『ジャッジメント』あらすじ・ネタバレ感想文|憎しみと苦しみの復讐法|小林由香
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- 『ジャッジメント』あらすじと感想文
- 復讐法が認められた世界
- 被害者遺族の葛藤
- 応報監察官・鳥谷文乃
少しだけネタバレあります。
あなたは『復讐法』を選ぶ?
小林由香さんの小説『ジャッジメント』感想文です。本屋さんで目に止まって買った本。デビュー作なんですね。これはすごい!!傑作でした。
『ジャッジメント』は、復讐が肯定された世界を描いたミステリー小説。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_s.jpg)
読むのが苦しかったけど、面白かったよ。
『ジャッジメント』あらすじ
復讐法は救いがあるのか
20xx年。治安維持と公平性を重視した新しい法律 「復讐法」 がうまれた。この法律に救いはあるのだろうか!?
『ジャッジメント』ネタバレ感想文
「復讐法」。もしそんな法律があったら?
読み終わってもまだ余韻が残っています。なんだろう、このやり切れなさは・・・。
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
色んな感情がわきあがってきた。
復讐法が認められた世界
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20xx年。治安維持と公平性を重視した新しい法律が生まれました。「復讐法」です。
もし犯罪に巻き込まれたら、犯人にも同じ辛さを味わってほしいと望んでしまうかもしれません。「目には目を歯には歯を」という言葉があるように・・・。
『ジャッジメント』は復讐法が認められた世界が描かれています。
そこには様々な葛藤がありました。遺族が自ら刑を執行していくことで「殺人者」になるわけです。斬新な世界ですね。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
もしそんな法律があったとしたら、私はどうするだろう。
被害者遺族の葛藤
5章にわたり、5つの復讐が描かれていました。
どれもが苦しいんですよね。これがデビュー作というのだからすごいです。
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
第1章、残忍な手口で息子を失った父親が同じ方法で犯人に刑を執行する様子は痛ましかった。
第3章では、通り魔の被害者遺族がそれを選択するかしないかで悩みます。自らが執行しなければいけないという恐怖心。自分も犯罪者と一緒になってしまうのではないかという複雑な感情も混じっていました。
衝撃だったのは、第5章「ジャッジメント」。
妹を母と内縁の夫に餓死させられた小学生の兄が、彼女らの刑を執行していきます。
同じ部屋にいて親が餓死するのを見つめるのは、まだ小学生の子供・・・。ラストは衝撃の結末で幕を閉じました。
愛するがゆえの復讐。その法律があることで凶悪な犯罪は減るのかもしれないけど、やり切れなさが後をひきます。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなる。
応報監察官・鳥谷文乃
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すべて応報監察官・鳥谷文乃の視点で描かれていました。
応報監察官とは、被害者遺族のお世話や復讐法を選択した場合に刑の執行を最後まで見守るという、かなりハードな職種。
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
近くで執行を見守るなんて 自分も壊れてしまいそうだね。彼女は答えの出ない問題に悩み続けるんだ。
様々な想いを抱えた登場人物たちがいて目を引きました。復讐にも色んな形があるんですね。
章が進むに連れて、全てを見てきた文乃の気持ちが揺らいでいく・・・。最後に出した結論はとても人間らしい感情で心打たれました。
![ひだまりさん。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hidamari_n.jpg)
どれも、読むのが苦しい物語だった。
『ジャッジメント』苦しみが残る小説
『ジャッジメント』は、もし自分が当事者になってしまったら?・・・と、考えずにはいられなくなる一冊です。
復讐法を選んでしまうだろうか。犯人に同じ苦しみを味わってほしいと思うけど、実行はできないんじゃないかな。そこまでの勇気はないような気がします。
![ひつじ。](https://hon-tabi.com/wp-content/uploads/2020/08/hituzi.jpg)
こんな世界はイヤだな。
憎しみは消えることなく、被害者遺族の心も満たされていない。・・・やるせなくなりました。
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