『インフルエンス』ネタバレ感想文・あらすじと結末|歪んだ友情と3つの犯罪を解説|近藤史恵|ほんのたび。読書感想文とあらすじ

『インフルエンス』ネタバレ感想文・あらすじと結末|歪んだ友情と3つの犯罪を解説|近藤史恵

『インフルエンス』感想
ひだまりさん。
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この記事に書かれていること
  • 『インフルエンス』あらすじと感想文
  • タイトルの意味と3つの犯罪
  • 友梨と里子の罪
  • 真帆の罪
  • 再び罪を犯した友梨
  • 『インフルエンス』結末

ネタバレ・辛口レビューあります。ご注意ください。

ちょっとの間だけでも今の毎日から逃げられるかな、と思ったの

近藤史恵さんの小説『インフルエンス』読書感想です。ドラマ化されると聞いて読んだのですが、これはイヤミス? ・・・湊かなえさんに近いものを感じました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

文章がサッパリしていて、ネチネチしてないのが良かったよ。

読みやすかったです。イヤミス、苦手なので私にはこれくらいがちょうど良いかも・・・、と思いつつもハマれませんでした。

ちなみに『インフルエンス』は、WOWOWでドラマ化されました。

ひつじ。
ひつじ。

映像にしたら映えそうだね

『インフルエンス』あらすじ

3人の歪んだ友情とは―

あらすじ

「あのね。よく聞きなさい。昨日、団地で男の人が殺されたの」知っている。わたしが殺したのだ。母は続けてこう言った。「警察に里子ちゃんが連れて行かれたの」友梨、真帆、里子。大人になった三人の人生が交差した時、衝撃の真実が見える。傑作長編エンタテインメント。

『インフルエンス』ネタバレ感想文|タイトルの意味と3つの犯罪を解説

『インフルエンス』は、3人のうちのひとりの告白(過去の回想)と、それを聞く小説家の視点で進んでいきます。

ひつじ。
ひつじ。

小説家は、もしかして3人と繋がりがあったりする?

どんでん返しを期待していたけど、とくに繋がりはなくて残念。期待しすぎちゃいけないですね。

読後感はそんなに悪くなくて、読みやすいイヤミス小説でした。タイトルがこの本にピッタリなんです。

タイトルの意味

「インフルエンス」の意味は「影響」。

3人の少女たちが「影響」し合って、危険な方向へ流れていくのにヒヤリとしました。まだ成長過程にある少女たちなんですよね。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

中学生の女の子たちは複雑。

面白かったのは面白かったけど、登場人物の気持ちか理解できませんでした。人の命を軽く扱っているような気もして・・・。

『インフルエンス』では3つの犯罪が描かれています。

3つの犯罪
  • 友梨が真帆を助けるために人を刺す→里子が罪をかぶる
  • 友梨の代わりに真帆が里子の祖父を窓から落とす→事故として処理される
  • 友梨が真帆(正確には里子)の夫を刺す→友梨は自首する

一歩間違えると容易に修正できなくて、軌道はそれたまま、とんでもない方向へと向かう・・・。怖いですね。

友梨と里子が背負った罪|1つ目の犯罪

友梨が真帆を助けるために人を刺す→逮捕されたのは里子

友達の真帆を助けようとして人を刺してしまった14歳の友梨。でも警察に連れて行かれたのは友梨ではなく幼なじみの里子でした。

・・・実は、読んでいて里子の気持ちがイマイチよくわからなかったです。

本当は、もう家も学校も嫌になったから。友梨ちゃんとあの子――坂崎さん?――が逃げていくのを見て、刺したのがわたしなら、ちょっとの間だけでも今の毎日から逃げられるかな、と思ったの

何もかも嫌になったようだけど、そんなことで殺人の罪を引き受けたりする?

結局、里子の気持ちは分からないままでした。友梨と里子の関係は、1つ目の犯罪が起きる前にねじれていたのですよね。

里子が祖父から虐待を受けているのを気づいていながら、何もしなかった友梨。彼女は里子に負い目を感じていました。

ひつじ。
ひつじ。

1つの犯罪は、被害者だけでなく周りの人にも影響を及ぼすんだ。

里子が友梨の代わりに罪を背負ったけど、それで友梨が救われるわけではなくて・・・。苦しむ姿が痛々しかったです。

友梨を守るために実行した真帆の罪|2つ目の犯罪

真帆が里子の祖父を窓から落とす→事故として処理される

3人の関係はさらに複雑に絡み合っていきます。一度狂った歯車は、簡単には元に戻せないのですね。

少年院から出てきた里子は、友梨に祖父の殺害を依頼します。

「うちのジジイを殺して」

1つ目の犯罪、そして過去のことにも里子に負い目を感じていた友梨は、2つ目の犯罪に手を染めようとしていました。

でも、当日、里子の祖父を窓から落としたのは友梨ではなく真帆だったのです。

1つ目の犯罪から整理すると、こんな感じ。

  1. 友梨が真帆を助けるために人を刺す(1つ目の犯罪)
  2. 友梨の身代わりに里子が少年院に行く
  3. 里子の祖父を友梨が殺すはずたったが、真帆が代わりに殺してしまう(2つ目の犯罪)
ひだまりさん。
ひだまりさん。

なんだか複雑になってきた。お互いをかばいあってる。

これは、友情?

・・・ではないですよね。里子も真帆も友梨の身代わりになって彼女を助けたように見えるけど、友梨は少しも幸せそうには見えません。

ひつじ。
ひつじ。

むしろ、友梨はめちゃめちゃ苦しんでるんだけど。

真帆は止めるべきだったし、里子も友梨の罪をかぶるべきではなかったのです。

再び罪を犯した友梨|3つ目の犯罪

友梨が真帆(正確には里子)の夫を刺す→友梨は自首する

2つ目の犯罪から時は経過した後、今度は大人になった真帆が友梨に依頼を持ちかけます。

「もし、わたしが夫を殺してと言ったらどうする?」

また殺人依頼・・・。しかも友梨は実行してしまうのです。

とんでもない依頼をサラッとしてくるのには呆気にとられてしまいました。この子たち、大丈夫だろうか。物語なのに心配になっちゃいます。

ひだまりさん。
ひだまりさん。

どこかリアル感に欠けているような気がするのは私だけ?

衝撃の展開続きで目を引くけど、現実離れしているように感じました。彼女たちの気持ちが一切理解できません。友だちにこんなことを頼む真帆にも、実行してしまう友梨にも・・・。

実は友梨が殺したのは真帆の夫ではなく、里子の夫だったのにはびっくりしました。

ひつじ。
ひつじ。

でも里子が夫の殺害を頼んだわけではなくて、真帆が勝手に友梨に依頼していたんだ。

それにしても『インフルエンス』で描かれている警察が無能すぎる・・・。これもハマれなかった理由の1つです。

1つ目の犯罪で里子を逮捕するとか、2つ目の犯罪は事故で処理、3つ目の犯罪は友梨が自首したから真実が明らかになったけど・・・。

警察ってこんなに無能じゃなくね?

友梨に好感を抱く警官・夏目の気持ちもイマイチよくわからなかったです。このキャラ、物語に必要だったのかな。

『インフルエンス』結末|真帆の独白にヒヤリ

真帆の独白

3つの犯罪と3人の彼女たちの物語を目で追っていくと、キーマンは真帆だということに気づきます。

小説家に過去を告白していたのは、友梨と思わせておいて実は真帆でした。

彼女の口から当時の気持ちが語られます。2つ目の犯罪(里子の祖父を友梨が殺すはずたったが、真帆が代わりに殺してしまう)についての独白にヒヤリとしました。

「里子から友梨が里子の祖父を殺す計画を立てていると聞いたとき、もっと許せないと思った。わたし以外の人のためにそんなことはさせたくない。だって友梨以外の誰もわたしを救ってくれなかった。わたしには彼女しかいない」

ひだまりさん。
ひだまりさん。

真帆は友梨に依存してるね。

「わたしには彼女しかいない」という気持ちはわかるけど、友梨の代わりに自らが犯罪に手を染めるのは理解できません。3つ目の犯罪、彼女に罪を犯させることにも・・・。

結局、真帆は自分のために友梨を犠牲にしたのですよね。

3つの犯罪まとめ
  • 友梨が真帆を助けるために人を刺す→里子が罪をかぶる
  • 友梨の代わりに真帆が里子の祖父を窓から落とす→事故として処理される
  • 友梨が真帆(正確には里子)の夫を刺す→友梨は自首する
ひつじ。
ひつじ。

改めて3つの犯罪を見直すと、人の良い友梨、なんか損してるな・・・と思った。

彼女たちがひとりでも欠けていたなら、また違った結末になっていたかもしれません。影響されて良い方向へ転がれば良いけど、『インフルエンス』は裏目に出た物語でした。

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