事です。
仙街が拳銃で撃たれて、被疑者死亡。
事件の直前まで執務室にいたのは、天生検事、検察事務官・宇賀麻沙美、被疑者・仙街の3人です。
銃声が聞こえたとき、宇賀は席を外していました。執務室には 拳銃を握りしめて意識を失っていた天生検事、撃たれて死亡した仙街の2人だけだったのです。
意識を失っていて仙街を撃った記憶がない天生検事。彼はクロかシロか。
奇しくも仙街が起こした事件と同様の (刑法第39条を思わせる) 状況になってしまいました。
検察庁で私刑を思わせる事件が起こるなんて前代未聞ですね。意外な展開に面白くなってきたとワクワクしました。
岬洋介の帰還と決意

海外にいた岬洋介が帰国しました。修習期間中、天生が被告人になったら助けに行くと約束した洋介。彼は約束通り助けにきたのです。
「約束を果たしに来ました」

洋介のこの言葉、ちょーかっこいい。
ピアノの海外公演を全てキャンセルして友人の窮地を救おうとします。彼にとっては 「何でも話せる友人 (天生検事)」 は 何よりも大切な人なんですね。
そして悪辣弁護士・御子柴礼司に天生検事の弁護を依頼するのです。

岬洋介&御子柴礼司。最強タッグだ。
天生を起訴するのは岬恭平。洋介の父親です。苦い気持ちを引きずった父親に対し、息子は何のその。自分の進む道を歩んで、確固たる決意がある人は強いです。
父親と向き合ったとき、洋介が言った言葉が印象的でした。
「ピアニストである以前に一人の人間です。友人が苦境に陥っている時に何もせず鍵盤を叩いているだけだったら、僕は一生自分を許せなくなる」
たとえ世界中を敵に回しても彼を護る。
やっぱり かっこいいな、洋介。彼の決意を垣間見た瞬間でした。
白熱の法廷シーン|次席検事・岬恭平vs特別弁護人・岬洋介

岬次席検事は 被告人・天生に対し懲役16年を求刑。対し、御子柴弁護士は無罪を主張します。

2人の裁判は見もの。
悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズに、岬検事が登場します。彼にとって御子柴は因縁の相手なんですよね。

七里さんが描く法廷シーンが好きです。御子柴の弁論に毎回 あ然とする。でも今回のメインは岬洋介です。途中から御子柴が法廷に立てなくなり選手交代。

特別弁護人というのがあるんだね。
御子柴弁護士に代わり、なんと岬洋介が特別弁護人として法廷に立ちました! 白熱の父子の法廷シーンです。
このシーンだけでも読む価値ありました。なかなか見れないですもんね、親子法廷対決は・・・。
スマートで鮮やかな弁論でした。この弁論までに行き着くまでの様々なことが蘇ります。
- 仙街事件について 洋介が渡瀬&古手川刑事の元を訪ねたこと
- 洋介と古手川刑事が聞き込みをする中で過去のある事件にたどり着いたこと
- 過去のある事件の担当刑事が犬養隼人だったこと
犬養刑事と解剖医の光崎教授までも証人として法廷に立ちました。ほんとに豪華共演。音楽で言うところの 「合唱」 そのものです。
果たして、被告人・天生に対する無罪の合唱は うまく共鳴するのか。
『合唱 岬洋介の帰還』ここが魅力
中山七里さんの小説『合唱 岬洋介の帰還』の魅力・面白かったところをまとめました。
推理やミステリー感よりも、キャストの共演というのが1番の魅力。中山七里さんが描く登場人物は 味があって魅力的な人ばかりです。

おすすめの1冊だよ。
ちなみに、御子柴礼司、渡瀬&古手川、犬養隼人が登場する小説はこちら。
- 御子柴弁護士 →『贖罪の奏鳴曲』『追憶の夜想曲』(←vs岬検事)『恩讐の鎮魂曲』『悪徳の輪舞曲』など
- 渡瀬&古手川刑事 →『連続殺人鬼カエル男』『連続殺人鬼カエル男ふたたび』など
- 犬養刑事 →『切り裂きジャックの告白』『翼がなくても』(←御子柴も登場) など
『合唱 岬洋介の帰還』中山七里ファンには たまらない小説!
ここまで登場人物のリンクが楽しめる小説というのは 他にないでしょうね。中山七里ファンには嬉しい1冊。
あっという間に読んでしまいました。欲を言えば 上下巻くらいにして、もっと読んでいたいくらいです。

特に岬洋介と御子柴礼司ファンは楽しめるよ。
ただ、七里さんの小説で よくあるどんでん返しを求めてしまうと肩透かし。犯人は想像どおりでした。・・・現場にいた人数が限られてたワケだから、まあ、そうなりますよね。
小説のラストに岬洋介シリーズ最新刊の予告が書かれていました。彼はもう少し日本に留まるようです。

楽しみが1つ増えた。



