「ママ・はは」 あらすじ・ネタバレ感想文|噛み合わない親子|辻村深月
- 『噛みあわない会話と、ある過去について』より 「ママ・はは」 あらすじと感想
- 母の影響力
- 噛み合わない自分と相手
- スミちゃんの願い
- 後味はホラー
少しだけネタバレあります。
噛み合わない親子
辻村深月さんの小説『噛みあわない会話と、ある過去について』より、「ママ・はは」の感想です。
「ママ・はは」はホラー感が強い一話。
面白かったよ。
『噛みあわない会話と、ある過去について』あらすじ
4つの物語
「過去」に向きあう人物たちを描く辻村深月さんの短編集。
「ママ・はは」 ネタバレ感想文
噛み合わない親子が描かれた「ママ・はは」。
読んでの感想はひとこと、怖い・・・でした。結局、前の母はどうなったんだろう?
想像するのも怖くて想像したくなくなった。
母の影響力
「ママ・はは」を読んで、こういう母親、いるかもと思いました。
真面目な母親。悪い人ではないんだけど、ちょっとズレています。そしてズレていることに本人はまったく気づかないという・・・。
世渡り上手になるには建前も必要ですね。こういう人、嫌いじゃないけど。
子どもが受ける母の影響は大きい。
家を守っている絶対の存在であり、母の常識がその家のルールであり・・・。他人からみて非常識なことでも、母の常識であるならば子どもにとっても常識になってしまう。
それで様々な人がいるわけだから、面白いとも思うよ。
噛み合わない自分と相手
噛み合わない親子、スミちゃんとスミちゃんのお母さんが描かれていました。
母の基準は自分なんです。お洋服や食べ物に興味がなかったとしても、自分の子どもも同じだとは限らないのに・・・。
自分を基準として考えてはいけない。
これは本を読んでる私もドキッとするものがありました。私の基準は、相手のそれとは違うんですよね。
押しつけないように気をつけよう。
スミちゃんの願い
親子がすれ違ってしまうのは 悲しくなります。スミちゃんの願いに胸が痛みました。
どこかに本物の優しい、子どもの話もちゃんと聞いてくれるような母親がいて、今の母が継母だったならいいのに
完全に噛み合っていない親子。母は自分の考えを子に押しつけ、子はそんな母に嫌気がさしていました。
血が繋がっているのに分かり合えていない・・・。
1枚の写真 (成人式の着物) の下りを読んだときは ファンタジー?と思ったけど、これはホラーですね。真面目な母が一転、友だち親子のような可愛い母に変わっています。
なぜ母は変わったのか。
ぜひ、この一話を読んで想像してみてね。
「ママ・はは」は後味がホラーで異色な物語
『噛みあわない会話と、ある過去について』の「ママ・はは」だけ異色な物語でした。
後味はホラーです。子どもは母を選べない・・・。一番身近にいる母から受ける影響は大きくなりますね。
でも面白いことに、しっかりしていない母の子どもは逆にしっかりしたりと、正反対の性格に育ったりもする(←私の周りの話です)。
そうやって 欠けているところは補うように育つものなのかも。