『落下する夕方』あらすじと感想|誰もが好きになる華子の魅力|江國香織
誰もが好きになる華子。
江國香織さんの小説『落下する夕方』感想です。ふとしたときに華子を思い浮かべるんですよね。とても可愛く自由奔放で魅力的な女性。
江國さんが描くほんの少しの孤独と女性が好きなんだ。
『落下する夕方』あらすじ
温かで切ない物語
同棲相手が家を出ていった。生気を失った抜け殻のような梨果の元に現れたのは、彼の新しい恋人・華子だった―。
『落下する夕方』感想
初めて読んだのは私が学生の頃でした。深く印象に残っているお話です。
自由奔放で憎めない華子。この小説の魅力は健吾の新恋人・華子にあります。
笑うときも気持ちが乱れず、ふふふと笑い、計りにのせたみたいに正確な分量の「おかえりなさい」。人に気をつかわず気をつかわせず、当たり前のようにただそこにいる。
梨果と同様、華子の魅力に魅せられました。いつも自然体の華子。・・・羨ましいくらいに。
ぼくも華子に会いたくなってしまう。
江國さんが描く女性、可愛いですよね。”正確な分量の「おかえりなさい」” とか・・・。言葉で描くとそれが華子の魅力に思えてくるんです。
健吾に別れを告げられた梨果は、華子と暮らすうちに少しずつ気持ちが癒えてきました。
「時間」を感じる小説だね。
江國香織さんの言葉は冷静でほんの少し温かく心に響く。とても素敵です。
めんどくさい事からいつも逃げている華子。
彼女が少し羨ましくなりました。でも1回逃げてしまうと逃げ続けなければならなくなる。そんな人生は嫌かも・・・。
ゲームオーバーを待ち望む華子。最後はとても切なく悲しくなりました。