『過ぎ去りし王国の城』あらすじと感想|虜になるファンタジー世界|宮部みゆき

- 『過ぎ去りし王国の城』あらすじと感想文
- 憧れの異世界
- 塔の中の少女
- 物語を体験できるのが読書の醍醐味
- それぞれの居場所
少しだけネタバレあります。
虜になるファンタジー世界
宮部みゆきさんの小説『過ぎ去りし王国の城』感想です。宮部さんのファンタジーは初めて読みました。素敵な表紙は、当時女子高生だった「れなれな」さんの作品。

『過ぎ去りし王国の城』の世界観にぴったり。
Twitterにアナ雪の黒板アートを載せたところ大反響で、宮部さんの本の表紙の依頼がきたようです。黒板に描いているんですよね。・・・すごすぎる。
『過ぎ去りし王国の城』あらすじ
ファンタジー小説
あるとき、古城のデッサンを拾った尾垣真は、不思議な体験をする。絵の中にアバターを書くと、その絵の世界に入ることができるのだった。
『過ぎ去りし王国の城』ネタバレ感想文
ファンタジーを読むと必ずその世界を想像します。
表紙の絵のようなお城があるところ。過ぎ去りしという言葉から連想できるのは、廃墟のような少し寂れた場所でした。
人の匂いがしなくて、ひっそりと佇んでいる。恐れ多いような気持ちを抱きました。

宮部さんが描く世界観が好き。
憧れの異世界

物語の主人公・真は、ひょんなことから王国が描かれている絵を拾います。そしてデッサンの上に指を置いてみると、思いもかけないことが起こりました。
絵の中に入れること。
美術部員の同級生・城田珠美に、デッサンの中にアバター (自分の分身) を書き込んでもらうと、その絵の中に入れるんです。
ミステリー作家の宮部さんが描く異世界は、少し怖い部分がありました。
体に不可がかかってしまうこと。だから長く異世界に居られないのです。こういうところは、さすが宮部さんですね。

ヒヤリとする感じが良いんだ。
塔の中の少女
真と珠美は、異世界でパクさんという仲間に出会います。
プロの絵描き・漫画家のアシスタントをしているパクさん。
忘れさられた王国で、真は塔の中に少女がいるのを発見するのです。パクさんはその少女を知っているようでした。
あの女の子は十年前の八月に、この現実世界で行方不明になってる。
突然、行方不明になった女の子。ちょっぴり怖いですね。
物語を体験できるのが読書の醍醐味

『過ぎ去りし王国の城』を読んでいると、そのまま本のストーリーを追体験しているような感覚になりました。
私も過ぎ去りし王国にいて、一緒に冒険してるような・・・。それが楽しかったです。

読書の醍醐味だよね。
読書をすることは、異世界へ冒険すること。
特にファンタジー小説を読んでいるときは、ここではないどこかに旅をしている気分になります。『過ぎ去りし王国の城』は、その感覚を存分に味わえました。

読み応えたっぷりだった。
『過ぎ去りし王国の城』自分の居場所とほっこりしたラスト
複雑な悩みを抱えていた珠美とパクさん。
- 珠美はクラスメイトからハブられ、独り孤立している女の子。学校ではイジメられ家にいても居場所がない
- パクさんは母の死によって精神的に追いつめられ、自分を見失ってしまう。そして仕事を続けられなくなって休業状態
彼らが出会い一緒に冒険して立ち直っていく姿に、人間が持つ強さを感じました。
弱っている時には何にでもすがりたくなるけど、結局、道を切り開くのは自分自身なんですよね。

自分の居場所は自分で作るもの。ラストはほっこりしたよ。


