【上田早夕里】おすすめ小説|オーシャンクロニクルシリーズ順番|SF短編&長編

驚異の世界がここに!
上田早夕里さんの小説が最高に面白い!実際に読んで良かったものを紹介します。
- オーシャンクロニクルシリーズ(重厚で完成された世界観が圧巻)
- ヒヤリとするSF短編&長編小説

上田早夕里さんはSF小説が絶品の作家さんだよ。
世界観が半端なく良くて、ピリッと怖さもあるのが特徴です。圧倒されました。
オーシャンクロニクル・シリーズ読む順番|イチオシ海洋SF

上田さんのSF小説でイチオシなのがオーシャンクロニクル・シリーズ。重厚で完成された世界観が魅力です。
オーシャンクロニクルシリーズは、リ・クリテイシャス(大規模海面上昇)により、多くの陸地が水没した未来地球が舞台の海洋SF小説。
短編の中の1話~長編まで続くシリーズです。読む順番は出版順の方が良いかな。まとめました。
本編の長編は出版順で読んでください。『華竜の宮』上・下→『深紅の碑文』上・下ですね。

短編はスピンオフだから、この順番じゃなくても大丈夫。
長編以外は読まなくてもストーリーはわかるけど、上田さんは短編も面白い作家さん。まずは『魚舟・獣舟』(シリーズは表題作のみ)を読んでおくと、ざっと世界観をつかめます。
では、1冊ずつ簡単なレビューとともに紹介してきいますね。
『魚舟・獣舟』短編集
現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作。書下ろし中編を含む全6編を収録。
表題作「魚舟・獣舟」がオーシャンクロニクルシリーズになっています。物語は独立しているけど、陸地の大半が水没した世界観は一緒。先にこちらを読むと、長編『華竜の宮』に入り込みやすくなるので読みましょう。

他の短編も面白かった。ちなみに「小鳥の墓」は『火星ダーク・バラード』に繋がってるよ。

『華竜の宮』上・下(長編)
25世紀、大多数の陸地が水没した世界―。そこで暮らす人々は、陸上民と海上民に別れて暮らしていた。外交官である青澄誠司は、彼らの対立の仲裁に奮闘していた。その頃、この星に試練が再びおこることが発覚し・・・。
物語の舞台は25世紀。ホットプルームの上昇により陸地の大半が水没した世界です。外交官の青澄を中心に、官僚たちとのネゴシエーションなどの心理戦に重きをおいていました。

完成された世界観が重厚でハマった。

『リリエンタールの末裔』短編集
彼は空への憧れを決して忘れなかった―。長篇『華竜の宮』の世界の片隅で夢を叶えようとした少年の信念と勇気を描く表題作ほか、人間と技術の関係を問い直す傑作SF4篇。
表題作「リリエンタールの末裔」がオーシャンクロニクルシリーズです。リ・クリテイシャス以降の世界で、空を飛ぶことへの憧れや情熱が描かれていました。胸が熱くなる1話です。

『深紅の碑文』に主人公のチャムが登場するよ。
『深紅の碑文』上・下(長編)
陸地の大半が水没した25世紀。人類は 陸上民と海上民に分かれて暮らしていた。地球の危機、大異変が迫る中、資源を確保するために彼らの対立は増すばかりだった・・・。
『深紅の碑文』は、3人の登場人物が主軸として描かれていました。ラブカのリーダー・ザフィール、ロケットを飛ばすことを夢見る星川ユイ、パンディオンの理事長・青澄誠司です。人類滅亡の前に、それぞれの思いが交差する。

『華竜の宮』の主人公・青澄が好き。泣けるシーン満載だった。

『獣たちの海』短編集
陸地がほぼ沈んだ25世紀。海に生きる海上民と〈魚舟〉や〈獣舟〉の美しくも激しい生きざまを叙情的に描いた、待望の全作書き下ろし4篇。
『獣たちの海』は4つのストーリーがすべてオーシャンクロニクル・シリーズです。海に生きる海上民と魚舟視点の物語になっているのが新鮮でした。どれも面白くてシリーズを堪能できます。
短編「迷舟」「獣たちの海」「老人と人魚」、最後は中編「カレイドスコープ・キッス」が収録されています。

「老人と人魚」には新人類ルーシィが登場したよ。

初めて読む人はこちら|超面白い!上田早夕里おすすめSF小説

いきなり長編のオーシャンクロニクル・シリーズは敷居が高い・・・という方は、まずこちらを読みましょう。読みやすくて超面白いSF小説。驚異の世界が楽しめます。
- 『夢みる葦笛』短編集
- 『火星ダーク・バラード』
少し読み慣れてきたら、長編小説『破滅の王』もおすすめです。怖くて震えたけど、リアル感があって読み応えたっぷりでした。
『夢みる葦笛』短編集
妖しくも宝石のごとく魅力を放つ珠玉の傑作短編集。人工知性、地下都市、パラレルワールド、人の夢―あなたの想像を超える全10編を収録。
『夢みる葦笛』を読んで、上田さんの小説が好きになりました。10編すべてが素晴らしい。1冊でまったく違う世界観が楽しめます。人間にあってAIにはないもの。それを求めるAIと人間の関係・・・。

完成された世界観に圧倒された。

『火星ダーク・バラード』長編
火星治安管理局の水島は 神月璃奈とともに、凶悪犯ジョエル・タニを列車で護送中、奇妙な現象に巻き込まれて意識を失った。その間にジョエルは逃亡、璃奈は射殺されていた。疑いをかけられた水島は個人捜査を開始するが、その矢先、アデリーンという名の少女と出会う。
上田さんのデビュー作。本作に脇役として登場する殺人犯・ジョエル・タニの存在感が大なんですよね。彼は短編集『魚舟・獣舟』の中の1話「小鳥の墓」にも登場。『火星ダーク・バラード』も「小鳥の墓」も、読みやすくて面白かったのでおすすめです。

デビュー作から人間の改変は健在。
『破滅の王』長編
上海自然科学研究所に務める宮本は、日本総領事館の呼び出しに応じた。そこで依頼されたのは、治療法がない 「キング」 と呼ばれる細菌兵器の治療薬の製造だった・・・。
『破滅の王』は細菌兵器「キング」を中心に描かれた物語です。それを扱う人間や、実在の人物の元で行われた生体実験などにヒヤリとしました。リアルすぎて、フィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなります。「キング」よりも恐ろしいものは人間なのかも・・・。

すさまじく面白かった。
【上田早夕里】おすすめSF小説まとめ

上田早夕里さんのSF小説。オーシャンクロニクルシリーズと、その他の面白かった本を紹介しました。
【オーシャンクロニクルシリーズ】
- 短編「魚舟・獣舟」(2006年)
- 長編『華竜の宮』上・下(2010年)
- 短編「リリエンタールの末裔」(2011年)
- 長編『深紅の碑文』上・下(2013年)
- 短編『獣たちの海』(2022年)
【その他おすすめ】
- 『夢みる葦笛』短編集
- 『火星ダーク・バラード』長編
- 『破滅の王』長編

どれもハズレなし。おすすめだよ。


