「赤い雨」あらすじ・ネタバレ感想文『罪人の選択』貴志祐介
- 「赤い雨」あらすじと感想文
- チミドロに汚染された地球
- RAINを研究する医師・橘瑞樹
- 波乱の展開
ネタバレあります。ご注意ください。
チミドロに汚染された地球
貴志祐介さんの小説『罪人の選択』より「赤い雨」感想です。人々の生活を脅かす赤い雨が降る地球が舞台の未来SF。
雨も海も赤くて悲惨だけど、世界観が印象的だった。
貴志さんの小説はリアル感があって怖いけどハマる。続きが気になり、一気に読みました。
『罪人の選択』あらすじ
4つの短編集
「夜の記憶」―『十三番目の人格―ISOLA―』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!「呪文」―『新世界より』の刊行後ほどなくいて発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている…。「罪人の選択」―「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?「赤い雨」―新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。
「赤い雨」ネタバレ感想文
「赤い雨」は新参の生物によって汚染された未来の地球が舞台でした。それの影響で赤い雨が降るという・・・。
雨が赤いなんて、気持ち悪っ。
雨が赤いのだから、海なども赤い。想像すると寒気がしました。
新参の生物・チミドロに汚染された地球
主人公・橘瑞樹は、新参の生物・チミドロの研究をしている医師です。チミドロの汚染により地球は赤い雨が降りそそぐ。
赤い雨が降る地球が斬新・・・。
一部の人はドームの中で「赤い雨」を凌いで暮らし、それ以外の貧しい人々は「赤い雨」に晒されて死んでいく・・・。
文明が進んでいる様子から未来だとわかるけど、悲惨な光景でした。
貴志さんの小説は、SFでもホラー感があるよね。
このヒヤリ感がたまらないんです。
RAINを研究する医師・橘瑞樹
物語はチミドロの研究をしている瑞樹の視点で進みます。彼女は貧しい家の出身だったけど、秀才を認められてドームで暮らすエリートでした。
彼女のような研究者が、もっとたくさんいれば良いのに。
瑞樹は父親に対して、自分だけドームで守られながら暮らすことに引け目を感じていました。
RAINの研究に没頭している理由も、本当は、自分が罪の意識から解放されたいのではないのか
瑞樹が感じている罪の意識は、RAINに晒されている父親を残して自分だけが幸せになることかな。悩みながらも必死にRAINの研究をしている彼女はステキです。
波乱の展開
RAINで亡くなった遺体を密かにドームに運び入れた瑞樹。治療法を見つける研究のためだけど、バレてしまいます。そして裁判にかけられる。
波乱の展開ですね。
恋人・光一の弁護とハッタリはさすがでした。命は助かったけど、彼女はドームを出ることに・・・。でもRAINの治療法を見つけることを諦めてはいないんです。
いつか、この雨が透明に変わる日が来る。何世代、何十世代後になるかはわからないが、その日まで、わたしの遺伝子は闘い続けるだろう
彼女が研究を続ける理由って、父親に対する罪の意識だけではないのかも。
人々を救うためでもあるんだろうけど、彼女自身、地球に透明の雨を蘇らせたいんじゃないかな。赤い雨なんて気持ち悪いし。
もしも雨や海が赤かったら・・・と、想像したけど一瞬で嫌気がさしました。雨は透明で海は青くて良かったです。
「赤い雨」が読める『罪人の選択』はSF好きにオススメ!
「赤い雨」を含む4つの短編集『罪人の選択』。表題作以外の3話はSF小説でした。貴志さんのSFだから、ほんのりとホラー感もあります。
4つ、どれも良かった。
過去に書かれた短編もあるから、貴志さんの他の小説も連想しながら読みました。
「呪文」は『新世界より』の刊行後に書かれたみたい。呪力が芽生えたあの世界観を思い出したよ。