『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』あらすじ・ネタバレ感想文|久米絵美里
- 『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』あらすじと感想文
- 言箱 (コトバコ) と言珠 (コトダマ)
- コトダマに宿る魔法
- 「一言惚れにご用心」
少しだけネタバレあります。
言葉を口にする勇気と、言葉を口にしない勇気。
久米絵美里さんの小説『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』あらすじと感想です。言葉とコミュニケーションについて感じたことも書いています。
児童文学なので読みやすいですね。最後はほんのりと心が温まりました。
言葉は救いにも武器にもなる。そのことを忘れずに心に刻もう。
大切なのは相手を思いやる気持ちなんだね。
『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』あらすじ
ほっこりしたい時に・・・
小学5年生・詠子のおばあちゃんが営む小さな雑貨屋さん。でも本業は、「言葉を口にする勇気」と「言葉を口にしない勇気」を提供するお店、言葉屋だった。詠子は 言珠職人となるべく、おばあちゃんに教わることに・・・。朝日学生新聞社児童文学賞第5回受賞作。
『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』感想文
『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』は心温まるお話でした。
小学5年生の詠子が言葉屋工房に見習いとして入門します。第二章 「お世話になります」 のつめあわせが面白くて、第四章 一言惚れにご用心はほっこりしました。
テーマは言葉。言葉にはコトバコ (言わない勇気) と、コトダマ (言う勇気) があります。
なかなか深いよね。
ほのぼのとする小説だけど、欲を言えばもう少し深く 「言葉」 について掘り下げて描いてくれたら良かったかな。少し物足りなさも感じました。
言箱 (コトバコ) と言珠 (コトダマ)
印象に残った文章があります。
言葉屋があつかっているのはね、言葉を口にする勇気と、言葉を口にしない勇気だよ
コトバコ (言わない勇気) と、コトダマ (言う勇気) 。
自分が言った言葉によって誰かを救うときと、傷つけてしまうときがあります。誰かを救うのなら言う勇気を、逆だったら言わない勇気を持つこと。
どちらも大切だ。
言葉の向こう側には人がいるんですよね。会話もそうだし、ブログに文章を書いていてもデバイスの向こうには読んでくれている人がいる。
ブログをつらつら書いていると、たまにそれを忘れてしまう時があるんです。本書を読んでハッとしました。
言葉が救いにも武器にもなるということを自覚しなきゃ。
コトダマに宿る魔法
言葉には不思議な力があります。
例えば、ムリそうなことでも声に出して言ってみると実現できちゃうこともある。・・・そんなときには言葉の魔力を感じたり。
言霊という漢字があるように、コトダマ (言珠) には言葉を発する人の気持ちがつまっている。
落ち込んだときにはプラスになる言葉を、何かを成し遂げたいときには 「絶対できる!!」 と声に出して言ってみると案外できちゃうものです。
言葉ってふしぎだね。
大切なのは 相手を思いやる気持ち
高田大介さんの『図書館の魔女』を思い出しました。言語学者である高田さんが描いた言葉のファンタジーです。
コミュニケーションに言葉は欠かせないもの・・・ではないんだ! ということを実感した小説。
「言葉にすること」 も大切だけど、「相手を思いやる気持ち」 がないとコミュニケーションは成り立たない。それがあれば言葉はなくとも気持ちは通じる。
言葉の向こう側には見えないたくさんの気持ちが隠れているんですよね。それをちゃんと感じられる人間でいたいです。
ほのぼのした 「一言惚れにご用心」
第四章 「一言惚れにご用心」 に、ほのぼのしました。
初めてバレンタインにチョコレートを渡してドキドキしたこと。小学校のころの思い出がよみがえりました。
懐かしいです。主人公・詠子が一生懸命で可愛い。心が温まりますね。
私にもあったなぁ・・・と、昔を思い出す。
『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』は大人にもオススメの児童文学
『言葉屋 言箱と言珠のひみつ』は、「言葉」 について様々な想像をめぐらせたくなる小説でした。
ほっこりしたい時、ちょっと学びたい時にオススメの1冊。
児童文学だけど大人が読んでも楽しめるよ。