『NO.6 beyond』あらすじ&感想文|あさのあつこ『NO.6』続編!崩壊後の彼らは・・・
- 『NO.6 beyond』あらすじと感想文
- イヌカシの日々
- 過去からの歌
- 紫苑の日々
- ネズミの日々
少しだけネタバレあります。
ぼくは、生きてきみを待っている。
あさのあつこさんの小説『NO.6 beyond』感想です。主要人物の思いがそれぞれ描かれていました。
『NO.6』の続編にあたる4つの物語。
『NO.6』読んだらこちらもおすすめ!
大きな進展はないけど、紫苑やネズミ、イヌカシ、火藍の日常や思いが心に響く。ほのぼのとした物語でした。
『NO.6 beyond』あらすじ
『NO.6』続編!
「NO.6」 崩壊後、ネズミは旅に出て 紫苑は留まった。遠くの荒野からネズミの心は紫苑に寄り添い、紫苑の心もまたネズミと共にある。瓦解した世界のその後を描く、真の最終章。
『NO.6 beyond』ネタバレ感想文
ほんのりと心が温まりました。紫苑とネズミ、再会はしなかったけど、それぞれの物語からお互いを思う気持ちが伝わってきます。
心の中に誰かがいると強く生きられる。
離れていても強い絆で結ばれているだね。いつか再会した物語も読みたいな。
「イヌカシの日々」|意外な一面
イヌカシに視点をあてた物語。イヌカシを拾った老人のこと、ネズミと初めて出会ったときのこと、そして現在のイヌカシが描かれています。
イヌカシって女の子なのかな。
『NO.6』で、はっきりと性別が描かれていたわけではないけど、何となくそう思います。人一倍 「生」 への執着がある彼女。裏を返せば 「死」 を恐れているということになりますね。
彼女が熱を出し、紫苑とネズミが駆けつける・・・という、ほんのりと心が温まるお話でした。いつも生意気なイヌカシの意外な一面を知ることができます。
前作『NO.6』で紫苑が なぜイヌカシに赤ん坊を預けたのか。
もちろん彼女だったら育ててくれるという確信があってのことだけど、「イヌカシの日々」 を読んで妙に納得しました。そう言えばイヌカシも拾われて育てられた子だったんだと。
そういう奇跡を誰よりも身を持って知っているのが彼女なんだね。
「過去からの歌」|ネズミの迷い
西ブロックでネズミと暮らす紫苑の視点。そして紫苑と出会う2年前の日々がネズミの回想とともに語られている「過去からの歌」。
ここではネズミの迷いが描かれていました。紫苑と出会い、ゆっくり流れる日々に身をまかせながらも焦燥感にかられるネズミ。
おれはいつか、この鎖を断ち切れるだろうか。憎しみという鎖、紫苑という鎖を断ち切り、自由になれるだろうか
なんだか ネズミらしい。
彼の願いは自由に生きることです。誰にも束縛されずに、風のようにさすらう。ネズミってこういう奴だよねと思いました。
その願いどおり、ネズミは 「NO.6」 を離れます。全ての鎖を断ち切り 紫苑を残して・・・。前作『NO.6』の別れのシーンが頭をよぎりました。
「紫苑の日々」|偉大な火藍
紫苑の視点で描かれた 「NO.6」 崩壊後の日常を描いた物語。イヌカシと力河も登場します。紫苑の母・火藍が偉大だということがわかった1話でもありました。
女にも金にもだらしなくて、アル中一歩手前のどうしようもない地質学者の男 (紫苑の父) と結婚して別れた火藍。
ロストタウンで小さなパン屋を営み、早朝からパン生地を練る。「NO.6」 が崩壊するときも、人々が混乱する中で彼女は淡々とパンを焼いていました。
変わりゆく時の中で、決して変わらないものが ここにある。
変わらないという安心感。「紫苑の日々」 を読んでいると、そういう日常の大切さを実感します。
紫苑の思いの中には ネズミが出てきました。彼とは別れたあとだから 紫苑の回想の中でしか登場しないけど、彼を思う気持ちが温かい。
ぼくは、生きてきみを待っている
結局『NO.6 beyond』では2人の再会はなかったけど、お互いを思いながら生きているのが伝わってくるんです。「紫苑の日々」でも、次の章「ネズミの日々」でも。
2人は強い絆で結ばれているんだ。
「ネズミの日々」|紫苑の父親
「NO.6」を離れたネズミの日々を描いた1話。西ブロックで紫苑と過ごした日の回想も描かれています。
紫苑と別れてからもネズミの中には彼がいる。いつか再会することを願いながら読みました。
「ネズミの日々」には 紫苑の父親らしき男が登場します。盗っ人と間違えられ、なんだかいい加減な男。彼は「NO.6」を目指していました。
『NO.6 beyond』に続きがあるなら、いずれ 彼と紫苑は出会うんだろうね。
続きが気になります。もしも紫苑の父親が 「NO.6」 に戻り、火藍や紫苑と再会したら・・・。また波乱な展開になりそうだ。
『NO.6』を読んだらこちらも読もう!『NO.6 beyond』
『NO.6』の登場人物の思いが交差する『NO.6 beyond』。再び「NO.6」の世界観に浸りたい人におすすめの1冊です。
キャラに深みが増したよ。