「ベストフレンド」 湊かなえ【あらすじと感想・解説】ポイズンドーター・ホーリーマザーより
- 『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「ベストフレンド」 あらすじと感想・解説
- タイトル 「ベストフレンド」 が指しているのは 漣涼花と大豆生田薫子
- 表の顔と裏の顔
- リアルな心理描写と切ない結末
少しだけネタバレあります。
涼花vs薫子
湊かなえさん『ポイズンドーター・ホーリーマザー』、「ベストフレンド」のレビューです。「マイディアレスト」は好きじゃなかったけど、こちらは面白かったです。
彼女たちはベストフレンドかも。
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「ベストフレンド」 あらすじ
ライバル=ベストフレンド?
脚本家を目指す涼花と薫子。毎朝テレビ脚本新人賞受賞式で2人は出会う。涼花は優秀賞を受賞したが、薫子は最優秀賞だった。「薫子がいなければ選ばれていたのは私」 涼花の心とは裏腹に薫子は順調に脚本家への道を歩み始めるのだったが・・・。
小説『ポイズンドーター・ホーリーマザー』より 「ベストフレンド」 感想・解説
「ベストフレンド」は友だち(憎きライバル?)を描いたお話です。
ライバルのように感じていた彼女たちが、最終的にはベストフレンドに見えてきて不思議な感覚になりました。
女同士のバトルは怖い
タイトル「ベストフレンド」は漣涼花(さざなみすずか)と、大豆生田薫子(まみゅうだかおるこ)を指しています。
漣涼花ってキレイな名前だね。
「親友は良きライバル」とも言うけど、彼女たちは元から親友だったわけではありません。最初は憎きライバルでした。
2人が出会ったのは毎朝テレビ脚本新人賞受賞式。彼女たちは脚本家の卵でした。
涼花の作品「月より遠い愛」は優秀賞、薫子の作品「サバイバル・ゲーム」は最優秀賞を受賞。
薫子がいなければ選ばれていたのは私―。
涼花の心理にヒヤリとしました。悔しい気持ちはわかるけど、こうゆうのも運ですよね。人生はときたま運に左右される。
ずっと涼花の視点で進んでいきます。彼女の本音と建前にヒヤリとしました。
女同士のバトルって怖い・・・。
表の顔と裏の顔
薫子に宛てたメールには応援してるみたいなことを書いていた涼花だけど、ホンネは違うんですよね。
以前よんだ『神様の裏の顔』を連想しました。
表の顔と裏の顔が全く違うという人の二面性をミステリー&ユーモラスに描いた小説です。
表の顔と裏の顔はどちらも自分なんだけど、他人から見ると恐怖でしかないのかも。
リアルな心理描写
なかなか認められない涼花に対して、薫子は映画の脚本まで手掛け、2人の差は開いていきます。
薫子に抱く、涼花の妬みと焦り。
醜い人間の感情にリアルな感じがしました。どこにでもあるような普通の人の感情ですよね。
良い気持ちはしないけど、これが人間。醜い部分もあれば美しい部分もある。
憎きライバル、一転する結末
最後は一転、憎きライバルがベストフレンドに変わります。
その瞬間の描き方が上手いです。今まで涼花だった視点も薫子に変わりました。でも気づくのがもう少し早ければ・・・と願わずにはいられない。
切ない結末だったよ。