「罪深き女」 湊かなえ【あらすじと感想・解説】ポイズンドーター・ホーリーマザーより
- 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 あらすじと感想 (解説)
- 正幸の罪を背負おうとする女・幸奈
- 毒親と子どもについて
- 一転する結末
少しだけネタバレあります。
私が正幸くんを救ったのだ。
湊かなえさん『ポイズンドーター・ホーリーマザー』、「罪深き女」のレビューです。こちらも毒親を感じる一話でした。
思い込みって怖い。
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 あらすじ
罪深き女は誰か?
家電ストアで無差別殺人事件が発生した。犯人はすぐ逮捕されたが、彼を擁護する女性が現れ・・・。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 ネタバレ感想・解説
「罪深き女」はどっちだろう?
はじめは幸奈かなと思ったけど、母にも当てはまるような・・・。そして思い込みって恐ろしい。
それにしても湊さんの一人称は慣れないですね、何冊よんでも・・・。ラストは一転するけど、想像がついてしまいました。
彼の罪を背負おうとする女
ラスト以外は主人公・天野幸奈の視点で進んでいく「罪深き女」。刑事さんから尋問されているようです。
家電ストア 「ミライ電機」 で刃物を振り回し、死傷者15名を出した無差別殺人事件→犯人はその場で逮捕される。
事件を起こしたのは黒田正幸、幸奈の知り合いでした。彼が事件を起こしたのに、自分のせいだと言い張る幸奈。
彼女はどんなカタチで関わっているんだろうと興味津々。
「毒」 と出会ってしまった彼
残念だったのは、初めから最後まで主人公のことが好きになれなかったことです。
湊さんの本はほとんどそうかも。同調できないというか・・・。幸奈の独りよがりな言葉に、薄ら寒さを感じました。
なんだろう、この自信ありげな言葉は。
「誰々に救われた」という言葉はよく聞くけど、自分から「誰々を救った」と話す人ってなかなかいないですね。・・・違和感を感じました。
違和感の正体はラストで解決するよ。
私の感覚まちがってなかった。さすがイヤミスですね。正幸の人生は、周りの「毒」と関わったために狂った・・・と言えるかもしれません。
たとえ毒親でも
こんな一文がありました。
どんな扱いを受けようとも、子どもは母親が好きなのです
母に虐待されている子でも母が好きというふうに描かれるドラマをよく見ます。子どもにとって一番身近にいて信頼できる大人は自分の親だけ。
不憫に思うけど、子どもの視界は狭いからね。
それにかこつけて毒親ブリを発揮すると、子が大人になったときに思わぬしっぺ返しをくらうかもしれません。
自分がやったことは、いずれ自分に返ってくるよ。
毒を持っていたのは誰?
「罪深き女」はラストが一転します。
毒を持っていたのは誰か?
いたるところに「毒」が描かれている短編集『ポイズンドーター・ホーリーマザー』。続けて読むとぐったりするけど、面白い。
どのお話にも必ず毒に侵されている人がでてきます。「毒親」「毒娘」「毒友」・・・。
ドラクエを連想したよ。
国民的人気ゲーム『ドラゴンクエスト』です。『ドラクエ』は毒に侵されると歩く度にダメージを受けるんです。HPが減っていくから すぐ「キアリー」か「どくけし草」を使って治すのだけど・・・。
本書で描かれている毒を持った人たちもダメージを受けているのかなと思うと可哀想になりました。
『ドラクエ』みたいに、どくけし草ですぐ治れば良いのにね。