SF・ファンタジー

『旅のラゴス』筒井 康隆【あらすじと感想】なぜ旅をするのか

なぜ旅をするのか。

筒井康隆さん『旅のラゴス』
読了後の心地が半端なく良い。筒井康隆さん『旅のラゴス』です。口コミで人気に火がついた!というのがわかる気がします。

『旅のラゴス』あらすじ

SFをまじえた現代とは違う世界。

『旅のラゴス』
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【あらすじ】
超能力を得た人々がいる世界で、ラゴスは旅を続ける。彼はなぜ生涯をかけてまで旅をするのか―。

『旅のラゴス』感想

一人の男が「旅」を通して知識や経験を積んでゆく。人が歩む人生と重なっているような気がして深いです。SFをまじえた現代とは違う世界。想像する楽しさがありました。

旅の目的とは

物語はラゴスの生涯をつづっています。舞台は未来ですが、発達した高度な文明を失ってしまった人々は大昔のような原始的な生活をしていました。

ラゴスのお供は一頭のスカシウマ。

・・・スカシウマって何? 他にもミドリウシなんてものも出てきます。道中、奴隷になったり様々な人々に助けられたりと波乱万。一気に物語に引きこまれました。ラゴスと一緒に旅をしている気分になるのです。

この物語は人が歩んでいく人生に重なるものがあります。

人生は旅のようなものです。生まれてから死ぬまで様々な人たちとの出会いや別れがあります。そしていろんなことを学びながら成長していく。

ラゴスのように一人で歩む過酷な道ですが、喜びがあり歳を重ねて経験も増していく。そんな人生で感じる喜びや、悲しみ、怒りなど、すべての感情を感じることができるんです。だからこんなにも共感でき、多くの人たちに読まれているのかもしれません。

ラゴスはどうして旅をするんだろう?

たくさんの経験をして本を読み、自ら考えて想像力をやしなう。そうした中で人は成長していくのだと思います。ラゴスの目的も、そういったことではないかと思うのです。

自分が成長するために。

高度な文明を失った未来

私はもともとSFが好きな人なのですが、この物語は苦手な人も楽しんで読むことができると思います。そこまでガチガチのSFではなく、さらりとしています。

高度な文明を失ってしまった人たちが代わりに得たものがありました。

移転、壁抜け、読心力・・・。不思議な能力を持った人たちが登場します。当たり前のようにサラッと描かれているもんだから、私もサラッと読むことができました。未来のお話なのに未来の便利なものが何もでてこなくて、原始的な生活を送っています。過去の時代のお話を読んでいる心地。時間のズレが不思議な感覚でした。

留まることなく

この作品には時間の流れがあります。

物語が進むにつれてラゴスも歳を重ねていく。本を通して一人の男の生涯を感じることができるのです。

ラゴスは実家に戻って少し落ち着くのですが、60歳を過ぎたあたりでまた家を出ます。かつて恋したデーデという女性に会うために・・・。ちょっとロマンティックですね。

人生の終わりは死。

ラゴスもそれを意識しての出発でした。でも絶望感などは微塵も感じられず、むしろ期待や喜びが感じられる。良いラストです。

『旅のラゴス』ジブリ映画化の話があったとか、なかったとか。真相はわかりませんが、きっと素敵なアニメになったんじゃないかな。見てみたい気もします。オススメの一冊です。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

POSTED COMMENT

  1. lime より:

    20代の頃は通勤電車の中で、とにかくたくさん筒井康隆の本を読みました。
    短時間ですっとその独特の世界に引き込んでくれるので、楽しかったです^^
    筒井さんのSFは、取っつきやすいし、小難しい設定が出て来なくて、ある意味ファンタジーっぽく読むことができますよね。
    この本もとても味わい深そう。ああ、読みたい本がたくさん溜まってどうしよう・・・。
    時間を止められる力が欲しいです。

  2. ひだまりさん。 より:

    コメントありがとうございます(*^_^*)
    limeさんは、たくさんの筒井康隆さんの本を読んでいるのですね。
    私はこの『旅のラゴス』が初めてでした。
    読みやすかったです。スラスラと読めちゃいました。
    すんなりとファンタジーの世界に入っていけて。
    薄い本なのに、中身は盛りだくさんでした。

    私も読みたい本がいっぱいあって困っちゃいます。
    嬉しいんですけど(´˘`๑)
    どんどん増えていく。
    時間止まってほしいです。

  3. おともだちパンチ より:

    すてきなレビューですね。私はこの本を先月読んだばかりなのですが、読んだ後の快感であったり、すぐにレビューを書きたいと思うような興奮があったことを思い出しました。先月読んだばかりなのに、また読み返したくなります。

    >この本は、そんな人生で感じる喜びや、悲しみ、怒りなど、すべての感情を感じることができる。

     この作品の魅力ですね。この作品に凄みや壮大さを感じる理由はここだと思います。一人の男の人生を丸ごと追体験したような気持ちになって、読後は圧倒されました。

     この作品の映画というのはあったらぜひ見てみたいです。劇場のスクリーンの大きさに負けないくらいの、スケールの大きな物語になることと思います。

  4. ひだまりさん。 より:

    ありがとうございます♪
    読み終わった後に心地よさが感じられて、私もすぐレビューを書きたくなってしまいました。
    素晴らしい物語でしたね!!
    読みながらラゴスと一緒に歩いてましたよ、私 (*^_^*)
    ほんとに、ラゴスの人生を追体験したかのような気分になります。
    物語の世界を一緒に味わえるのは、本の醍醐味ですね。

    夜中におともだちパンチさんのブログにもお邪魔しました。
    レビュー、もう1回読んでみたくなって。
    興奮が伝わってきましたよ。
    そうそう、と夜中に一人で頷きながら読んでいました(´˘`๑)

    映画化して欲しいですね。
    ジブリの世界観にぴったりな感じがします。
    大きなスクリーンで見てみたいです。

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