『ジャイロスコープ』あらすじ・ネタバレ感想|ユーモア溢れる伊坂ワールド|伊坂幸太郎
- 『ジャイロスコープ』あらすじと感想文
- 「浜田青年ホントスカ」
- 「if」
- 「一人では無理がある」
少しだけネタバレあります。
驚きがつまった短編集
伊坂幸太郎さん『ジャイロスコープ』感想です。初めて読みました、伊坂幸太郎さん。
全7編の物語は、あっと驚くものから心が温まるものなど短編集の面白さがぎっしりでした。
これが伊坂ワールド。面白かったよ。
『ジャイロスコープ』あらすじ
7つの伊坂ワールド
助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時…”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。
『ジャイロスコープ』ネタバレ感想文
伊坂さんの小説はユーモアがあって、楽しくなりますね。その中から好きな3つのストーリーをレビューとともに紹介します。
どれも面白かったよ。
浜田青年ホントスカ
蝦蟇倉 (がまくら) 市にやってきた家出青年・浜田。彼は稲垣さんがやっている「相談屋」で助手として雇われます。
『助言あります』『協力いたします』
・・・をモットーに〈スーパーホイホイ〉の駐車場にあるプレハブ小屋の相談屋。この稲垣という人物がまた面白いんですよね。
ある時、中年女性が訪れました。女性は完全犯罪ができないかどうかという相談に来たのです。それに対する稲垣の助言は・・・。
山に逃げ出したワニに遭遇させる!?
やめさせようとするわけでもなく、あくまでも「助言」をする稲垣に面白さを感じました。
「殺人を唆していいのか?」と問う浜田青年に「商売ですから」とあっさりと言う稲垣。淡々と進んでいく中で面白さと驚きがありました。そして引っ掛けが・・・。
浜田青年の正体、どこまでも仕事に忠実すぎる稲垣。
ラストは驚きが隠されています。想像できず、あ然としました。『浜田青年ホントスカ』の結末は読者におまかせ・・・という感じになっています。
想像することで何通りものエンディングを楽しめるんだ。
if
タイトル通り「もしも・・・」がテーマの1話。
「あの時こうしていたら」 を行動しなかった方 (A) と行動した方 (B) で2通り描いていました。
失敗→後悔→反省→二度とくり返さないという主人公の気持ちや それに伴う行動が描かれていました。
まさに失敗は人を成長させる。後悔とくり返さないことが大切なんだね。
一人では無理がある
このお話はファンタジーでした。クスリと笑い、伏線が見事に回収されて納得。「サンタクロース」のお話です。
松田陽一はミスの常習者。子供に贈るプレゼントの中身を間違えてしまいます。間違えたプレゼントがまた面白く「壊れたラジコン」や「鉄の板」「ドライバー」なんです。
楽しみにしていたプレゼントが「壊れたラジコン」や「鉄の板」「ドライバー」だと ガッカリしてしまいそう。
でも意外にも役に立つんですよね。「ひねり」が上手く、なるほどと思う展開。素晴らしいです。
『ジャイロスコープ』15年目の贈り物
『ジャイロスコープ』は、軸を同じにしながら各々が驚きと意外性に満ちた個性豊かな短編集。
伊坂さんデビュー15年目の節目として出版された作品でした。ユーモアありすぎる伊坂ワールド。素敵な贈り物でした。
読みやすかったよ。おすすめの一冊。