『スキップ』北村薫【時と人3部作】あらすじと感想 / 残酷な時のいたずら

- 北村薫さんの小説『スキップ』あらすじと感想
- 共感したところ
- 辛口レビュー (違和感の正体)
- 切なさが残る結末
少しだけネタバレあります。
「時と人」 3部作
北村薫さんの小説『スキップ』感想です。「時と人」 3部作の中の1冊『スキップ』『ターン』『リセット』からなります。
共感したところと、違和感を持ってしまったところについて書いています。辛口レビューもありますので 悪しからず。
『スキップ』あらすじ
時をスキップした少女の物語
高校生の瀬真理子は、ふとした瞬間、時をスキップしてしまう。気がついたら夫と娘がいる国語教師、42歳の真理子の姿だった―。
『スキップ』感想
SFのようで、でも主体は違うような印象を持ちました。青春小説のような感じです。17歳の女の子が時を 「スキップ」 して 42歳の女性として生きていく。
正直に言うと、あまり深みに入っていけませんでした・・・。レビューの評価は高い本なのですが。もちろん共感できたところはありました。
人生は1冊の本

共感したところ
わたしは、ひとつの物語である。誰もが一冊の本であるように。
本書に書かれている言葉。確かに 人の一生はひとつの物語です。本好きな私は この言葉にときめきました。人の人生を1冊の本に例えているのが素敵です。
でも もしその本が落丁だったら?
捨てるわけにはいかないから残された道は2つだけです。人生を終わらせるか、すすむか。本書の主人公は進む道を選びます。
17歳の一ノ瀬真理子は 目覚めると42歳の桜木真理子になっていました。
強制的に時をスキップしてしまった彼女。訳もわからず それでも42歳の桜木真理子として前を向いて進んでいきます。
健気で一生懸命の彼女を見ていると 私まで元気づけられるようでした。失ってしまった時を思うと切なさで胸がいっぱいになりますが・・・。
違和感の正体
なぜ違和感を抱いてしまったのか考えてみました。
17歳の彼女が42歳の人生をすんなり歩めてしまうところ。
一ノ瀬真理子は17歳の高校2年生です。時をskipしてしまった彼女は 国語教師としての人生を歩み始めます。
違和感を感じたところ
高2の女の子が 教師として高3の生徒を教えることが簡単に出来るものなのか?
ここに違和感を抱いてしまった私。物語に深く入ることが出来ませんでした。途中 17歳とは思えないベテランぶりにも馴染めません。
切なさが残る結末

北村さんの書かれる文章は好きです。主人公の 何があっても前向きに進んでいく姿勢も。
彼女の失ってしまった時を想うと切なくなりました。本当ならこれから歩んでいく人生を一瞬にして早送りされてしまうんです。
残りの学生生活、就職、そして結婚も・・・。
真理子が 42歳に馴染んでいく様子は 悲しくもありました。そんな中でささやかな幸せを感じることが出来たのは良かったです。
輝かしい高校時代
この小説を読んでいると、私も高校時代に戻ったかのような錯覚に陥ります。
桜木真理子として高校の国語教師をしていく主人公。生徒たちと触れあう場面では 懐かしさを感じました。
きっと社会人になった私と学生さんが読むのとでは感じ方が違うでしょうね。1人でほのぼのしていました。



