『きんぴか 三人の悪党』あらすじ・ネタバレ感想|不条理な世の中と自由な生き方|浅田次郎

- 浅田次郎さんの小説『きんぴか 気分はピカレスク』あらすじと感想
- 個性溢れる3人の悪党 (登場人物&キャスト)
- 善と悪
- 「パパはデビル」 あらすじと感想
少しだけネタバレあります。
彼らのように自由に生きたい
浅田次郎さんの小説『きんぴか 気分はピカレスク』感想です。一癖も二癖もある悪党 (?) 3人組が世の中の悪をこらしめる。登場人物が面白く 笑いながら読んでいました。
初版は1992年ということだから、今から23年くらい前に書かれたものなんですね。
WOWOWドラマ原作小説です。
『きんぴか』あらすじ&目次
世の中の悪党をこらしめる!?
殺人罪で服役をした元ヤクザに、我を通すために自殺未遂をした元自衛官、収賄罪で逮捕された元国会議員の秘書。彼ら3人が悪をこらしめる!?
- 三人の悪党
- 夢の砦
- 闇のページェント
- 陽のあたる密室
- 反戦参謀
- パパはデビル
『きんぴか』感想
ユニークな小説でした。3人の生き方は 今にも通じるものがあります。信じていた組織に裏切られ 「おとしまえ」 をつける男たち。
個性溢れる3人の悪党 (登場人物&キャスト)

WOWOW連続ドラマの原作小説です。登場人物とキャストをまとめました。
- 坂口健太 (中井貴一) ・・・ピストルの健太(ピスケン)。殺人罪で13年間服役し 無事に釈放される。元ヤクザ。
- 大河原勲 (ピエール瀧) ・・・元自衛官。軍曹と呼ばれている。拳銃自殺をし損ねる。
- 広橋秀彦 (ユースケ・サンタマリア) ・・・元国会議員の秘書。議員の収賄罪を被り逮捕される。
- 向井権左エ門 (綿引勝彦) ・・・老刑事。退職後3人を集める。
殺人罪で服役をした元ヤクザに、我を通すために自殺未遂をした元自衛官、収賄罪で逮捕された元国会議員の秘書。
なるほど すごい組み合わせです。(それをまとめる向井元刑事もすごいけど) 彼らに共通しているのはバカ正直なところ。それも大バカです。
向井元刑事により集められ、初めて出会ったのがサウナでした。そこで彼らはお互いを探りあいます。描写が面白くて愛着がもてました。
善と悪
何が善で 何が悪なのか。
信じていた組織に裏切られた男たちは、彼らなりの 「筋」 を通すため組織に立ち向かいます。この本の面白味は 彼らの信念に基づく生き方にこそあるんです。
友達の裏切り、恋人の裏切り、リストラ・・・。
信じていたものに裏切られると愕然としてしまいます。人や会社が信じられなくなってしまう。
でも本書の登場人物たちは違いました。落ち込むのも束の間、それぞれの組織に復讐をします。
3人が3人とも自分が良かれと思った通りに生きます。保身などは一切考えずに。羨ましさを感じてしまいました。
「パパはデビル」 あらすじと感想

中盤からそれぞれの復讐が描かれています。
第3章「闇のページェント」では ピスケンの。第4章「陽のあたる密室」では ピスケンと広橋の。第5章「反戦参謀」では 大河原の。第6章「パパはデビル」では 広橋の復讐です。
それぞれが短編のようになっていました。私が好きなのは 「パパはデビル」です。
〈パパはデビル〉
リバティ社からワイロを貰ったとして逮捕された広橋の物語。リバティ・ネットワークのリブネットの全プログラムをぶち壊そうとするが・・・。
「パパはデビル」 は父と娘の物語でした。広橋と娘の美也。リバティ社で働く人工知能のエキスパート・青野博士とその娘です。
最後にオチがあり少し混乱しましたが、そういう事かと納得。広橋が出会ったハッカーの 「エンジェル」 と、プログラムの初期化を依頼する 「クラッシャー・デーモン」。
天使と悪魔は誰か?
それが読み解くカギになります。微笑ましいイタズラでした。気分はピカレスクです。
彼らのように生きたい
「正直者はバカをみる」 という言葉が浮かびました。
バカ正直に生きた結果、組織に裏切られる。
理不尽です。ゴマをすったり上手く立ち回れば 会社での地位は上がるのかもしれません。そういう不条理に満ちた社会。
でもそこで生きていかなければならないから、本音と建前は使い分ける。本書で描かれているのは 社会の矛盾でした。



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