絵本・児童文学

『永遠の出口』あらすじ・ネタバレ読書感想文|苦い過去と思ったこと|森絵都

この記事に書かれていること
  • 森絵都さんの小説『永遠の出口』あらすじと感想
  • 思い出さずにはいられない黒歴史
  • 「黒い魔法とコッペパン」
  • 「恋」 と 「卒業」
  • タイトルの意味
  • 『永遠の出口』を読んで気づいたこと

少しだけネタバレあります。

限りあるものほど、いとおしい。

森絵都さんの小説『永遠の出口』感想文です。児童文学。ひとりの少女の成長記を描いた物語でした。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
昔のことを思い出したよ。

黒歴史・・・。読み終わってからしばらくボーッと過去に思いを馳せてしまいました。

『永遠の出口』あらすじ・評価

紀子の成長記

あらすじ

誕生日会の小さな事件、恐ろしい担任との闘い、グレかかった中学時代、高校での切ない初恋・・・。どこにでもいる普通の女の子・紀子の、小学3年から高校3年までの9年間を描いた成長記。

本の目次
  • 第一章 永遠の出口
  • 第二章 黒い魔法とコッペパン
  • 第三章 春のあなぼこ
  • 第四章 DREAD RED WINE
  • 第五章 遠い瞳
  • 第六章 時の雨
  • 第七章 放課後の巣
  • 第八章 恋
  • 第九章 卒業
  • エピローグ

思い出さずにはいられない黒歴史

黒歴史。子供の頃や青春時代って、意外と思い出したくないことが多い。

若気の至り・・・というか、今考えると恥ずかしいことを堂々としていたなと。忘れてしまいたくて、あまり思い出したくない思い出です。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
『永遠の出口』を読むと蘇ってきてしまうんだよね。

独りよがりなあの頃。世界は自分が中心に回っていると、よく分からない自信に満ちていたあの頃。

ひつじくん。
ひつじくん。
みんなそういうものだよね、青春時代って。

『永遠の出口』ネタバレ読書感想文

森絵都さんの本を読むのは5冊目です。『カラフル』『つきのふね』『リズム』『宇宙のみなしご』そして本作『永遠の出口』。

どれも面白くて深い作品です。でも『永遠の出口』は、今まで読んだ森さんの小説とはひと味違いました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
紀子を見ていると心がザワつく。

初めは理由がわからず 「この本 ハズレ?」 と思ったけど、あることに気づきました。

主人公・紀子と自分を重ね合わせて読んでいた。

紀子を見ていると、イライラしたり心が穏やかになれないんです。彼女を通して自分の過去を見ているようだったから。

その理由に気づいたとき、この小説深いと思いました。

リアルな成長記

『永遠の出口』は 主人公・岸本紀子の小学3年から高校3年までを描いた成長記です。

苦いお誕生会、黒魔女のような担任の先生との対立、グレかかった思春期、恋に恋した高校時代・・・。

ひつじくん。
ひつじくん。
痛々しい。

特に後半、グレかかった思春期や恋を描いた高校時代に心がチクチクします。リアルな心情が描かれていて切なくなりました。

「黒い魔法とコッペパン」 黒魔女担任・深沢サヨ子

第二章 「黒い魔法とコッペパン」 が面白かったです。黒魔女のような怖い担任・深沢サヨ子との対立。

小学生のときは担任の先生が誰になるかで明暗が別れます。良い先生に当たれば良いけど、世の中には サヨ子みたいな人もいるから。

成績至上主義や、えこひいき。

小学5年生になった紀子。担任の先生は良い意味で教育熱心なのかもしれません。でもクラスの空気感がヤバイ。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
これはパワハラだよね。

恋に恋した高校時代

1番印象に残ったのは、恋に恋をしていた紀子の高校時代。第八章 「恋」 と、第九章 「卒業」 です。

本当は安田くんが好きだった紀子。「ヤスダ」 違いで周りにハヤシ立てられ、保田くんと付き合うことになります。

初めは意識していなかった男の子でも、周りの影響で好きになり、舞い上がってしまう。

やがて恋は終わりを迎えることになります。紀子は相手の気持ちよりも自分の気持ちを優先してしまってドロドロになる。

恋をしてがんばって、失恋してがんばって、いったい私は何をやってるんだろう・・・・・・。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
苦いけど、紀子の気持ちがわかる。

世界は自分が中心に回っていると思っていたあの頃です。一生懸命が空回りしてしまうあの頃・・・。

心がチクリとしました。

タイトル『永遠の出口』に込められた意味

『永遠の出口』とは 「永遠が終わるとき」 を意味しています。

人によってはホッとするかもしれないし、名残惜しいかもしれません。「永遠」 という言葉に儚さと愛おしさを感じました。

苦いお誕生会、黒魔女のような担任の先生との対立、グレかけた思春期、恋に恋した高校時代にもやがて出口は訪れます。

こんな文章がありました。

永遠の、限りないものに憧れる。でも、限りあるものほど、いとおしく思える。

限りない 「永遠」 は存在しないんです。カタチあるものは崩れ、どんなことにもいつかは終わりがくる。

  • 終わりが待ち遠しいときは 「永遠」 がなくてホッとする。イヤなこともいつかは終わりがくるから。
  • 幸せなときは 「永遠」 という言葉が愛おしく感じる。ずっと続けば良いのにと思うけど、そうはいかない。
ひだまりさん。
ひだまりさん。
永遠に出口があるから世界は成り立っているのかな。

紀子が歩む人生には様々な出口が訪れます。ホッとしたり、愛おしく思えたり。そのたびに彼女は成長していく。

幸せな時ほど永遠が終わる時は名残惜しいものですよね。でも、その先 (出口) には新たな出会いが待っているんです。

ひつじくん。
ひつじくん。
限られた 「永遠」 を繰り返して、人は成長していくのかな。

「永遠」 については、こちらの小説にも取り上げられています。

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『永遠の出口』を読んで気づいたこと

『永遠の出口』を読んで (思い出したくもない黒歴史を思い出して) 気づいたことがあります。

気づいたこと

恥ずかしいことも全て含めて 「わたし」。それでも一生懸命生きていた。

読後は過去の恥ずかしいことを振り返りました。今まで記憶のスミに追いやっていたことを、ひとつずつ。

そうしていると、今までの恥ずかしかったことが受け入れられるような気持ちになるから不思議です。

肯定はできないけど一生懸命だったから。それはそれで良かったのではないかと。

苦い過去がよみがえる『永遠の出口』

児童文学だからってバカにしちゃいけません。なんなら普通の小説よりも心が揺さぶられます。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
森絵都さんの本は、やっぱりすごかった。
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