『アルスラーン戦記』年表・時系列、パルス歴史を解説|第1部、第2部ネタバレ
第1部、第2部の時系列を解説
田中芳樹さんの小説『アルスラーン戦記』全16巻の詳しい年表・時系列、パルス歴史の流れを解説しています。
第1部、王都エクバターナに注目した時系列を以前に公開しました。
今回は王都だけでなく、小説全16巻、王太子アルスラーンの歩んできた道、その期間に起きたことを詳細にまとめています。
第1部の1巻~7巻、第2部の8巻~16巻の年表も追加したよ。
『アルスラーン戦記』第1部 年表(時系列、パルス歴史)解説|王都炎上~奪還まで
まずは『アルスラーン戦記』全16巻中、第1部7巻までの年表・時系列です。
パルス歴320年10月 アトロパテネの会戦~321年9月 国王アルスラーン即位までが第1部です。
ルシタニア軍にパルス軍が惨敗(アトロパテネの会戦)、王都エクバターナが炎上し奪われ、奪還までは約1年間の出来事でした。
14歳の王太子アルスラーンの成長が感じられた1年だった。
1~3巻 年表・時系列|「王都炎上」「王子二人」「落日悲歌」
第1部 「王都炎上」、「王子二人」、「落日悲歌」 3巻までの年表・時系列、パルス歴史です。
アンドラゴラス王とタハミーネ王妃との間に王子誕生
アルスラーン王子を正式に王太子とする
3カ国 (トゥラーン、シンドゥラ、チュルク) 連合軍がパルスに侵入。ナルサスの策略により内部崩壊。パルス、連合軍を撃破
ここまではざっくり。第1巻 「王都炎上」 は、パルス歴320年10月 アトロパテネの会戦よりスタートします。
パルス軍vsルシタニア軍&ヒルメス。ヴァフリーズ死す。国王アンドラゴラス三世、捕虜となる
王都エクバターナ、ルシタニア軍に奪われる
アルスラーン、城塞カシャーンへ。カシャーン城主ホディール卿死す
アルスラーン、ペシャワール城塞へ
ラジェンドラ (シンドゥラ軍) VS アルスラーン。アルスラーン勝利 → シンドゥラ王子ラジェンドラ捕虜、盟約を結ぶ
シンドゥラ国グラジャラート城塞、アルスラーンにより陥落
ガーディヴィvsラジェンドラ (&アルスラーン)
ダリューンvsバハドゥール → ダリューンの勝利。バフマン老死す
シンドゥラ国王カリカーラ死す。ラジェンドラ王子、シンドゥラ国王に即位。兄ガーディヴィ死す
ルシタニア軍分裂。ヒルメス、ザーブル城にて聖堂騎士団討伐 (→ 大司教ボダン、マルヤムへ逃亡)
アルスラーン、「奴隷制度廃止令」 を掲げる
アトロパテネの会戦でパルス軍が敗退。ダリューンとともに生き延びたアルスラーンは、ナルサスを頼って追手から逃れます。
ここから未来の宮廷画家ナルサスの策略がはじけるんだ。
彼はアルスラーンを解放王に導いた人物。シンドゥラ国王子ラジェンドラを罠に嵌めたのはすごかったです。
神前決闘でのダリューンの活躍も目が離せなかったよ。
4~6巻 年表・時系列|「汗血公路」 「征馬孤影」 「風塵乱舞」
第1部4~6巻 「汗血公路」、「征馬孤影」、「風塵乱舞」 までの年表・時系列、パルス歴史です。
ペシャワール城にて、アルスラーンの元へ兵が集結 (ルーシャン、ザラーヴァント、イスファーン、トゥースなど)
アルスラーン、王都エクバターナへ出陣。ギーヴとの別れ
チャスーム城、アルスラーンにより陥落
聖マヌエル城、アルスラーンにより陥落。エトワールと出会う
捕虜になっていたアンドラゴラス三世、ルシタニア王弟ギスカールを人質に立てこもる (王都エクバターナにて)
トゥラーン軍がペシャワール城進撃。アルスラーン、引き返す
ギーヴ、デマヴァント山でヒルメスと一騎打ち → ペシャワール城に引き返し、アルスラーンと合流
国王アンドラゴラス三世&王妃タハミーネ、自力でペシャワール城に帰還
王太子アルスラーン追放 → ダリューン、ナルサス、ギーヴ、ファランギース、エラム、アルフリード、ジャスワント、アズライール (鷹)、アルスラーンの元に集結。ギランの港町へ
アンドラゴラス三世、王都エクバターナに進軍 (vsルシタニア軍)
アルスラーンが「奴隷制度廃止令」を掲げたことで 多数の兵が集まりました。そして王都エクバターナに向けて出陣します。その道すがら、チャスーム城と聖マヌエル城を攻めて陥落。
小説ではエトワール(エステル)とアルスラーンは 聖マヌエル城で出会うんだ。
聖マヌエル城を攻めたのはナルサスの臨機応変の策略によるものでした。そしていざ王都へと思っていたら、ペシャワール城がトゥラーン軍に襲われる。
アルスラーンは引き返します。ペシャワール城を守ったところまでは良かったけど、国王アンドラゴラス三世が帰還してアルスラーンは追放に・・・。
あんまりだ。
でもダリューンやナルサスなど7人+1羽の仲間たちがアルスラーンを追いかけてきたのには泣けました。
7巻 年表・時系列|「王都奪還」
第1部7巻 「王都奪還」 の年表・時系列、パルス歴史です。
アンドラゴラス三世 (パルス軍)vs王弟ギスカール (ルシタニア軍) → パルス軍勝利
ヒルメス、横から王都エクバターナ奪還
アルスラーン (パルス軍)vsギスカール (ルシタニア軍)。ギスカール、マルヤムへ落ちのびる
アルスラーン、デマヴァント山で宝剣ルクナバード入手
アンドラゴラス三世vsヒルメスvsアルスラーン。王都エクバターナにてパルス人同士の争い。
アンドラゴラス三世、イノケンティス七世 (ルシタニア国王) 死す。ヒルメス、マルヤム王女イリーナと共に落ちのびる
パルス歴321年8月 サハルード平原の会戦でルシタニア軍に勝ったアンドラゴラス三世。西にはヒルメス王子が、南にはアルスラーンが迫っていました。
ヒルメスが横から王都を奪還。
ヒルメス王子はパルス正統の血筋をひく人。奪還という表現は相応しいね。
王都から逃げてきたルシタニア軍をアルスラーンが追います。アトロパテネの会戦再び。生かされた王弟ギスカールはマルヤムへ落ちのびる。
この辺りでアルスラーンの出生の秘密がタハミーネの口から明かされるんだ。
王家の血をひいていないと知った彼は宝剣ルクナバードを求めてデマヴァント山へ。
そして二王墜死の塔(ターヤミーナイリ)事件を経て、パルス歴321年9月 アルスラーンは国王となるのです。
『アルスラーン戦記』第2部 年表(時系列・パルス歴史)解説|蛇王ザッハーク復活
『アルスラーン戦記』第2部は、18歳になった国王アルスラーンが描かれています。
国王に即位したのがパルス歴321年9月、アルスラーンが15歳のとき。それから3年後のパルス歴324年9月、アルスラーンは18歳になりました。
8巻~9巻では、それ以前のマルヤム国の情勢も描かれているよ
8~9巻 年表・時系列|「仮面兵団」 「旌旗流転」
第2部8~9巻 「仮面兵団」 「旌旗流転」 までの年表・時系列、パルス歴史です。
教皇ボダンvsギスカール → ギスカールの勝利、ボダン逃げ延びる
北→ボダンの統治、南→ギスカールの統治
第1部でアルスラーンに敗れたギスカールはマルヤム国へ向かったんだよね。国王に即位したんだ。
国王アルスラーン、18歳の誕生日であり、3回目の即位記念日
ミスル国王ホサイン三世、夜半にディジレ河を渡り、パルス領内侵攻 → パルス軍、これを退ける
チュルク国、パルスとシンドゥラの国境カーヴェリー河の上流に攻めこむ → パルス軍の勝利
ギーヴ、エラム、ジャスワント、ゴラーブ将軍を伴いチュルク国へ
チュルク国ヒルメス率いる仮面兵団、シンドゥラ国に侵攻。アルスラーン、シンドゥラの救援に向かう
- チュルク軍、コートカプラ城に立てこもる
- パルス軍、コートカプラ城をチュルク軍から奪回。仮面兵団を待ち伏せる
- ダリューンvsヒルメス → ヒルメス逃げる
『アルスラーン戦記』8、9巻では、ミスル国、チュルク国との戦いが描かれていました。どちらもナルサスの策略によりパルス軍の勝利。
- ミスル国→国王ホサイン三世&シャガード
- チュルク国→国王カルハナ&仮面兵団率いるヒルメス
ミスルとチュルクに2人のヒルメスが登場します。もちろん片方は偽者。ミスルに現れた顔に傷を負った男は、かつてナルサスの友人だったシャガードです。
可哀想なのはザンデ。
シャガードをヒルメスだと思わされ仕えるも、途中で偽者だと気づき殺されてしまう。
第1部では度々ダリューンの元に現れるザンデがウザイと思ったけど、この展開は切なかったです。
10~12巻 年表・時系列|「妖雲群行」 「魔軍襲来」 「暗黒神殿」
第2部 10~12巻 「妖雲群行」 「魔軍襲来」 「暗黒神殿」 までの年表・時系列、パルス歴史です。
イスファハーン、ジャスワント、クバード、トゥース、メルレイン、デマヴァント山へ
ヒルメス王子、自らをクシャフールと名乗る
オクサスの領主ムンズィル卿を訪ねる → ナーマルド、有翼猿鬼 (アフラ・ヴィラーダ) に・・・
エステル、パラフーダ、ボダン殺害の濡れ衣を着せられ、マルヤム国を追われる → パリザードとともにパルス国へ
ペシャワール城、魔軍襲来。魔将軍イルテリシュvsイスファハーン
カリヤーン街地下に 「暗黒神殿」 発見される
10巻あたりから魔軍が色濃く描かれていました。デマヴァント山へ向かうパルス軍、ペシャワール城の魔軍襲来、そして暗黒神殿の発見・・・。
有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)や、魔将軍イルテリシュとの戦いは凄まじい。
他国の情勢も変わっていきます。マルヤム国では教皇ボダンが処刑され、ミスル国ではヒルメス王子が立ち上り国王の交代。
第1部はアルスラーンが中心だったけど、第2部はパルス軍の仲間たちや敵国の内情も細かく描かれていました。
十六翼将のひとりひとり、そしてヒルメス王子にもスポットが当てられているのが嬉しかった。
13~15巻 年表・時系列|「蛇王再臨」 「天鳴地動」 「戦旗不倒」
第2部 13~15巻 蛇王再臨」 「天鳴地動」 「戦旗不倒」 までの年表・時系列、パルス歴史です。
- ミスル国クシャーフル (ヒルメス) 国都アクミームを出立
- 8月20日 シャガードが謀反をおこす (ヒルメスの罠) → シャガード死す
- 8月25日 ヒルメス、ミスル国を追われる → マルヤム国へ
パルス軍これを退ける
エステル (エトワール) アルスラーンに看取られながら逝く
後の 「解放王アルスラーンの十六翼将」、将軍の印綬を国王アルスラーンから授けられる
再び暗黒神殿の調査 → ザラーヴァント逝く
デマヴァント山にて、蛇王ザッハーク復活
チュルク国王カルハナvs魔将軍イルテリシュ → カルハナ死す
パルス軍これを退ける → 魔道士ガズダハム死す
国王アルスラーンを庇い、トゥース逝く
キシュワード、ジムサ、ファランギース、メルレイン、資金調達のためギランの港町へ → 魔軍の襲来 → グラーゼ、ジムサ逝く
国王サーリフ死す → テュニプ、ミスルの新国王に
国王アルスラーン、西方国境へ → ミスル軍と衝突 → ミスル国王テュニプ死す。フィトナ、ミスル国女王に
マルヤム国ヒルメスと遭遇 → ナルサス、アルフリード逝く
ミスル国を乗っ取ろうとしたヒルメスでしたが失敗、マルヤム国へ逃れます。そしてマルヤム国からパルス軍に攻撃をしかける。
一方、チュルク国からは魔軍が、ミスル国からはテュニプが・・・。
全面戦争だ。
「解放王アルスラーンの十六翼将」と称される仲間が次々と犠牲になっていきました。ザラーヴァントに始まり、トゥース、グラーゼ、ジムサ、ナルサス、アルフリードまでも。
最終巻「天涯無限」でも犠牲は続きます。
16巻 年表・時系列|「天涯無限」
第2部 最終16巻 「天涯無限」 の年表・時系列、パルス歴史です。
途中、負傷を負っていたジャスワント逝く
パルス軍これを退ける → 魔道士グルガーン死す
パルス軍、マルヤム軍を撃破 → 新マルヤム国王ギスカール死す
アンドラゴラス (蛇王) 率いる 「僭王討伐軍」 王都エクバターナに布陣
パラフーダ逝く
ギーヴ、三本の矢でミスル軍を撃退 → ミスル国女王フィトナ、宦官ヌンガノ死す
- イルテリシュvsクバード → 相討ち、両者死す
- 魔道士vsイスファハーン → イスファハーン逝く
- アンドラゴラス (蛇王)vsメルレイン → メルレイン逝く
- アンドラゴラス (蛇王)vsキシュワード → キシュワード逝く
- ヒルメスvsダリューン → ヒルメス逝く
- アンドラゴラス (蛇王)vsダリューン → ダリューン逝く
- アンドラゴラス (蛇王)vs国王アルスラーン → 相討ち、両者死す
パルス国第19代国王アルスラーン、享年19、在位4年8ヶ月
アンドラゴラス(蛇王ザッハーク)との最後の戦いで、「解放王アルスラーンの十六翼将」のほとんどが犠牲となりました。ダリューン、そして最後には国王アルスラーンまでも・・・。
パルス国第19代国王アルスラーン逝去、享年19、在位4年8ヶ月。
『アルスラーン戦記』は物語であると同時に「戦記」「歴史」であるということを痛感したラストです。
国王アルスラーン逝去後も歴史は続いていくんだね。
エラムの最期まで読んで『アルスラーン戦記』終わったんだと、しみじみしたよ。
『アルスラーン戦記』あらすじ|第1部と第2部、簡単な解説
壮大な大河ファンタジー
猛勇なる騎士軍団を誇り、不敗の国王・アンドラゴラスが君臨するパルス王国。蛮族ルシタニアとの戦いでも、その勝利を疑う者はなかった。だが、味方の裏切りにより軍団は一日にして崩壊。王国は滅亡してしまう。生き残った王太子・アルスラーンは、勇者・ダリューンや、軍師・ナルサスらとともに故国奪還を目指す。壮大な大河ファンタジー。
第1部と第2部をめちゃめちゃ簡単に解説すると、こんな感じです。
第1部 王都奪還まで
アトロパテネの会戦でパルス軍がルシタニア軍に敗退。このとき王太子アルスラーンはわずか14歳。多くの仲間に助けられて王都エクバターナ奪還の後、15歳で国王に即位します。
第2部 天涯無限まで
18歳になった国王アルスラーン。ミスル国、チュルク国、マルヤム国、そして蛇王ザッハークとの闘いが待ち受けていました。非情なほど多くの犠牲を出しながらも十六翼将の最期までが描かれています。
壮大な物語だった。