『きんぴか 三人の悪党』あらすじ・ネタバレ感想|不条理な世の中と自由な生き方|浅田次郎
- 『きんぴか 気分はピカレスク』あらすじと感想文
- 個性溢れる3人の悪党 (登場人物&キャスト)
- 善と悪
- 「パパはデビル」
少しだけネタバレあります。
彼らのように自由に生きたい
浅田次郎さんの小説『きんぴか 気分はピカレスク』感想です。登場人物が面白く 笑いながら読んでいました。
一癖も二癖もある悪党 (?) 3人組が世の中の悪をこらしめる。
初版は1992年ということだから、今から23年くらい前に書かれたものなんですね。WOWOWドラマ原作小説です。
全く古さを感じさせないところがすごい。
『きんぴか』あらすじ&目次
悪党をこらしめる!
殺人罪で服役をした元ヤクザに、我を通すために自殺未遂をした元自衛官、収賄罪で逮捕された元国会議員の秘書。彼ら3人が悪をこらしめる!?
『きんぴか』ネタバレ感想文
『きんぴか』はユニークな小説でした。
3人の生き方は今にも通じるものがあります。信じていた組織に裏切られ 「おとしまえ」 をつける男たち。
彼らには彼らなりの信念があるんだ。
個性溢れる3人の悪党 (登場人物&キャスト)
WOWOW連続ドラマの原作小説です。登場人物とキャストをまとめました。
殺人罪で服役をした元ヤクザに、我を通すために自殺未遂をした元自衛官、収賄罪で逮捕された元国会議員の秘書。
なるほど、すごい組み合わせです。(それをまとめる向井元刑事もすごいけど) 彼らに共通しているのはバカ正直なところ。それも大バカです。
向井元刑事により集められ、初めて出会ったのがサウナでした。そこで彼らはお互いを探りあう。
描写が面白くて、愛着がもてたよ。
善と悪
何が善で、何が悪なのか。
信じていた組織に裏切られた男たちは、彼らなりの 「筋」 を通すため組織に立ち向かいます。この本の面白味は、彼らの信念に基づく生き方にこそあるんですよね。
友達の裏切り、恋人の裏切り、リストラ・・・。
信じていたものに裏切られると愕然としてしまう。
でも本書の登場人物たちは違いました。落ち込むのも束の間、それぞれの組織に復讐をします。「おとしまえ」 と言った方が相応しいかな・・・。
彼らの原動力は何なんなのか不思議。
3人が3人とも、保身などは一切考えずに自分が良かれと思った通りに生きてるんです。羨ましくなりました。
「パパはデビル」 あらすじと感想文
中盤からそれぞれの復讐が描かれていて、短編のようになっていました。
- 第3章「闇のページェント」ではピスケンの復讐
- 第4章「陽のあたる密室」ではピスケンと広橋の復讐
- 第5章「反戦参謀」では大河原の復讐
- 第6章「パパはデビル」では広橋の復讐
私が好きなのは 「パパはデビル」です。
リバティ社からワイロを貰ったとして逮捕された広橋の物語。リバティ・ネットワークのリブネットの全プログラムをぶち壊そうとするが・・・。
「パパはデビル」 は父と娘の物語でした。広橋と娘の美也、リバティ社で働く人工知能のエキスパート・青野博士とその娘です。
広橋が出会ったハッカーの「エンジェル」と、プログラムの初期化を依頼する「クラッシャー・デーモン」。天使と悪魔は誰か?
最後にオチがあって少し混乱したけど、そういう事かと納得。
気分はピカレスクだね。
『きんぴか』彼らのように生きたい
『きんぴか』を読んでいたら「正直者はバカをみる」という言葉が浮かびました。
バカ正直に生きた結果、組織に裏切られるからです。
ゴマをすったり上手く立ち回れば、会社での地位は上がるのかもしれません。そういう不条理に満ちた社会。『きんぴか』で描かれているのは、社会の矛盾でした。
彼らのように生きたいと思ったよ。