『禁断の魔術』(文庫版)あらすじ・ネタバレ感想文|ガリレオと科学を制する者|東野圭吾
- 『禁断の魔術』文庫版のあらすじと感想文
- レールガンと科学の戒め
- ガリレオが殺人を犯す!?
- 素敵な登場人物
少しだけネタバレあります。
ガリレオと科学を制する者
東野圭吾さん『禁断の魔術』文庫版の感想です。ガリレオシリーズ。
『禁断の魔術』は、単行本に収録されている4つのうちの「猛射つ」(うつ)を大幅に改稿して、ページ数を倍増したものです。
面白かったよ。
『禁断の魔術』あらすじ
ガリレオシリーズ
かつて湯川が指導した、古芝伸吾が帝都大に入学してきた。だが彼は早々に大学を中退する。その頃、フリージャーナリストが殺された。その男は代議士の大賀を執拗に追っており、大賀の番記者が伸吾の死んだ姉であったことが判明した。草薙は伸吾の姉の死に大賀が関与しており、伸吾が大賀への復讐を企んでいると警戒する。湯川はその可能性を否定しつつも、伸吾が製作したある“装置”の存在に気づいていた。
『禁断の魔術』ネタバレ感想文
単行本『禁断の魔術』での中編「猛射つ」に加筆した長編バージョン。
過去に読んでいたんですよね。大体のストーリーは変わってなくて展開は分かっていました。それでも面白く一気読みです。
東野作品でよく登場する科学。今回はレールガンが登場したよ。
レールガンと科学の戒め
東野圭吾さんの本には、よく科学が出てきます。『天空の蜂』や『ラプラスの魔女』もそうでした。東野さんがエンジニアだったこともあり、それを絡めた作品が面白い。
『禁断の魔術』は「レールガン」という一歩間違えれば兵器にもなり得るものがでてきました。
電気を使って射つ大砲のようなものかな?
湯川先生(ガリレオ)の母校に通っていた古芝伸吾は、姉の復讐のためその装置を作るのだけど・・・。
湯川先生の言葉が心に残りました。
要は扱う人間の心次第。邪悪な人間の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない
心にズシッときますね。使い方次第で善にも悪にもなる。便利なものというのは大抵そんなものです。
「科学を制する者は世界を制す」とは、本の中によく出てくる戒めのような言葉でした。
作る人も使う人も、心に刻んでおきたい言葉だ。
ガリレオが殺人を犯す!?
ヤマ場はラストです。
湯川先生が犯罪に手を染めるか、染めないかのシーンがドキドキでした。
まさか、まさかの展開!!ガリレオは犯罪に手を染めてしまうの!?
湯川先生の、古芝くんを想う気持ちがあふれています。愛情ゆえの苦悩が全体を通して描かれているんですよね。胸が痛むと同時にジーンとしました。
素敵な登場人物
東野作品を読むと毎回思うのだけど、登場人物が素敵なんです。
ガリレオや内海さん、草薙さん・・・。
ドラマの福山雅治さんや、柴咲コウさんの映像が浮かんできました。
「猛射つ」もドラマにぴったりのお話だね。
『禁断の魔術』は湯川の苦悩と愛情が描かれた一冊
「もし自分のせいで殺人犯になりそうな人間がいたら、湯川はどんなふうに苦しみ、どうやって責任を取るだろう」
東野圭吾さんのこの発想で生まれた本作は、ガリレオの苦悩がよく描かれていて人間味を感じました。ますます湯川先生が好きになります。
『禁断の魔術』は、湯川の苦悩と愛情が描かれた作品だったよ。
単行本の短編を読んでいても、もう一度文庫版の長編を読む価値はありました。オススメです。