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深すぎる闇、そして結末は・・・『沈まぬ太陽 会長室篇』山崎豊子/感想とあらすじ

深すぎる闇、そして結末は・・・

山崎豊子さん『沈まぬ太陽』
3冊目のレビューです。「会長室篇」 では、私利私欲にまみれたトップや政治家がうようよ出てきます。黒い世界でした。このお話はずいぶん脚色しているのかなという印象を受けました。

少しだけネタバレあります。

『沈まぬ太陽』前回までのレビュー。
アフリカ篇 (1) を読む
御巣鷹山篇 (2) を読む

『沈まぬ太陽3』あらすじ

闇はなおも深い

『沈まぬ太陽 会長室篇』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
御巣鷹山の墜落事故以来、組織の建て直しを進める国民航空。恩地の異動先は、会長室だった・・・。

『沈まぬ太陽3』感想 (ネタバレあり)

利根川総理にたのまれて国見会長が国民航空の再建に乗りだします。この国見さんには好感が持てました。人の痛みが分かる真面目な経営者という印象です。

国民航空の再建

国見さんが目指すもの
  • 絶対安全の確立
  • 労働関係の安定化
  • 経営体質の刷新
  • 公正な人事の確立

やっちゃって下さい!!・・・と思いながら読んでいました。恩地さんを側におき、行天さんを常務取締役にします。

国民航空は組合が4つに分裂していました。まずはその統合を計ろうとします。そのために設立された「会長室」。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
いままで日陰だった恩地さんに、やっとスポットが当たりました!

でもうれしく思ったのも束の間・・・。事態はそこまで甘くはなかったんですね。

権力とお金にまみれた世界

御巣鷹山 飛行機事故から一年。でも4つの組合は統合するどころか事態はいっそう悪くなるばかり・・・。その裏には私利私欲にまみれたトップや政治家の腹黒い思惑がありました。

こんな世界はイヤだ!

思わず叫びだしたくなってしまいました。ドロドロすぎて何がなんだか分からない。十年の先物予約、ニューヨークのグランドホテルなど。

人の醜い争いが見事に描かれています。何度も絶望感に打ちひしがれる国見会長がかわいそう。

ひつじくん。
ひつじくん。
権力やお金がまじると怖いね。

最も危険な動物

本書を読んで固まってしまった場面がありました。

恩地がグランドホテルの視察に来たときに立ち寄ったところ。ニューヨーク・ブロンクス動物園でのことです。

そこにある 「鏡の間」 には、こんな言葉が書かれていました。

THE MOST DANGEROUS ANIMALTHE WORLD
(世界で最も危険な動物)

鏡に映っているのは、自分自身・・・すなわち人間です。

この 「鏡の間」 は実際にあったらしいです。ただ、今はもう取り壊されてないようですが。魑魅魍魎がうようよ登場するこの小説を読むと、ウィリアム・コンウェイ博士によって設けられた 「鏡の間」 の存在が的を得ている気がしてゾッとしました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
世界で最も危険な動物は 人間・・・。

行天の最後

本書に掲載されているエッセイで、山崎さんは行天について語っていました。それも読みどころです。

大学の同窓でともに国民航空に入社した彼ら。主人公が海外をたらい回しされている時に、行天はエリートコースを順調に進んでいきます。

でも最後は横領が発覚、告訴されてしまうんですよね。

そして恩地は・・・

ラストはなんとも言えない結末。

やり切れなさと絶望感を感じます。これが世の中というものか・・・。無情です。

恩地は再びアフリカへ。アフリカの夕陽って凄いらしいですね。私は見たことないのですが。一冊目の「アフリカ篇」を読んだとき見てみたいなと思いました。

明日を約束する沈まぬ太陽。その夕陽を再び見て恩地は何を思うのでしょうか。

恩地モデルの小倉さん

『沈まぬ太陽』を読み終わったあとに主人公のモデルとされている小倉さんが気になりました。

小倉さんは定年退職後、アフリカ研究家、動物写真家、随筆家として活躍したようです。理不尽な僻地勤務の傍らアフリカの大自然に魅せられたのでしょうね。・・・少しだけ救われた気分になりました。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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