『折れた竜骨』あらすじ・ネタバレ感想文|ソロンの戦いと謎解き|米澤穂信
- 『折れた竜骨』あらすじと感想文
- 魔術の世界と謎解き
- 父を殺したのは誰か?
- 呪われたデーン人
- 迫力満点の戦闘シーン
少しだけネタバレあります。
父を殺した犯人は、だれ?
米澤穂信さんの小説『折れた竜骨』感想文です。これは面白かった!!米澤さん作品の中では1番好きかもしれません。
『折れた竜骨』は謎解きミステリーと、ワクワクするファンタジーが楽しめる小説。
米澤さんが描く謎&伏線の回収はみごとですね。続きが気になって止まらなくなりました。
ファンタジーだけど、しっかり謎解きミステリーになっているのが良かったよ。
『折れた竜骨』あらすじ
謎解きファンタジー小説
ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた…。
『折れた竜骨』ネタバレ感想文
『折れた竜骨』、面白すぎて一気読みです。
米澤さんが描くファンタジー(ほとんどミステリーだけど)、初めて読みました。世界観にうまく入りこめるか心配だったけど、杞憂に終わって良かったです。
面白いと思った要素は2つあったよ。
魔術の世界と謎解き
時代は12世紀末のヨーロッパ、舞台はソロン諸島という架空の国です。魔法や呪いが存在する世界がファンタジーで面白い。
暗殺騎士の魔術や、呪われたデーン人が目を引きました。
ファンタジーやSFものって、その世界に入っていけないとそれだけでアウトですよね。でもその心配は無用でした。
『折れた竜骨』は、謎解きがメインになってるよ。
最大の謎はソロン諸島の領主、ローレント・エイルウィンを殺したのは誰か。
米澤さんは小さな謎を散りばめるのが上手い作家さんですよね。全て解決(伏線も回収)するからスッキリします。
父を殺したのは誰か?
ファルクとニコラが推理する謎解き。
主人公アミーナの父・ローレントが何者かに殺されます。その晩、父はデーン人の襲撃に備えて傭兵をソロンに招いていました。
鋭い推理をくり広げるのは、ファルク・フィッツジョン(聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士)と、ニコラ・バゴ(ファルクの従士)です。
彼らは暗殺騎士を追って旅をしていたんだ。
怪しいのは傭兵を含む8人。この中に暗殺騎士に操られ、父を殺した走狗(容疑者)はいるのか?
ファルクは鋭い観察眼を披露します。1人ずつ消去法で推理していく彼の推理には引き込まれました。
呪われたデーン人
米澤さんが描く謎は犯人探しだけには留まりません。ここに登場する呪われたデーン人も面白い。
館の西に立つ古びた塔に囚われているトーステン・ターカイルソン。彼は呪われたデーン人の捕虜でした。
ディズニー映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てくる海賊を思い出した。
トーステンが密室状態の牢獄から消えてしまいます。それもローレントが殺された夜に・・・。彼はいったいどこにいってしまったのか?
迫力満点の戦闘シーン
迫力満点、戦いのシーン。
まるで映画を見ているかのような戦いのシーンは圧巻でした。傭兵とファルクやニコラも戦いに身を投じます。敵は呪われたデーン人の軍団。
アミーナの父は呪われたデーン人の襲撃に備えて傭兵を雇っていました(その人たちもローレントを殺した容疑者なんだけど)。
戦士とか魔術士とか・・・。ドラクエやFFみたいで楽しい。
戦いのシーンでもファルクやニコラの観察眼は鋭く、後に推理を披露するのだからすごい。米澤さんは至るところに伏線を張りめぐらせていますね。
『折れた竜骨』スッキリと収まる結末
様々な謎が散りばめられた『折れた竜骨』。最後には伏線が全て回収されてスッキリしました。『折れた竜骨』というタイトルの意味もわかります。
あとがきに、米澤さんがなぜ舞台を12世紀のヨーロッパにしたのかが書かれていました。
ブラザー・カドフェルというのは、エリス・ピーターズ作のミステリー小説の主人公なんですね。小説もちょっと気になります。
『折れた竜骨』続編でないかな。すごく読みたい。