- 米澤穂信さんの小説『折れた竜骨』あらすじと感想
- 魔術の世界と謎解き
- 父を殺したのは誰か?
- 呪われたデーン人
- 迫力満点の戦闘シーン
少しだけネタバレあります。
父を殺した犯人は、だれ?
米澤穂信さんの小説『折れた竜骨』感想です。米澤さん、面白いです!! 米澤さん作品の中では1番好きかも。
『折れた竜骨』あらすじ
謎解きあり、ミステリーありのファンタジー
魔法や呪いが存在する世界、ソロン諸島。そこで暮らすアミーナの父が何者かによって殺された。いったい犯人はだれなのか?
『折れた竜骨』感想
読み始める前はその世界観にうまく溶け込めるか心配でしたが、杞憂に終わりました。「これは面白いぞ!」と思い、最後まで一気に読めてしまいます。
この小説を読んで面白いと思った要素は2つありました。
魔術の世界と謎解き

時代は12世紀末のヨーロッパ。
ソロン諸島という架空の国が舞台となっています。魔法や呪いが存在する世界。すんなりそこに入っていけました。
暗殺騎士の魔術。呪われたデーン人。ファンタジーやSFものって、その世界に入っていけないとそれだけでアウトですよね。
最大の謎はソロン諸島の領主、ローレント・エイルウィンを殺したのは誰か。
『折れた竜骨』は 謎解きがメインになっています。米澤さんは小さな謎を散りばめるのが上手い作家さんですね。全て解決されるからスッキリします。
父を殺したのは誰か?
面白い要素その1
ファルクとニコラが推理していく謎解き。
主人公アミーナの父・ローレントが何者かによって殺されてしまいます。その晩、父はデーン人の襲撃に備えて傭兵をソロンに招いていました。
鋭い推理を繰り広げるのは、ファルク・フィッツジョン (聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士) と、ニコラ・バゴ (ファルクの従士)。
彼らは暗殺騎士を追って旅をしていました。
怪しいのは傭兵を含む8人。この中に暗殺騎士に操られ、父を殺した走狗 (容疑者) はいるのか?
ファルクは 鋭い観察眼を披露します。彼の推理には引き込まれました。1人ずつ消去法で推理していきます。その過程が素晴らしい。
米澤さんの著作『氷菓』や『さよなら妖精』を読んだ時にも思ったのですが、やはり上手い。最後の展開には土肝をぬかれました。
呪われたデーン人

米澤さんが描く謎は犯人探しだけには留まりません。ここに登場する呪われたデーン人も面白い。
館の西に立つ古びた塔に囚われているトーステン・ターカイルソン。彼は呪われたデーン人の捕虜でした。
トーステンが密室状態の牢獄から消えてしまいます。それもローレントが殺された夜に。彼はいったいどこにいってしまったのか?
迫力満点の戦闘シーン
面白い要素その2
戦いのシーン。
アミーナの父は 呪われたデーン人の襲撃に備えて傭兵を雇っていました。(その人たちもローレントを殺した容疑者です)
- コンラート・ノイドルファー (遍歴騎士)
- イテル・アプ・トマス (弓手)
- ハール・エンマ (女戦士)
- スワイド・ナズィール (魔術士)
彼らとファルクやニコラも戦いに身を投じます。敵は呪われたデーン人の軍団です。
この場面でもファルクやニコラの観察眼は鋭く、後に推理を披露するのだからすごい。米澤さんは至るところに伏線を張りめぐらせています。
スッキリと収まる結末
様々な謎が散りばめられた『折れた竜骨』。最後には伏線が全て回収されてスッキリしました。『折れた竜骨』というタイトルの意味もわかります。
あとがきに・・・
あとがきに、米澤さんがなぜ舞台を12世紀のヨーロッパにしたのかが書かれていました。
ブラザー・カドフェルというのは、エリス・ピーターズ作のミステリー小説の主人公なんですね。小説もちょっと気になります。『折れた竜骨』続編でないかな。すごく読みたいです。


