『けしゴム』まど・みちお (詩集)【感想】広がる想像の世界

- まど・みちおさん&美智子さまの詩集『けしゴム』紹介と感想
- 「オウム」
- 「キリン」
- 「キャベツ」
- 「かいだん」
- 言葉の宇宙
言葉から膨らむイメージの世界
まど・みちおさん&美智子さまの詩集『けしゴム』感想です。素敵な詩集でした。
『けしゴム』本の紹介
まど・みちおさんの詩集
皇后美智子さまが英訳した、まど・みちおさんの21篇。
『けしゴム』感想
短いもので一行の詩。ことばって少なくても良いんだなと思います。たった一言で限りなく広い意味が想像できる。
深いですね。
「オウム」消しゴムの魔力
「オウム」
くちの なかの
けしゴムは
いいまちがえたら
けす つもり
思わずいいなっと思いました。言ってしまった後に後悔する・・・。たまにあることです。そんな時に消しゴムで消してしまえれば楽なのに。
子供のころ、可愛い消しゴムを集めていました。キャラクターを型どったもの。良い香りがするもの。
今 家にあるのは「ぱっちりくん」です。その名の通り匂いを嗅ぐと、ぱっちり目が覚めるけしゴム。
安房直子さんの童話に出てくる「何でも消せる消しゴム」という文房具を思い出しました。消したい過去があるわけではないけれど魅力的なものです。
「キリン」もう なんまんねんも・・・

「キリン」
いすは まっています
とおい ほしからの
きょじんの おきゃくを
もう なんまんねんも・・・
読んだ後に椅子を見るとキリンに見える。ほっこりしました。「きょじんのおきゃく」は私か。まどさんの観点は凄いですね。私も想像力ゆたかになりたいです。
「もう なんまんねんも・・・」の言葉に切なさと愛おしさで、いっぱいになりました。
「キャベツ」キャベツに咲くバラ
「キャベツ」
どんな バラが さくのか
この おおきな つぼみから
いつも美味しく食べているキャベツ。確かに つぼみのようですね。「どんな バラが さくのか」と問われると想像してみたくなります。
冷蔵庫から出して眺めてしまいました。
「かいだん」楽しいという気持ち

「かいだん」
この うつくしい いすに
いつも 空気が
こしかけて います
そして たのしそうに
算数を
かんがえて います
普段はエスカレーターを使います。でも家の近くの地下鉄駅での上り下りだけは階段を使うようにしています。
改札口から地下鉄乗り場までと、外に出る出口までの階段。結構あるのですが いつからか私の決まり事になっていて。
「そして たのしそうに 算数を かんがえて います」この部分の「たのしそうに」がミソですね。
階段を登るとき、1、2、3 ・・・と数えながら登っています。楽しくという発想は今までなかったので新鮮でした。私も楽しく登ってみようかな。
言葉の宇宙

1番に感じたことは 言葉の持つイメージの広さです。
キャベツを蕾にたとえたり、椅子をキリンに見立てたり・・・。そして消しゴムから広がるイメージ。モノに対する愛情も伝わってきます。
どんなことを想像するのかは人によって違いますね。言葉がもつイメージは無限にあるのではないかと思います。
同じことを三浦しをんさんの『舟を編む』を読んだ時にも感じました。これからも自分の感覚を大切にしていきたいです。



