「記憶ノ檻」「記憶ノ棘」ネタバレ感想文・あらすじ『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』

- 『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』紹介
- 「記憶ノ檻」「記憶ノ棘」あらすじ・感想文
- 反撃にでた9S
- 戦慄した2Bの言葉
- 悲しき宿命が終わるとき
ネタバレあります。ゲームの内容にもふれますので、ご注意ください。
殺して。私を
映島巡(監修・ヨコオタロウ)さんの小説『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』読書感想です。ゲームのノベライズ版、中・短編集。
その中の2つ、2Bと9Sの宿命を描いた「記憶ノ檻」「記憶ノ棘」レビューです。

切なくて号泣した。
この2つのストーリーを読むと、ゲーム『NieR:Automata』3周目、2Bの微笑みに深さが増しますね。

『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』あらすじ
「NieR:Automata」中・短編集
アンドロイドが人類の栄光を夢見る遙か昔から、魔法実験兵器は転がり続ける。著者:映島巡&監修:ヨコオタロウで再び贈る「プレイステーション4」ゲーム「NieR:Automata(ニアオートマタ)」中・短編小説集。新規書き下ろし中編2編を含む“短イ話”の結晶体!
2Bと9Sの宿命に号泣!『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』
『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』一番印象に残った「記憶ノ檻」と「記憶ノ棘」は、2Bと9Sを描いた物語です。
くり返される悲劇とでも言いますか。切ないんですよね、2人の宿命が。全てを記憶している2Bも、全ての記憶が消される9Sも・・・。

どちらも過酷な運命だよね。
他にも好きなストーリーは、あと2つありました。「ヨルハ─Ver.1.05」と「静カスギル海」。こちらは前回のレビューをどうぞ。

「記憶ノ檻」「記憶ノ棘」ネタバレ感想文|幾度もくり返される分岐ストーリー

「記憶ノ檻」と「記憶ノ棘」を読んでいて、ゲームの周回プレイをしているような気分になりました。
もしも9Sが知りすぎてしまったら、2Bは彼を抹殺しなければならない。
S型モデルは、調査と情報収集を専門とするアンドロイドです。好奇心旺盛で、どうしても知らずにはいられないんですよね。
悲しいのは、2Bは幾度も9Sを抹殺していること。・・・そうしなければいけないこと。そしてどうやら、9Sは彼女の任務に気づいていることです。

どんなにあがいても結末は一緒なんだ・・・。
「記憶ノ檻」反撃にでた9S
『砂の神殿』で9Sを抹殺しなければならない2Bに切なさを感じました。
9Sは死んだ。任務完了だ。にも拘わらず、やり残したことがあるような、この頼りなさは何なのか。呼吸機能に乱れがあるのは、なぜなのか
「感情を持つ事は禁止されている」と、よく9Sに言っていた2B。・・・でも、実は自分に言い聞かせていたのですよね。そうやって感情を抑えていた。
無事に任務が完了したのに呼吸機能に乱れが生じたりするのは、彼女が動揺している証拠です。

呼吸が乱れようと何があろうと、本部の命令には逆らえないんだよね。
印象に残ったのは、反撃にでた9Sでした。
彼女の任務に気づいてはいるけど、違っていたら良いと願っていた彼は、確証を得るために2Bをハッキングするのです。

でも結局は、2Bに殺されてしまうんだけど・・・。
バンカー(司令部)の方が一枚上手ですね。彼の行動を予測して、ハッキング空間内にトラップを仕掛けていたのだから。
「記憶ノ棘」2Bの言葉に戦慄
冒頭を読んだときに既視感を感じました。それもそのはず、「記憶ノ棘」と「記憶ノ檻」2つの書き出しは同じなんです。
分岐するパラレルワールドのような感じですね。悲しいかな、中身は違うけど終着(9Sが抹殺される事実)は一緒でした。
2Bに下った極秘任務は『石の神殿』での9S抹殺です。

極秘と言いつつも、彼は気づいていたのだけど。
2Bが9Sのことを「ナインズ」と愛称で呼んでいた時間枠。ほっこりする分、よけいに切なさが増しました。
「2Bは、以前にも、僕を、殺していた」
ここでの9Sは、彼女がこれまで幾度も自分を処分してきたことを知ってしまうんです。「論理ウィルス」に汚染された2Bを助けようと、ウィルス除去する過程で・・・。

彼女にとっては一番知られたくなかったことだよね。
印象的だったのは、2Bが9Sの処分を諦めようとしたことです。刃を自分に向け、柄を彼に握らせました。
「殺して。私を」
こういう展開もあったんだ・・・。2Bのことばに戦慄しました。
でも9Sはウィルス除去の際、今にも崩れてしまいそうなほど傷だらけになっていた彼女の自我データを見ています。それは2Bの気持ちそのものなんですよね。
後ろめたさや葛藤などの感情によって生じた傷。
平気で任務を実行していたわけではないと知った彼は、自ら命を断つ方を選ぶのです。このシーン、切なくて号泣しました。
「次は……ためらわずに、殺してね。また会えるんだから……僕達は」
もしも彼女を殺すことを選んでいたら、違う2Bが派遣されるんだろうか。・・・そうに違いありません。
9Sは今の2Bのことが好きなんですよね。記憶をリセットされようとも、また彼女に会いたいと願う彼がたまらなく愛おしく感じました。
悲しき宿命と、それが終わるとき・・・

2Bはこれから幾度も彼を抹殺する記憶を持ち続け、9Sの記憶はリセットされ続ける。
2Bと9Sの悲しき宿命に思いを馳せました。分岐はするけれど、結末は決まっているんです。そうして2Bの自我データ(心)はボロボロに・・・。

「記憶ノ棘」を経て、2Bはナインズ呼びをやめたのかな。
それでも2人の宿命は終わるときが訪れます。ゲーム『NieR:Automata(ニーアオートマタ)』本編3周目。
あのときの、彼女のホッとしたような表情。
2Bの安らかな笑みが記憶に強く残っています。それは、やっとこの宿命から開放されることへの安堵感だったのでしょうね。
2Bは開放されたけど、9Sは彼女に囚われてしまうのだから上手くいかないものです。

「記憶ノ檻」「記憶ノ棘」を読むと、さらに深さが増すよ。
オートマタ好きは読もう!『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』
『NieR:Automata(ニーアオートマタ)短イ話』は、オートマタ好きは読んで損はないストーリー集です。
より深みが増して、またゲーム本編をやりたくなるような小説でした。

おすすめだよ。
BGMは、ぜひこちらで!
ゲームはこちら



