- 小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 あらすじと感想 (解説)
- 正幸の罪を背負おうとする女・幸奈
- 毒親と子どもについて
- 一転する結末
少しだけネタバレあります。
私が正幸くんを救ったのだ。
湊かなえさん『ポイズンドーター・ホーリーマザー』。第3回目は 「罪深き女」 のレビューです。こちらも毒親を感じる1話でした。
もくじ
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 あらすじ
「罪深き女」 は誰か?
家電ストアで無差別殺人事件が発生した。犯人はすぐ逮捕されたが、彼を擁護する女性が現れ・・・。
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「罪深き女」 感想・解説
湊さんの一人称は慣れないですね、3話目でも。ラストは一転しますが、うすうす想像がついてしまいました。
「罪深き女」 はどっちだろう?
はじめは幸奈かなと思ったけど 母にも当てはまる気がします。そして思い込みって恐ろしい。
彼の罪を背負おうとする女

ラスト以外は主人公・天野幸奈の視点で進んでいきます。刑事さんから尋問されているようです。
家電ストアで無差別殺人事件
家電ストア 「ミライ電機」 で刃物を振り回し、死傷者15名を出した無差別殺人事件。→ 犯人はその場で逮捕されます。
事件を起こしたのは黒田正幸、幸奈の知り合いでした。
事件を起こしたのは彼ですが、自分のせいだと言い張る幸奈。彼女はどんなカタチで関わっているんだろうと興味津々で読みはじめました。
「毒」 と出会ってしまった彼
初めから最後まで主人公のことが好きになれませんでした。湊さんの本はほとんどそうかも。・・・同調できないというか。
幸奈の独りよがりな言葉に、薄ら寒さを感じました。
「誰々に救われた」 という言葉はよく聞くけど、自分から 「誰々を救った」 と話す人ってなかなかいないですね。違和感を感じました。
違和感の正体はラストで解決します。
私の感覚まちがってなかった。さすがイヤミス。事件を起こした正幸の人生。周りの 「毒」 と関わってしまったがために狂ってしまった・・・と言えなくもない?
たとえ毒親でも

こんな一文がありました。
どんな扱いを受けようとも、子どもは母親が好きなのです。
母に虐待されている子でも母が好きというふうに描かれるドラマをよく見ます。子どもにとって1番身近にいて信頼できる大人は自分の親だけ。
はたから見ると不憫に思います。子どもの視界は狭い。それにかこつけて毒親ブリを発揮すると、子が大人になったときに思わぬしっぺ返しをくらうかもしれません。
毒を持っていたのは誰?
「罪深き女」 はラストが一転します。
毒を持っていたのは誰か?
いたるところに 「毒」 が描かれている6話。続けて読むとぐったりしますが、どのお話にも必ず毒に侵されている人がでてきます。「毒親」、「毒娘」、「毒友」・・・。
ドラクエを連想しました。
国民的人気ゲーム『ドラゴンクエスト』です。『ドラクエ』は 毒に侵されると歩く度にダメージを受けます。HPが減っていくから すぐ 「キアリー」 か 「どくけし草」 を使って治す。
本書で描かれている毒を持った人たちもダメージを受けているのかなと思うと可哀想になりました。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』他のレビューはこちら。




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