『カエルの楽園』あらすじ・ネタバレ感想文|平和な楽園への警告|百田尚樹
- 『カエルの楽園』あらすじと感想文
- 「ナパージュ」と「三戒」
- ウシガエルの侵略
- 「ナパージュ」の意味
- 愚かなのは誰か
少しだけネタバレあります。
いちばん愚かなのは誰か。
百田尚樹さんの小説『カエルの楽園』感想です。タイトルにひかれて読んだのだけど、めちゃめちゃ深い物語でした。
ある意味、衝撃作。
裏の意味に気づいたときの衝撃と言ったら・・・。頭をガツンと殴られたような感じになりました。
これは、すごかったよ。
『カエルの楽園』あらすじ
アマガエルが訪れた国は・・・
安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、平和で豊かな国「ナパージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り穏やかに暮らしていた。ある事件が起こるまでは―。平和とは何か。愚かなのは誰か。大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」。
『カエルの楽園』ネタバレ感想文|平和とは?愚かなのは誰?
『カエルの楽園』は寓話のような物語で、カエルが安住の地を求めて旅に出るお話です。
意図するところがかなり深いんですよね。これを物語として書いた百田さんはすごいです。
『カエルの楽園』は平和な世の中への警告そのものだ。
楽園「ナパージュ」と「三戒」
アマガエルのソクラテスとロベルトが、苦難の末にたどり着いた楽園ナパージュ。
そこはツチガエルの国でした。ナパージュは争いがない、平和な国なのです。弱肉強食の世界をイヤというほど見てきた主人公たちは、にわかに信じられません。
ツチガエルは平和を愛するカエル。
ナパージュにはある戒めがありました。「三戒」と呼ばれるものです。
「三戒」があることによって平和が保たれていると信じているツチガエルたち。まさしく、そこは楽園でした。ある時までは・・・。
この「三戒」、何かを連想するよね。
平和主義を元にした日本国憲法第9条です。戦争をしない、戦力を持たない・・・という法律。それに似ていますね。
ウシガエルの侵略
盲目的に三戒を信じる国民たちにとって、戒律は絶対的なものです。戒律を信じきっているツチガエルたちに危機感を覚えました。
安心しきっている様子が危うい。
やがて、平和な楽園ナパージュにウシガエルたちがやってきます。彼らに「三戒」という教えはありません。
徐々に侵略されてゆく楽園。
でも国民たちは戒律があるから大丈夫だと思っているんですよね。本当に守ってくれているだろう存在は別にあるというのに・・・。
どこまで平和主義なんだろう。
楽園「ナパージュ」の意味に衝撃
『カエルの楽園』はフィクションだけど、実は日本の現状を描いています。この物語の意図することに気づいて、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けました。
楽園「ナパージュ」→「NAPAJ」。ひっくり返すと「JAPAN」。
日本を指しているんだ・・・。
三戒を信じて疑わない国民たちは、平和ボケしている日本人?政治に疎い私にも理解しやすく、危機感を持つ内容でした。
日本と中国とアメリカとの関係は、本書のナパージュとウシガエルとスチームボート(鷲)にあたります。過熱するマスメディアは演説をするデイブレイクですね。
この物語が日本の現状を描いているならば、その結末は・・・?
『カエルの楽園』愚かなのは誰か
愚かなのは誰か―
演説をくり返したデイブレイクか、戒律を破ろうとしていたカエルたちか。それとも、それを信じていて疑わなかった国民たちか。
1番愚かなのは、流される国民たちなのではないか?
私は安穏としている国民たちにあてはまるのかも。
ヒヤリとしました。読後感は果てしなく悪いけど、とても深いお話です。