- 『旅のラゴス』あらすじと感想文
- 小説の魅力
- 高度な文明を失った未来
- ラゴスの旅の目的を考察
- 結末について
少しだけネタバレあります。
なぜ旅をするのか。
筒井康隆さん『旅のラゴス』感想文です。読了後の心地が半端なく良い。口コミで人気に火がついた!というのがわかる気がします。
『旅のラゴス』は、ひとりの男の旅を描いた物語。
生涯をかけて旅をするラゴスの目的とは?集団転移、壁抜けなどがでてくる不思議なSF小説で、想像がふくらみました。読みやすいので読書感想文にも◎
『旅のラゴス』あらすじ・評価
不思議なSF小説
北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?
『旅のラゴス』ネタバレ感想文

『旅のラゴス』は、ひとりの男が「旅」を通して知識や経験を積んでゆく物語です。
北から南へ、そして南から北へ。これが、人が歩む人生と重なっているような気がして深いんですよね。SFをまじえた現代とは違う世界でした。
『旅のラゴス』小説の魅力
物語はラゴスの生涯をつづっています。道中、奴隷になったり様々な人々に助けられたりと波乱万丈。一気に物語に引きこまれました。
ラゴスと一緒に旅をしている気分になるんですよね。
人生は旅のようなもの。生まれてから死ぬまで様々な人たちとの出会いや別れがある。そしていろんなことを学びながら成長していく。
『旅のラゴス』は人が歩んでいく人生に重なるものがありました。ラゴスのように一人で歩む過酷な道は、喜びがあり歳を重ねて経験も増していく。
人生で感じる喜びや悲しみ、怒りなど、すべての感情を感じることができるのです。
そこまでガチガチのSFではないから、SF小説が苦手な人も楽しんで読むことができるんじゃないかな。
高度な文明を失った未来
高度な文明を失ってしまった人たちが代わりに得たものがあります。
移転、壁抜け、読心力・・・。
不思議な能力ですね。当たり前のようにサラッと描かれているから、違和感なく読むことができました。
未来のお話なのに、未来の便利なものが何もでてこなくて原始的な生活を送っている人々。時間のズレに不思議な感覚にもなります。
ラゴスのお供は一頭のスカシウマ。
スカシウマって何だろう?他にもミドリウシなんてものも出てきました。ジブリアニメにありそうな不思議な世界です。
【考察】なぜラゴスは旅をするのか
不思議に思ったことがありました。
ラゴスはどうして旅をするのか。
彼は旅をしながら経験を積み重ねていくのが楽しいのでしょうね。
たくさんの経験をして、自ら考えて行動したり想像力をやしなう。そうした中で人は成長していくんです。ラゴスの目的は、そういったことではないかと・・・。
自分が成長するために。そして楽しいから。
『旅のラゴス』素敵な結末

『旅のラゴス』は、ひとりの男の生涯を感じることができる一冊。
時間の流れを感じました。物語が進むにつれてラゴスも歳を重ねていくんです。
彼は実家に戻って少し落ち着くのだけど、60歳を過ぎたあたりでまた家を出ます。かつて恋したデーデという女性に会うために・・・。
そして、人生の終わり(旅路の果てにあるもの)は死です。
ラゴスもそれを意識していたけど、絶望感などは微塵も感じらません。むしろ期待や喜びが感じられる良いラストでした。
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