- 東野圭吾さんの小説『雪煙チェイス』あらすじと感想
- 里沢温泉スキー場で雪煙チェイス
- 根津昇平と瀬利千晶のコンビ
- 一寸の虫にも五分の魂
- 『恋のゴンドラ』とのリンク
少しだけネタバレあります
予測不能な追跡劇。
東野圭吾さんの小説『雪煙チェイス』感想です。『白銀ジャック』『疾風ロンド』に続き、ゲレンデを舞台にしたミステリー。根津さん&千晶さんも登場して懐かしくなっちゃいました。
『雪煙チェイス』あらすじ
予測不能のチェイスが始まる!
本の評価
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク
【あらすじ】
ひょんなことから殺人事件の容疑者となってしまった脇坂竜実。アリバイを証明できるのは、見ず知らずの美人スノーボーダーだった。彼は彼女を探してスキー場へと向かうのだが・・・。
『雪煙チェイス』感想
東野さんは読ませますね。止められず一気に読んでしまい、おかげで寝不足です。
小杉VS竜実!!里沢温泉スキー場で雪煙チェイス

予測不能な追跡劇
なんと言っても、この本の面白さは予測不能な追跡劇にあります。ドキドキで全部読むまで止められませんでした。
ひょんなことから殺人事件の容疑者となってしまった脇坂竜実。親友の波川と一緒にアリバイを証明できる唯一の人物「女神」(正体不明の美人スノーボーダー) を捜し求めて里沢温泉スキー場へと向かいます。
彼女の特徴は「美人」「かなりの腕前」「赤と白のツートンウェア、ヘルメットは黒」。
一方、警察は脇坂を犯人と決めつけ、所轄が本庁を出し抜こうと画策します。このあたり利権の争いがすごい。
「本庁より先に捕らえろ」と命じられた小杉&白井刑事。脇坂の後を追い、里沢温泉に行くのですが・・・。
ゲレンデを舞台に、追うものと追われるもののチェイスが繰り広げられる。
これがとても面白い。交互に描かれているからドキドキします。
脇坂が犯人だと決めつけている警察は もはや止められない。事態は深刻です。ここまでくると警察内部の手柄争いにさえ、可笑しさを感じてしまうんですよね。
お馴染み、根津昇平と瀬利千晶のコンビ
お馴染みの人物、里沢温泉スキー場のパトロール隊員の根津昇平と瀬利千晶が登場します。今回も大活躍でした!でも千晶の決断に寂しさを感じました。
二度とボードはやらない。
えー!?・・・そんなぁ。2人から目を離せません。
一寸の虫にも五分の魂

小杉と話をしていた「お食事処 きなし」の女将の言葉に ぐっときました。
警察の手柄争いを読んでいると、何か一つ物申したくなってしまうんです。そのモヤモヤっとした気持ちを女将が言ってくれました。
上層部が間違った方向に進んでいくのに、所轄の小杉にはどうすることもできない。自分の気持ちを殺してただ従うだけです。途中から彼は疑問を感じるようになります。
竜実は犯人ではない?
それなのに上層部を止められない。上に従わなくてはならない宮仕えの悲しさが伝わってきました。
小杉は 警察の本来の仕事をしようと動き出します。本書にも書かれていることわざで、一寸の虫にも五分の魂という言葉が心に残りました。
小さく弱い者にも、それ相当の意地や根性がある。だから、どんな相手でも侮ってはならないということ。
小杉の意地を垣間見て 彼がカッコよく思えました。
もしかして『恋のゴンドラ』の・・・
『雪煙チェイス』の前に『恋のゴンドラ』が刊行されました。そちらも読んだのですが リンクしているところがあって、あっ!!と叫んでしまいました。
Mさんの緑色の・・・の話です。
どこかで聞いたような話。これは『恋のゴンドラ』のMさんですね。緑色の・・・にビックリしたMさん。その真相は ぜひ『恋のゴンドラ』で。
素敵な結末
読後感はとても良かったです。小杉と女将も気になるし、なによりお馴染みの2人を祝福してあげたくなりました。
・・・お幸せに。
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