「赤鼻のトナカイ」 小説版あらすじ・ネタバレ感想『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』
- 小説版『ソードアート・オンライン2』「赤鼻のトナカイ」 あらすじと感想
- 月夜の黒猫団とキリトの後悔
- サチに伝えた言葉
- 背教者ニコラスの 「還魂の聖晶石」
- タイトルの意味
- 本の目次と時系列について
ネタバレあります。ご注意ください。
ねえ、キリト。
一緒にどっか逃げよ
川原礫さんの小説『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』「赤鼻のトナカイ」 感想です。アニメが好きすぎてのノベライズ版。
「赤鼻のトナカイ」 を歌うラストシーンが、アニメよりも深かった。なぜ 「赤鼻のトナカイ」 だったのかの理由も知ることができる。
以前に アインクラッド1を読んでいました。SAOの本編ですね。その後 何度かアニメを見ているうちに、サイドストーリーである小説版2も読みたくなり・・・。
「赤鼻のトナカイ」 が絶品だったよ。
『ソードアート・オンライン2』あらすじ
クリアするまで脱出不可能のMMO『ソードアート・オンライン』に閉じ込められた主人公・キリト。最上階層を目指す “攻略組” の彼以外にも、様々なプレイヤーが存在していた。ビーストテイマーのシリカ、鍛冶屋の店主・リズベット、謎の幼女・ユイ、そして黒い剣士が忘れることの出来ない少女・サチ。ソロプレイヤー・キリトが彼女たちと交わした 4つのエピソード。
「赤鼻のトナカイ」 小説版ネタバレ感想
「赤鼻のトナカイ」 は、月夜の黒猫団との出会いと、キリトの後悔が綴られた1話です。
ソロプレイヤーだったキリトが1度だけギルドに入りました。それが月夜の黒猫団。そして彼の思い上がりからギルドは全滅・・・。
切ないストーリーだけど、「赤鼻のトナカイ」 というタイトルの意味に号泣しちゃう。
SAOの中でも大好きな1話です。小説版では アニメでは分からなかった背景や、キャラの気持ちが詳細に描かれていました。
月夜の黒猫団とキリトの後悔
小さなギルド・月夜の黒猫団を助けたことで、キリトはギルドに入ります。
MMORPGをリソースの奪い合いとしか理解していなかったキリトには、ギルドメンバーの 和気あいあいとした雰囲気が眩しくみえました。
彼は自分がビーターであることや本当のレベルを隠していたんだよね。
その理由は、自分がビーター (元SAO経験者) だと知れたら邪険に扱われるかもしれないから・・・とアニメを見たときに思っていました。
それもあるのですが、小説を読んだら もう1つの理由が浮かび上がってきます。
彼らよりも強いということで、優越感に浸っていたかったから。
オンラインゲームって、そういう優越感みたいなの、ありそう・・・。私も清廉潔白ではないから優越感に浸るキリトの気持ちも理解できるんです。
でも、このことが取り返しのつかないことになります。ギルドのメンバーは、迷宮のトラップで全滅してしまう。それもキリトの目の前で・・・。
この出来事が、後のキリトに大きな影響を及ぼすんだ。
自分のレベルを仲間に隠していなければ、上の迷宮に行くことも、宝箱がトラップだということも納得させられて止められたはずと自分を責める。
彼は誰ともギルドを組まなくなり、血盟騎士団のアスナと出会うまで、ソロプレイヤーを貫くことになります。
サチに伝えた言葉
月夜の黒猫団には、槍使いで黒髪の女性プレイヤー・サチがいました。「赤鼻のトナカイ」 では、主に彼女とキリトのやりとりが描かれています。
前衛を任されるも、怯えてなかなか成長しないサチ。
そうだよね。このゲームはリアルなんだから・・・。
SAOでは攻略組といった前線で活躍するキャラばかり描かれていますが、ログインしているのはサチみたいなプレイヤーが大多数です。
「ねえ、キリト。一緒にどっか逃げよ」
地下水道に隠れて泣いていたサチは、探しに来たキリトに言います。・・・逃げたくもなるよね。
死ぬのが怖いと怯えるサチに、キリトは 「君は死なない」 と何度も言いきかせる。
「君は死なない」 じゃなくて 「俺が君を守る」 と言うべきだったと、キリトはサチが死んでから後悔することになります。
でもサチは キリトの言葉に救われていたと知ったとき、心が温まりました。
背教者ニコラスの 「還魂の聖晶石」|クラインの友情
小説版では、冒頭からキリトが死に物狂いでモンスターを倒し、レベル上げをする様子が描かれています。
すべては、サチを蘇らせるため。
クリスマス・イブの一夜限り出現するイベントボス《背教者ニコラス》を倒し、ドロップする蘇生アイテム 「還魂の聖晶石」 狙いです。
ここから過去の回想になるんだ。
終盤、イベントボスにソロで挑むキリト。彼が自暴自棄になっているように見えて危うさを感じました。
みごとに《背教者ニコラス》を倒し、蘇生アイテムを手に入れるのだけど・・・。
「還魂の聖晶石」 は、対象プレイヤーが死亡してから、およそ10秒間に使うと蘇生できるというアイテムだった。
これじゃ、サチに使うことができないよ・・・。
キリトの絶望感が半端なかったです。心配したクラインの言葉がまた泣けるんですよね。
「キリト……お前ェは……お前ェは生きろよ……もしお前ェ以外の全員が死んでも、お前ェは最後まで生きろよぉ……」
クライン (泣)。彼の言葉にもジーンとしました。
アニメよりも深い!サチが歌った 「赤鼻のトナカイ」
1番泣いたところと、小説を読んで良かったと思ったところは、サチが歌う 「赤鼻のトナカイ」 のシーンです。
アニメでは鼻歌だったけど、歌詞つきだったんだ!
「赤鼻のトナカイ」 の歌詞、覚えてますでしょうか。実はこの歌詞にこそ、サチの気持ちがあらわれていました。
「赤鼻のトナカイ」
真っ赤なお鼻の トナカイさんは
いつもみんなの 笑い者
でも その年の クリスマスの日
サンタのおじさんは 言いました
暗い夜道は ピカピカの お前の鼻が 役に立つのさ
いつも泣いてた トナカイさんは 今宵こそはと 喜びました
サチは、どんな人でも誰かの役に立ってること、自分がSAOにいる意味はあるとキリトに言われたことで 「赤鼻のトナカイ」 を思い出したのです。
トナカイは泣き虫な自分で、キリトはサンタさんみたいだと思って。
私にとって、君は、暗い道の向こうでいつも私を照らしてくれた星みたいなものだったよ
サチの言葉が温かい。
女性って自分の居場所や存在意義を求めることが多いですよね。・・・だから上の人は、教えるときにそういうのを示してあげるとヤル気が出るんです。
本の目次と時系列について
『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』本の目次はこうなっています。
時系列が少し違っているんです。アニメを見た人はわかるけど、小説では 「赤鼻のトナカイ」 が1番最後ですが、実は1番先に展開されるストーリー。
最後に持ってきたのは、「赤鼻のトナカイ」 が1番キリトの人格に関わっている重要なストーリーだからかな。
勝手な臆測です。最後に読むものって、1番記憶に残りやすいし。
このストーリーがあるから、キリトは強くなってゲームクリアに導くことができたと言っても過言ではありません。
「黒の剣士」 や 「心の温度」 でも、「赤鼻のトナカイ」 で経験した苦い過去が関わってきます。その度に胸がズキンと痛むんですよね。
目次順で読んでも 時系列順で読んでも、「赤鼻のトナカイ」 が やはり神ストーリーです。泣きました。
Kindle版は目次一覧が見れないから気をつけてね。