- 貴志祐介さん『悪の教典』あらすじと感想文
- もしも学校の先生がサイコパスだったら
- 弱肉強食の世界
- 『悪の教典』の面白さ
- フギンとムニン
- 不吉な予感
サイコパスの恐怖。
貴志祐介さんの小説『悪の教典 上下』感想です。映画にもなりましたね。サイコホラーものだという認識はあったのだけど、かなり怖かったです。(特に下巻は夜に読めなかった)
『悪の教典』あらすじ・評価
学校の先生がサイコパスだったら?
ルックス抜群の英語教師、蓮実聖司は、生徒に人気の先生。しかし彼は、自分勝手なサイコパスだった・・・。もしも、学校の先生がサイコパスだったら? 戦慄のホラー小説。
『悪の教典』ネタバレ感想文
貴志さんの本は『新世界より』がかなり面白くてハマり、『悪の教典』もまた違った面白さがありました。怖いけど面白いですね。
もしも学校の先生がサイコパスだったら

『悪の教典』は、もしも学校の先生がサイコパスだったら・・・という、考えただけでも恐ろしいテーマを描いた作品。
上下巻とボリュームあるけど、あっという間に読んでしまいました。貴志さんのサイコパスものは『黒い家』を読んだばかりです。かなり怖かった。『悪の教典』はそれに負けじと怖い。
でも読み始めに、うん・・・?と違和感を感じました。小説の主人公であり、英語教師の蓮実聖司が爽やかなんですよね。”ハスミン”と、生徒からは愛称で呼ばれていて、ルックスも良く人気者の先生でした。
読み進めていくと、この蓮実先生なんだかオカシイということに気づきます。表面は取り繕っているけど心は全然違う。・・・こわっ!!
私が読んだのは文庫版です。上巻の途中あたりからジワジワと不吉な予感が湧き上がってきました。
共感性欠如の殺人鬼。・・・相手を思いやる気持ちがなくて自分本位に物事を捉えてしまうのです。
下巻では次々と生徒たちを殺めていくのが恐ろしい。怖すぎて夜に読めませんでした。
学校は弱肉強食の世界

生徒でただ1人、蓮実を恐れている怜花。彼女が思った言葉に頷いてしまいました。
学校とは、子供を守ってくれる聖域などではなく、弱肉強食の法則が支配する生存競争の場
まさにお話の舞台である学校が生存競争の場になっているんです。ここに出てくる先生たち、まともな人が少ない・・・。声を大にして言いたいです。
下巻にいくにつれて 蓮実の異常な行動が明らかになっていきました。表面と中身がかけ離れていればいる人ほどその人に恐怖を感じますね。
- 「木の葉は森に隠せ」
- 「究極のリセット」
・・・という、蓮実のある計画が実行されてしまうのです。
『悪の教典』の面白さ
蓮実聖司という殺人鬼。『悪の教典』の面白さは彼にあります。
蓮実というキャラ、ありえないけど惹かれるものがあるのも確か。サイコパスものだ!と、深呼吸して心して読み始めたけど、あまりに爽やかな主人公で拍子抜けしました。
映画では伊藤英明さんが演じているのですね。しっくりきます。名演技でした。
タイマーをカチカチさせながらマイナスしていく蓮実。全員を無事『卒業』させるまでは、止まらないのです。・・・この辺り、夜に読めません。
彼の言う『卒業』とは?
本人は警察に捕まるとは思ってないんです。今後も学校で教師を続けていくつもりでいるのには、あ然としました。貴志さん、怖すぎ。
フギンとムニン
初めはユニークな蓮実先生に好感を抱きます。でも、最初の方でカラスを殺した辺りからモヤモヤな気持ちになる。疑惑の目で読んでいました。
2羽のカラス
思考(フギン)と記憶(ムニン)。
文庫版の上巻の表紙にもなっているカラスです。鳴き声がうるさくて、1羽を殺してしまう蓮実先生。生き残ったムニンは、たびたび彼の元に現れます。まるで彼を監視しているかのように。
知能が高いムニンには全てお見通し。
自分勝手な行動を優先する蓮実聖司だけど、それを見ている誰かがいる。・・・悪いことはできないものだとホッとしました。
最後まで続く不吉な予感
続編がありそうなラストに震えました。
不吉な予感が頭をよぎります。『黒い家』を読んだ時もだけど、『悪の教典』もサイコパスの怖さを実感した小説。
とうてい理解が及ばないけど面白い。普通だったら嫌悪してしまいそうな場面でも止まらないんです。さすが貴志さんでした。
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