- 村田沙耶香さんの小説『地球星人』あらすじと感想
- 魔法少女・奈月
- 世界のしくみ
- 人間工場
- 常識ってなに?
- 常識が破壊されるラスト
少しだけネタバレあります。
常識が破壊されるラスト!!
村田沙耶香さんの小説『地球星人』感想です。村田さんの小説は初めて読みました。途中から読むのを止められなくなりました。これは すごい本です。
『地球星人』あらすじ
常識を破壊する衝撃のラスト!
奈月は 地球星人が作りあげた世界に馴染めずにいた。ここでは 若い女は恋愛をするのが当たり前。それができない人は 恋に近い行為をやらされる。やがて彼女は結婚をするのだが・・・。
『地球星人』感想
すごい本を読んでしまった!常識が破壊されます。何が常識で何がそうじゃないのか、わからなくなりました。
少しの間 放心していました。ラストはホラー。ポハピピンポボピア星人に感情移入していましたが、一気に目が覚めました。この展開は衝撃すぎる。
魔法少女・奈月

主人公・奈月は魔法少女
奈月は自分のことを魔法少女と思い込んでいました。
塾の伊賀崎先生にいたずらをされたり、家族に辛く当たられたり、奈月が可哀想になりました。そんな中で自分が魔法少女だと思い込むのもムリはないかなと。
前半は小学生時代が、中盤からは結婚をして30代の奈月が描かれています。
奈月のいとこ・由宇くん (自分のことをポハピピンポボピア星人だと思っている) との約束に胸が痛みました。
世界のしくみ
村田さんが描く世界観がハンパない。
奈月と彼女の夫と由宇は、地球星人が作りあげた世界に馴染めずにいました。ポハピピンポボピア星人からみた世界の仕組みについて書かれています。
恋ができない人は、恋に近い行為をやらされる。
恋をするのも結婚するのも、ごく自然なことです。地球星人が繁殖するために作りあげた仕組みと言われると、そうかも・・・と思ってしまいますが。
世界は人間工場

奈月の結婚には愛が存在しませんでした。
手も繋がない。繁殖するために作られた世界のしくみから逃れるための結婚です。
世界は工場で、自分は宇宙人
『工場』とは この世界です。そこで暮らす地球星人は部品。
宇宙人の視点は凄まじいです。村田さんが描く世界観に引き込まれました。常識が通用しない。・・・でもこれはまだ序の口なんですよね。後半、本当に常識が破壊されます。
常識ってなに?
切なくなった瞬間があります。
愛がなくてもうまくいっていた結婚生活が破綻するときです。ほっといてくれれば良いのに、周りはほっといてくれない。
地球で暮らすからには 地球星人が作りあげたシステムからは逃れられないのかなと哀しくなりました。周りがこぞって 「仲良し」 と言うのには鳥肌がたちます。
そういえば 江國香織さんの『きらきらひかる』も 周りによって幸せが壊されるんですよね。

ひと味違う夫婦のお話です。妻と夫と夫の恋人がおりなす日常を描いた物語。こちらも周りによって幸せなときが壊される。
『きらきらひかる』も『地球星人』も、世間一般からはズレている夫婦が描かれています。世間では常識なことが彼らには非常識で、彼らの常識が世間では非常識。
常識が破壊されるラスト
ラストは常識が破壊されます。
ポハピピンポボピア星人は、地球星人が作りあげた常識を捨てました。
赤ちゃんの視点になって行動する感じですかね。一切の常識を捨てるとこうなるのか・・・。
ここまでくるとクレイジーですね、ポハピピンポボピア星人。(←未だに早口で言えない、ポハピピンポボピアって・・・) 村田ワールドにギョッとしました。
ホラー感満載だけど かなりのヒット作。村田さんの他の本も読んでみたくなりました。『地球星人』おすすめです。ぜひ、村田ワールドを味わってみてください。



