- 湊かなえさん小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』あらすじと感想 (解説)
- WOWOWドラマのキャスト
- テーマ 「毒親」 について
- 「毒親」 と 「聖母」 について
ネタバレあります。
私はあなたの奴隷じゃない!
湊かなえさん『ポイズンドーター・ホーリーマザー』表題作の感想です。「ポイズンドーター」 と 「ホーリーマザー」 。続きの2話でした。
- 第1回目・・・ 「マイディアレスト」
- 第2回目・・・ 「ベストフレンド」
- 第3回目・・・ 「罪深き女」
- 第4回目・・・ 「優しい人」
- 第5回目・・・ 「ポイズンドーター」 と 「ホーリーマザー」
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』あらすじ
彼女は毒親か、それとも聖母?
女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から同窓会の案内が届いた。母親に会いたくなかった弓香は欠席すると伝える。理穂とメールのやりとりをするうちに、思いがけない訃報を聞くのだった・・・。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』WOWOWドラマのキャスト
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』はWOWOWでドラマ化されました。全6話です。キャストをまとめました。
- 第1話と第2話・・・ 「ポイズンドーター」 「ホーリーマザー」 寺島しのぶ (母・佳香)、足立梨花 (娘・弓香)
- 第3話・・・ 「罪深き女」 清原果耶 (幸奈)
- 第4話・・・ 「ベストフレンド」 中村ゆり (涼香)
- 第5話・・・ 「優しい人」 倉科カナ (明日実)
- 第6話・・・ 「マイディアレスト」 伊藤歩 (淑子)
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』感想・解説
「毒親」 という言葉って いつからこんなに浸透したんだろう。どこからどこまでが 「毒親」 で、どこからが違うのか。その境界線はどこからなのか。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』は すれ違う親子が描かれていて哀しくなりました。
「毒」 は誰?

「ポイズンドーター」 では 女優・弓香の視点で毒母が描かれています。
自分の母親を 「毒親」 だと思い込む弓香。そもそも 「毒親」 とはどういった親なのか。あまり馴染みがなくて検索してみました。
子どもに悪影響を及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親のこと。
・・・そういう意味では 確かに弓香にとって母は毒親なのかもしれません。あれもダメ、これもダメ。弓香は母に従うしかなくて頭痛薬が手放せなくなる。
「ポイズンドーター」 だけを読むと彼女が不憫に思えました。・・・なんでもかんでも従ってしまう弓香にはイライラしましたが。
でも少し違和感。ふとタイトルの意味を考えてしまいました。ポイズンドーターって・・・「毒娘」 !!
「毒」 を持っているのは誰か?
続きの 「ホーリーマザー」 を読むと毒はどちらなのかがわかります。
「毒親」 と 「聖母」
「ホーリーマザー」 では 弓香の同級生・理穂の視点で聖母が描かれていました。
実はこの2話で描かれている 「毒親」 と 「聖母」 は同一人物。弓香の母・佳香なんです。
視点を変えると 「毒」 にも 「聖」 にもなります。子ども目線では 「毒」 でしかないけど 「愛」 が隠れているかもしれません。存在する愛情に気付かず すれ違う母と娘。事態は取り返しのつかないことになります。
母の愛

どこからが 「毒親」 で、どこまでがそうじゃないのか苦しくなりました。
将来、こういう職業に就いてみれば? と提案してはいけないのでしょうか。親の職業を継いでほしい、と願ってはいけないのでしょうか。
これが支配であり、毒親だというのなら、そうしない親は何と呼ばれるのですか?
子どもの幸せを願うゆえの母の想いです。言われる方はウザイと思っちゃうかもしれません。でも子のことを想ってのことだと思うと切なくなります。
正真正銘の 「毒親」 が世間にあまりいないことを願いたいです。
切なさが後をひく結末
6つの短編集。どれも誰かとのすれ違いばかりが描かれているから結末は切なさが後をひきます。
言葉で気持ちを伝えるのは難しいけど とても大切なこと。
身に染みました。
湊さん、読みづらいから一人称はもうそろそろいいんじゃないですか? と思うけど、これも魅力なのかな・・・。
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』他のレビューはこちら。




他にもあります
