『いなくなった私へ』あらすじと感想|今を生きる|辻堂ゆめ
- 『いなくなった私へ』あらすじと感想文
- 自分の存在が不確かな恐怖
- 輪廻転生
- 『いなくなった私へ』は 優しい気持ちになれる小説
少しだけネタバレあります。
突然だれにも認識してもらえなくなったとしたら―
辻堂ゆめさん『いなくなった私へ』感想です。今までに読んだことがないような新しい設定でくり広げられるミステリーでした。先が気になり読むのが止まらなかったです。
面白かったよ。
『いなくなった私へ』あらすじ
誰にも認識されなくなったら
ある日突然、誰にも自分と認識されなくなった梨乃。どうやら自分は自殺したらしい。真相を探る彼女の元に現れたのは・・・。
『いなくなった私へ』ネタバレ感想文
『いなくなった私へ』は いくつもの不思議にあふれた小説でした。
上条梨乃は目を覚ますとゴミ捨て場にいて、素顔をさらしているのに周囲の人間から認識されなくなっていたのです。
怖いね。
自分の存在が不確かな恐怖
だれも自分の顔を認識してくれなくなったこと。
自分はちゃんと存在しているのに周りの人が自分だと分かってくれない・・・。幽霊のように透けているわけではありません。1人の人間として認識してもらえるのに、上条梨乃 本人としては見えていないのです。
「わたし」という存在が不確かな恐怖。
斬新な設定だね。
なぜだろう?どうしちゃったんだろう?・・・と理由が知りたくて読むのをやめられませんでした。主人公と同様に恐怖がジワジワとわき上がってきます。
自分の存在意義がなくなってしまうような気持ちになる。
彼女を梨乃だと分かってくれる人がひとり。佐伯優斗、色白で軽音楽をやっている優しい青年です。
なぜ優斗には認識できるのか? 後に登場する少年・樹も彼女を認識できるのはなぜ?
これには、本の中に登場する「輪廻の泉」が深く関わっていたのです。
輪廻転生
死んでも魂は何度も生まれかわる。
『いなくなった私へ』の主人公・梨乃の状況を説明してくれそうな言葉ですね。実際「輪廻」という言葉がキーワードになっています。
SFやオカルトな雰囲気を持ちあわせた小説。想像をめぐらせたくなりました。
好きな人とまた来世で会えるかもしれないと思うとロマンチックだね。
『いなくなった私へ』は優しい気持ちになれる小説
『いなくなった私へ』は、怖さの他にたくさんの優しさが含まれていてジーンとしました。
優斗の優しさだったり、梨乃の気持ちだったり、樹の想いだったり・・・。
ラストが明るく、読み終わった後の心地がよかったです。でも梨乃や樹の戸籍などはどうなるんだろうと現実的なことが気になっちゃいました。
斬新な設定で面白い物語だった。