【恒川光太郎】おすすめ短編&長編小説|絶対よむべき!美しいホラーファンタジー
美しいホラーファンタジー
恒川光太郎さんの小説で面白くてハマったものを集めました。実際によんだ中から厳選しています。
- 【最高傑作】絶品すぎるホラーファンタジー
- 【閉じ込められたくなる】魅力的な世界
- 【行ってみたくなる】魅惑の世界
- 【おすすめ長編小説】
恒川さんが描くホラーファンタジー世界が好きです。怖いけど足を踏みいれたくなる魅力があるんですよね。
美しい世界に魅了されるよ。
短編小説が多くてよみやすいのが恒川さんの小説。最後におすすめの長編も紹介しています。
『夜市』【最高傑作】絶品すぎる美しいホラーファンタジー|恒川光太郎
まずは、コレだけは絶対読んどけ!恒川さんの最高傑作です。
哀愁感じるホラーファンタジー
中編2作が収められていている『夜市』は、両方とも甲乙つけがたいくらいの絶品名作。好きすぎてKindle版とAudible版をポチっとしました。
ジブリアニメ「千と千尋の神隠し」を思わせる世界観が美しい2作品です。読後の余韻がなんとも言えず、哀愁を感じました。
ちょっぴり怖いけど、ほとんどファンタジーのような不思議な異世界が魅力だよ。
『夜市』
裕司から「夜市にいかないか」と誘われた大学生のいずみ。「夜市」 が開催される岬の森は、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。小学生のころに夜市を訪れた裕司は、弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。そのことをずっと後悔していた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたのだった―。
表題作「夜市」は、この世ならぬ不思議な市場が描かれた中編小説です。なんとなく『千と千尋の神隠し』冒頭部分の市場を思い描きました。
過去に「夜市」を訪れ、弟を売った兄。弟を買い戻すために再び 「夜市」 を訪れた彼は、弟を救うことができるのか?
深い哀しみに包まれたけど、この余韻がなんとも言えないんだよね。
切なくて美しさを感じる物語です。
『風の古道』
7歳のときに初めて迷い込んだ未舗装の道に、友だちと再び足を踏み入れた主人公。そこは大昔から日本にある特別な道だった。限られた人にしか見えない神々の道―。不思議な青年・レンに導かれながら家路を辿る途中でハプニングがおこる。友だちが拳銃で撃たれて死んでしまったのだ。彼らは友だちを蘇生させるために雨の寺へ向かうが・・・。
「風の古道」には不思議な未舗装の道がでてきて、どこか懐かしさを感じる物語でした。・・・どうやら古道は外から見えないらしい。
『となりのトトロ』ねこバスや、『千と千尋の神隠し』海につづく線路を連想したよ。
主人公が出会った不思議な青年・レンが魅力的な人物でした。
「風の古道」も「夜市」同様、哀しみに包まれるけど、その余韻が何とも言えなく良いんです。美しくて魅了されました。
『秋の牢獄』【閉じ込められたくなる】魅力的な世界|恒川光太郎
『夜市』の次にハマったのが『秋の牢獄』です。閉じ込められたくなる異世界が描かれた3つの短編集。
テーマは「牢獄」
この中の2つ「秋の牢獄」と「神家没落」が好き。
3つの短編集、テーマは「牢獄」です。異世界に閉じこめられてしまうストーリーでした。・・・そう聞くと怖そうなお話なのかなと思うけど、怖さより美しさが勝ります。
思わず「閉じこめられたい」と感じてしまうのは、さすがでした。
『秋の牢獄』
11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその日を何度もくり返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び11月7日が始まるのだった。このくり返しに終わりは来るのか。
表題作「秋の牢獄」は、時に閉じこめられる物語。時間ループものですね。11月7日水曜日を何度もくりかえしてしまう。時に閉じこめられた仲間は、主人公の他にもいました。
果たして この日に終わりはあるのか―?
無限にある時間は、少しだけ羨ましくもなっちゃった。
でも時間ループは、環境によってすごく残酷なことになる時があるんですよね。しっかりホラー感もあって、哀愁を感じるストーリーです。
『神家没落』
春の夜、男はほろ酔い気分で歩いていると一件の民家に出くわした。そこにはこの家を守っているという翁のお面をつけた老人がいた。家守の役目から開放された老人は消え、代わりに男が家守を引き継ぐことに・・・。
「神家没落」は家に閉じこめられる物語。誰かが訪ねてきて、家守を交代するまで家から一歩も出られない・・・。しかも家は移動するようです。ドアを開けたら別世界。
ジブリアニメ『ハウルの動く城』みたい。
神家の庭にある、井戸水とマンゴーのような果実が美味しそうでした。魅力あふれる場所です。
・・・でもタイトルは「神家没落」。やはり恒川さんの物語は哀愁を感じますね。
【行ってみたくなる】魅惑の世界|恒川光太郎
続きまして恒川光太郎さんの短編集より、思わず行ってみたくなる異世界が描かれた作品をピックアップしました。
もしそこに異世界へつづく道があったら、足を踏みいれてしまうかも・・・。
怖いけど行ってみたい。不思議な異世界が登場します。
『夜行の冬』|「竜が最後に帰る場所」より
幻想的な5つのホラー短編集
しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった―。
『竜が最後に帰る場所』より「夜行の冬」は、ちょっぴり怖いパラレルワールドを扱ったお話です。
この世ならぬ《夜行様》の後ろに続いて、一晩を歩き続ける。その先にあるものは今と違う自分―。
パラレルワールドだね。今よりも良い人生を求めてついていく気持はわかる。
でも結局のところ自分は自分のまま。自分以外の何者かになれるワケじゃないんですよね。少し苦味があるけど、それでも〈夜行〉は魅力的でした。
もしも真冬の夜中にシャランという鈴のような音がきこえたらご用心。
『銀の船』|「白昼夢の森の少女」より
10編のダークファンタジー
空を飛ぶ巨大な船がこの世界に存在すると、ずっと信じていた。青少年の自立支援プログラムで知り合ったまっさんも その船を見たことがあるらしい。ある日、短大生になったナナコの元に時空船ブリガドーンが現れて・・・。
『白昼夢の森の少女』より「銀の船」はファンタジー感が強い物語です。時空を旅する「銀の船」は、19歳までの選ばれし方に限り乗船できるものでした。
永遠に時空を旅する船ブリガドーン。そこにいれば時間は無限―。
永遠の時間は魅力的。でも永遠こそ牢獄だったりもするのかな。
大人になって信じなくなったことや目に見えないものが、もしかしたら存在しているのではないか。・・・そんなことを感じた小説でもありました。
『風天孔参り』|「金色の獣、彼方に向かう」より
不思議でホラーな世界4編
レストラン&宿・フォレストパークを経営する岩渡の元に、ある日、団体客が訪れる。彼らは「風天孔参り」をする団体であることがわかり・・・。
『金色の獣、彼方に向かう』より「風天孔参り」は、樹海に出現する風が集まる場所・風天孔をめぐる物語です。風天孔に入ると、その人は消えてなくなる。・・・異世界へ連れて行かれちゃうんですね。
風天孔という現象が神がかっていて神秘的なものに感じました。
怖いけど、惹きつけられる魅力があるのも確か。
『金色の獣、彼方に向かう』に描かれた4つの短編には、不思議な生物(妖怪?)がでてきます。「風天孔参り」は、風天孔の中にいると言われている雷獣でした。
『滅びの園』【おすすめ長編小説】犠牲の上にあるユートピア|恒川光太郎
最後に、恒川光太郎さんの長編小説より面白くてハマった一冊を紹介します。
突如天空に現れた、未知なるもの
ある日、とつぜん天空に現れた<未知なるもの>。世界で増殖する不定形生物プーニー。抵抗値の低い者はプーニーを見るだけで倒れた。世界を救う作戦は、ただ一つ―。
長編小説「滅びの園」は〈未知なるもの〉によって地球に住む人々の生活が脅かされるホラーファンタジー。
鈴上誠一が迷い込む想念の世界が魅力的でした。犯罪もなければお金の価値観もない異世界。まるでユートピアです。
私も想念の世界で暮らしたい。
ただこの幸せな世界が、地球で暮らす人々の犠牲の上に成り立っているとしたら? そんなに喜んでいられなくなるかもしれません。幸せは永くはつづかないものです。
タイトルは「滅びの園」だからね。
ちょっぴり残酷で苦味があったけど、その方が私好み。面白かったです。
【恒川光太郎】おすすめ短編&長編小説まとめ
絶対よむべき!恒川光太郎さんの美しいホラーファンタジーを紹介しました。おすすめ短編&長編小説です。
- 『夜市』
- 『風の古道』
- 『秋の牢獄』
- 『神家没落』
- 『夜行の冬』
- 『銀の船』
- 『風天孔参り』
- 『滅びの園』
『夜市』『風の古道』は絶対に読んだほうがいいよ。読まなきゃ損レベル。