- 辻村深月さんの小説『噛みあわない会話と、ある過去について』より 「ママ・はは」 あらすじと感想
- 母の影響力
- 噛み合わない自分と相手
- スミちゃんの願い
- 後味はホラー
少しだけネタバレあります
噛み合わない親子
辻村深月さんの小説『噛みあわない会話と、ある過去について』より、第3回目のレビューは、「ママ・はは」 です。
『噛みあわない会話と、ある過去について』あらすじ
「過去」に向きあう人物たちを描いた4つの物語
「過去」に向きあう人物たちを描く辻村深月さんの短編集。
「ママ・はは」 感想
怖い。・・・で、結局、前の母はどうなったの? 想像するのも怖くて想像したくなくなりました。
母の影響力

こういう母親、いるかもと思いました。
真面目な母親。悪い人ではないんだけど、ちょっとズレている。そしてズレていることに本人はまったく気づかない。
世渡り上手になるには 建前も必要。でもこういう人、嫌いじゃないです。
家を守っている絶対の存在であり、母の常識がその家のルールであり・・・。他人からみて非常識なことでも、母の常識であるならば子どもにとっても常識になってしまう。
母の影響力はすさまじい。それで様々な人がいるわけだから、面白いなとも思います。
噛み合わない自分と相手
噛み合わない親子が描かれています。
スミちゃんと、スミちゃんのお母さんです。
基準は自分。お洋服や食べ物に興味がなかったとしても、自分の子どもも同じだとは限らない。
少しだけ余談。
反省する自分がいました。・・・私は 母ではないので、仕事のことです。
自分を基準として考えてはいけない。
仕事には A→B→C→D・・・といった流れがありますが、時には A→A’→B→B’・・・というようなことを求めてしまうことがあります。A ができたなら、A’ も出来るよね・・・ってゆうか、気づいてと。
でもそれって、違うのかなと反省。教えない限りは求めてはいけない。
スミちゃんの願い

噛み合わない親子
親子がすれ違ってしまうのは 悲しくなります。スミちゃんの願いに胸が痛みました。
どこかに本物の優しい、子どもの話もちゃんと聞いてくれるような母親がいて、今の母が継母だったならいいのに
完全に噛み合っていない親子。母は自分の考えを子に押し付け、子はそんな母に嫌気がさしています。
1枚の写真 (成人式の着物) の下りを読んだときは ファンタジー?と思いましたが、これはホラーですね。真面目な母が一転、友だち親子のような可愛い母に変わっています。
なぜ 母は変わったのか。『ママ・はは』を読んで想像してみて下さいませ。
後味がホラーな1話
「ママ・はは」 だけ異色な物語でした。後味はホラーです。子どもは母を選べない。母から受ける影響は大きいですね。
でも面白いと思うのは、しっかりしていない母の子どもは逆にしっかりしていたりと、正反対の性格に育ったりもする。(←私の周りの話です)
そうやって 欠けているところは補えるように育つんだなと思う今日この頃です。
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