『ライラック通りのぼうし屋』あらすじ・感想文|いなくなった羊の国|安房直子
- 『ライラック通りのぼうし屋』あらすじと感想文
- 永遠の国
- にじのかけら
- 安房さんのメッセージ
ネタバレあります。
いなくなった羊の国へ
安房直子さん『ライラック通りのぼうし屋』感想です。とても素敵なお話でした。この物語好きです。
身近な人の温かさを感じたよ。
『ライラック通りのぼうし屋』簡単なあらすじ
「いなくなった羊の国」へ
ある日、ぼうし屋の元にやってきた一匹のひつじ。そのひつじからトルコ帽を作って欲しいと頼まれ・・・。
『ライラック通りのぼうし屋』ネタバレ感想文
安房さんの描く幻想世界は、どうしてこんなに優しいんだろう。それは誰もが憧れる世界でした。
ぼうし屋の話だよ。
永遠の国とトルコ帽
ある日、帽子屋に1匹の羊が訪ねてきました。自分の毛でトルコ帽を作って欲しいと頼みます。それをかぶると「いなくなった羊の国」へ行けるんです。
羊の毛のトルコ帽には不思議な力がある。
まさに永遠の国。私もほしいな。
時間は限りなくあり、好きなことを好きなだけできる。私がそこに行ったら、のんびりと好きなだけ本を読んで眠たくなったら寝て過ごしそう。
現実逃避からそのトルコ帽をかぶったぼうし屋の主人。夢の国で時間も忘れて、ひたすらライラックの帽子を作り続けるのです。
にじのかけら
羊の国には一足早くトルコ帽を注文した羊がいて、お店を開いていました。メニューがまた不思議。
にじのかけら、ゆうやけぐも、ごがつのかぜ、そのほかいろいろ
ぼうし屋の主人は「にじのかけら」を食べます。まるでシャーベットのような七色の食べもの。ライラックの花の香りがして、甘くてさっくりしていて美味しそう。
安房さんが描く異世界は夢があるよね。
幻想的な世界に魅入られました。この物語は、主人の体験を通してある大切なことを教えてくれます。
『ライラック通りのぼうし屋』安房さんのメッセージ
いちばんの大切なもの。いちばんの幸せ。それは誰かがいることに他ならない。帽子をかぶってくれる誰か。
ぼうし屋が夢の世界で好きなことをしている間、奥さんと2人の娘は旦那さんの帰りを待っていました。やがて不意に現実世界に現れます。
ライラックの帽子をたくさん作った旦那さん。でも その帽子をかぶれる人はいませんでした。
いくら素敵な帽子を作っても、みんなかぶる前に消えてしまうから・・・。
好き勝手していた主人の仕事場を、変わらず綺麗にしていた奥さんや娘たちの気持ちに温かさを感じました。
結局、人はひとりでは生きていけないんだね。
安房さんの物語は人生の教科書のようです。家族の温かさを感じました。