SF・ファンタジー

『魚舟・獣舟』上田早夕里【あらすじと感想】シュールな未来SF

驚異の未来都市

上田早夕里さん『魚舟・獣舟』
前に読んだ短編集『夢見る葦笛』が かなり面白かったんです。今度は長編を読もうと思ったのですが、その読もうと思っている物語の世界が、本作に短編として描かれていると知り・・・。先にこちらを読んでみることにしました。

『魚舟・獣舟』あらすじ

上田早夕里が描く未来都市!!

『魚舟・獣舟』
おすすめ
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【あらすじ】
表題作 「魚舟、獣舟」 をはじめ、息を呑む6つの短編集。

『魚舟・獣舟』感想

異形コレクションということで、ちょっとホラー感が強かった・・・。テーマは異形生物と人間、でしょうか。『夢見る葦笛』の方が好きかも・・・と思いながらも、やはり世界観は抜群でした。

完成された世界観に圧倒される!!

表題作『魚舟・獣舟』をはじめ、6つの物語が楽しめます。

【目次】
  • 魚舟・獣舟
  • くさびらの道
  • 饗応
  • 真珠の街
  • ブルーグラス
  • 小鳥の墓

「くさびらの道」 はホラー。幽霊がでてきます。
「饗応」 はショートショート。人工知能、ちょっとシュール。
「真珠の街」 もホラー。妖怪がでてきます。
「ブルーグラス」 は海洋SF。恋愛もの?

やはり世界観が素晴らしい!!

特に素晴らしかったのが、表題作 「魚舟・獣舟」 と 「小鳥の墓」 でした。その2作はジャンルでいうとSFです。「小鳥の墓」 は書き下ろしのようで、180ページくらいの中編です。・・・実は私が気になっていたのは、「魚舟・獣舟」 なんです。この2作品のレビューを中心に書きたいと思います。

表題作 「魚舟・獣舟」 レビュー

” 陸地の大半が水没した未来世界 ” という設定に心ひかれました。表題作 「魚舟・獣舟」 です。

陸地の大半が水没した未来世界

これは面白い!!

この作品、上田さんの長編『華竜の宮』に繋がっているようなんです。・・・それでこちらを先に読みました。でも短編なのでせっかくの世界観がもったいない気もしました。やはり長編で読みたくなります。

陸地の大半が水没した世界で、海上に暮らす一族。

そこには、ヒト型と魚の形で生まれてくる魚舟・獣舟がいました。

えっ、さかな!?

ヒト型は船で人として育てるけど、魚の形の片割れは海に放ち、やがて過酷な環境を生きのびて戻ってくると 「魚舟」 になる。でもまれに 「獣舟」 になってしまう片割れもいて・・・。魚舟だとか獣舟だとか異形の生物がでてきます。ギョっとしますが、その世界に引きこまれてしまうんです。

ちょっとシュールな物語

海上の暮らしを捨てて陸上で暮らす男が主人公です。

現代社会が崩壊した未来で、海上民と陸上民に分かれて暮らす人々。「獣舟」 は海上民にとっては誰かの兄弟なわけだけど、陸上民にとっては陸の資源を食い荒らす厄介もの。やむ得ず排除していく・・・。ちょっとシュールです。

人も魚も生存するためにはその環境に適応していかなければなりません。最後の 「獣舟」 の適応能力にはゾッとしました。

「小鳥の墓」 レビュー

「小鳥の墓」 は、人殺しの男のお話でした。

教育実験都市

世界観に圧倒される!!

これだけで本書の半分以上を占める中編。火星に住む主人公の男、ジョエルが人殺しになるまでを描いたシュールな物語です。

教育実験都市 (EEシティ)

幼少時代から子どもの教育に優れた街で過ごしたジョエルは、頭が良くハンサムな男の子でした。教育に特化した都市だけあって他人の大人でもみんな優しくて、犯罪などない平和なところです。でもそんな閉鎖的なところで暮らしていると息がつまる。

「外の世界」 に憧れる気持ちは分からないでもないかも。

ジョエルがああなったのは、やはり母親の面影を引きずってるのもあったんでしょうね。それにしても教育実験都市なんてものを作った人間に愕然とします。ここは文字通りの実験都市だったわけで・・・。前に見た映画『メイズ・ランナー』を連想しました。

『火星ダーク・バラード』に彼が!?

実はこの 「小鳥の墓」 も上田さんの長編に繋がっているようで、『火星ダーク・バラード』に彼が出てくるらしいです。読み終わってから知りました。こっちも読んでみたくなります。

少しホラー感があったけど面白かった。

短編集で言うと『夢見る葦笛』の方がSF感があり好きですが、こちらも大満足の一冊でした。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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