ミステリー・サスペンス

『代償』伊岡瞬【あらすじと感想】底知れぬ悪意の代償

彼は弁護士に、彼は犯罪者となった。

伊岡瞬さん『代償』。
根っからの悪人と、彼に翻弄される人たちの物語です。

少しだけネタバレあります。

『代償』あらすじ

重いけど、読むのをやめられない!!

『代償』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
ある事故をきっかけに、主人公の圭輔は、同級生・達也と暮らすことになった。それが不幸の連鎖の始まりだった・・・。

面白かったです。読むのを止められなくなってしまいました。意外な展開なんですよね。そして、どうしようもないほどの悪・・・。私がこれまで読んできた小説にも悪人はいましたが、ここまでの悪はなかなかありません。達也の行いを考えると、その「代償」は計り知れないです。

『代償』感想

同じ家で育った二人の少年。一人は弁護士に、一人は犯罪者となった。

この帯の言葉にひかれて読み始めました。一人は弁護士に、一人は犯罪者に・・・。弁護士になったのは、本書の主人公である圭輔。犯罪者になったのは、達也です。・・・ちょっと面白そうな設定ですよね?

一人は弁護士に、一人は犯罪者に・・・

第1部で圭輔と達也の少年時代が、第2部では弁護士になった圭輔と犯罪者になった達也が描かれています。

2人の出会いはまだ彼らが小学生だった頃。純粋で素直な圭輔少年に対して、達也少年は不気味でした。圭輔の家が火事になり、達也のところで一緒に暮らし始めることになります。達也少年に翻弄される圭輔と彼の家族、そして彼の周りの人々にまで害が及ぶ。読んでいて胸が痛くなりました。

本当にかわいそう。・・・というか恐ろしい。達也に出会わなければ幸せに暮らせたであろうに・・・。

この物語を読んで世の中には悪い人たちがいるけれど、達也のような人には出会いたくないなと思いました。

圭輔の人生が悲惨すぎるんです。特に前半は重く読むのが辛かったです。・・・じゃあ読むのをやめれば? とも思うのですが、やめられない。ズルズルとのめり込む不思議な小説でした。

とてつもない悪

本書で描かれている悪人、安藤達也。計算高く、彼の周りにいる人たちはみんな不幸になっていきます。

平気で人を傷つけ、人が不幸になることを喜ぶタイプ。・・・こんな人がいたら怖いなと思います。

絶望する主人公の気持ちもわかる。でも、ちょっと主人公が弱っちいんですよね。もうちょっと強くあっても良いのに。伊岡さんの本は初めて読みましたが、かなりのインパクトです。

彼は黒か白か?

弁護士になった圭輔のもとに、ある弁護の依頼がきます。それは忘れもしない達也からの依頼でした。彼の容疑は強盗致死罪。圭輔は弁護を引き受けることになります。

安藤達也は有罪か無罪か。

友人の寿人と調べを進める圭輔ですが、限りなく黒に近いのにどうもしっくりこない。そのうちに彼のアリバイを証言する女まで登場して・・・。彼はまさか無罪?

なんだか面白い展開になってきたと思っていたら、またどん底に落とされる。意外な展開に目を見張りました。達也の悪意を感じます。彼の目的は一体なんなのか?

ここまで悪人だと更生させようにも難しいかもしれませんね。

事件の裏には驚きの真実が隠れています。

達也の代償

この本のタイトルは、ズバリ「代償」です。

そのままテーマと言っても良いかもしれません。悪い行いをすれば、やがて自分に返ってきます。達也もいずれ、その「代償」をはらわなければなりません。どんな「代償」をはらうことになるのか。後半から結末にかけては、それが気になり一気読みでした。

ささいな犯罪でも、その代償は大きくなることがありますね。

被害者のことを思えば犯罪に小さいも大きいもないのですが、例えば痴漢とか。加害者にしたら、ほんの一瞬の出来心なのかもしれません。でもそれによって社会的地位や家族、仕事を失うかも。「代償」ってそういうものです。

・・・そういう意味で言うなら、達也の代償はちょっと軽いんじゃないかなと思いました。

『代償』救いの結末

結末は、わりとあっさりです。重いお話でしたが、最後に救いがあってホッとしました。

達也に出会うことで不幸な生い立ちの主人公でしたが、寿人というかけがえのない友達に恵まれて良かったなと思います。

どんな人と出会うかによって自分の人生は変わるのかもしれませんね。伊岡さんの本、私の中ではかなりのヒットです。他の著作もそのうち読んでみたいと思います。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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