『眠れないほどおもしろい百人一首』あらすじと感想|三十一文字の想い|板野博行

- 『眠れないほどおもしろい百人一首』あらすじと感想文
- 和歌にはドラマがある
- 現代にも通じる恋の歌
- 時代背景と当時の恋愛
百人一首に、ドラマあり。
板野博行さん『眠れないほどおもしろい百人一首』感想です。百人一首。学生の頃に少しだけやっていました。

懐かしくなって手に取った一冊だよ。
『眠れないほどおもしろい百人一首』あらすじ
意外と深い百人一首
百人一首に込められた思いとは?
『眠れないほどおもしろい百人一首』感想文
『眠れないほどおもしろい百人一首』は、「恋の歌」や、「有名歌人の一首」、「四季を堪能する歌」・・・など種類別に解説されていました。
読みやすいですね。人物の紹介や歌の解説が詳しく書かれていて、時代背景を感じながら読むことができます。

それぞれの歌にはドラマがあるんだ。
和歌にはドラマがある

一般的に広く知られているのは小倉百人一首です。藤原定家 (ふじわらのていか) が鎌倉時代初期に京都の小倉山の山荘で選んだもの。
人生で味わう喜び・切なさ、別れの哀しみ、世の無常などすべてを、わずか31文字に凝縮させたものが和歌(「五・七・五・七・七」で表現される歌)です。
日本の言葉って趣がありますね。短い言葉なのに込められた想いは深い。当時の歌人のドラマがたくさんつまっていました。

百人一首というと、恋の歌が多いイメージ。
それもそのはず、恋の歌が43首を占めるんです。その中から気になった歌を2首を紹介。両方とも恋の歌です。
現代にも通じる恋の歌
玉の緒よ 絶えねば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
式子内親王
訳 : わが命よ、絶えるならば絶えてしまえ。このまま生きながらえると、秘めた恋心を隠す力が弱まって、想いが外に漏れてしまいそうだから
後白河天皇の第三皇女が詠んだ歌です。藤原定家との秘められた恋を詠んだものと書かれていました。愛する気持ちは抑えられません。切なさと激しさが伺えます。

隠さなければいけない恋というのは、いつの時代も切なさがある。
君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思ひけるかな
藤原義孝
訳 : あなたに逢うためならどうなっても惜しくはない命だと思っていましたが、その願いが叶った今となっては、少しでも長くあなたとともに生きたいと思うようになったよ
太政大臣 藤原伊尹 (ふじわらのこれまさ) の三男が詠んだ歌です。モテモテだったらしい。でも21歳という若さで亡くなってしまいます。それを知った上で読むと、胸にこみ上げてくるものがありました。

会うまでの恋焦がれる気持ちと、会ってからの気持ちが真っ直ぐに感じられる。
時代背景と当時の恋愛

百人一首は1番から100番まで年代順になっています。
私が選んだ2首は、平安時代の歌人によって詠まれた歌でした。
気になる女性には 「歌」を添えたラブレターを送っていたようですね。当時は一夫多妻制で、女性はただひたすら待つ身でしかなかった・・・。

頭がおかしくなりそう。
『眠れないほどおもしろい百人一首』は歌が詠まれた時代背景も詳しく書かれています。合わせて読むことで、より深く歌を理解できるようになっていました。
和歌って、歌だけ読んでもよく分からないですよね?
今と時代背景が何もかも違うからです。当時の背景を知らないことには意味がない。人を想う気持ちは共感できるものがありました。

今も昔も変わらないものだね。
『眠れないほどおもしろい百人一首』古典が苦手な人にもオススメ
学生のころ (小学生か中学生の頃) は、何も深く考えずに百人一首をやっていました。でも 歌ひとつひとつに込められた想いがあり、それがこんなに深いものだったなんて・・・。

古典が苦手な私でも面白く読めたよ。
「もののあはれ」 や 「世の中の無常」。その時代だからこそ詠めた歌なのでしょうね。日本の言葉の美しさも感じた本です。

