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『獣たちの海』ネタバレ感想文・あらすじ|オーシャンクロニクル・シリーズ|上田早夕里

「獣たちの海」感想文
この記事に書かれていること
  • 『獣たちの海』あらすじと感想文
  • オーシャンクロニクル・シリーズ解説
  • 「獣たちの海」と「迷舟」
  • 「老人と人魚」期待の新人類ルーシィ
  • 「カレイドスコープ・キッス」アシスタント知性体・レオー

ネタバレあります。ご注意ください。

陸にいようが海にいようが、我々は等しく人間です

上田早夕里さんの小説『獣たちの海』読書感想です。楽しみにしていたオーシャンクロニクル・シリーズ4つの短篇集を読みました。

圧倒的な世界観が魅力の本編スピンオフ。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
今回はすべて海上民と魚舟視点での物語だったよ。

4篇どれも面白かったです。オーシャンクロニクル・シリーズ、好きだなぁ・・・と再認識しました。

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『獣たちの海』あらすじ・評価

オーシャンクロニクル・シリーズ

あらすじ

陸地がほぼ沈んだ25世紀。海に生きる海上民と〈魚舟〉や〈獣舟〉の美しくも激しい生きざまを叙情的に描いた、待望の全作書き下ろし4篇。

収録作品
  • 「迷舟」
  • 「獣たちの海」
  • 「老人と人魚」
  • 「カレイドスコープ・キッス」

【解説】オーシャンクロニクル・シリーズとは

オーシャンクロニクル・シリーズは、リ・クリテイシャス(大規模海面上昇)により、多くの陸地が水没した未来地球が舞台の海洋SF小説です。

その世界で生きていけるように、人間を改変して誕生した海上民や魚舟などが目を引きました。・・・もう、圧巻なんですよね。

短篇・長篇などたくさんあるけど、今現在(2022年3月)出版されているものをまとめると・・・

シリーズと出版年
  • 短篇『魚舟・獣舟』表題作のみ(2006年)
  • 長篇『華竜の宮』上・下(2010年)
  • 短篇『リリエンタールの末裔』表題作のみ(2011年)
  • 長篇『深紅の碑文』上・下(2013年)
  • 短篇『獣たちの海』(2022年)
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長篇『華竜の宮』と『深紅の碑文』が本篇で、短篇はスピンオフという位置づけです。すべてに共通しているのは重厚な世界観。

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ひつじくん。
ひつじくん。
世界観が半端なく良いんだ。

『獣たちの海』ネタバレ感想文|海上民&魚舟視点の物語

『獣たちの海』4つの短篇(うち、ひとつは中篇)すべてが、海上民&魚舟視点で描かれた物語です。

収録作品
  • 「迷舟」短篇
  • 「獣たちの海」短篇
  • 「老人と人魚」短篇
  • 「カレイドスコープ・キッス」中篇
ひだまりさん。
ひだまりさん。
短篇「老人と人魚」が一番好き。

哀愁を感じて泣きました。ルーシィも登場したからテンションが上がりますね。

「老人と人魚」を含め、それぞれのレビューを書いています。まずは表題作「獣たちの海」から。

短篇「獣たちの海」と「迷舟」

ひときわ目を引いたのは、表題作「獣たちの海」。

魚舟視点なんです。魚舟が自分の片割れ(朋)と出会えずに獣舟へ変わっていく様子が描かれていました。自分では何がなんだかわからないまま獣舟へと変貌していく・・・。

猛烈な空腹に見舞われるようになった。食べても食べても腹が減る。空腹であることが苦しくてたまらない。眩暈がするほどにひもじい

ひだまりさん。
ひだまりさん。
そうだよね、何がなんだかわからないよね。

獣舟は陸上民に煙たがられる存在だけど、この世に生まれた以上、生きる権利はあって・・・。このストーリーを読んで獣舟にも愛着がわきました。

1話目「迷舟」は、自分の片割れ(朋)と出会えなかった海上民の物語です。

自分の朋と出会えない・・・。彼にとっては、自分のなかに決して埋まらない穴が空いたような感覚かもしれませんね。

でも「迷舟」と出会って交流するうちに、その穴がうまっていく。最後はしんみりしたけど良いストーリーでした。

ちなみに

「迷舟」とは、既に誰かと血の契約を済ませたけど、何らかの理由で船団からはぐれた魚舟のことです。

ひつじくん。
ひつじくん。
はぐれちゃうんだ。戻れるとよいけど・・・。

短篇「老人と人魚」期待の新人類ルーシィ

「老人と人魚」に期待の新人類・ルーシィが登場!

ルーシィとは、陸上民がつくりだした〈大異変〉が起きても深海で生き延びられる新しい人類。本編『深紅の碑文』でチラッと出てくるんです。

ルーシィについて「老人と人魚」にこんな描写がありました。

人魚、という言葉が頭に浮かんだ。海獣よりは人魚、伝説の生きものだ

人魚。・・・ちょっと神秘的ですね。

これから迫りくる〈大異変〉に備えての新人類。ルーシィは海上民の希望になりえるかもしれません。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
長編『華竜の宮』『深紅の碑文』と続き、次はルーシィに注目!

ルーシィが出てきてテンションあがったけど、実は「老人と人魚」はちょっぴり切ない物語なんです。ひとりの男の死出の旅を描いたストーリーでした。

海上民の男(老人)は死出の旅に出る。迷い込んできたルーシィ(人魚)とともに・・・。

哀愁感じるストーリーにひかれます。でもルーシィがいたからか孤独感はなく、最期は静かに海に沈む。この描写が美しかったです。

中篇「カレイドスコープ・キッス」アシスタント知性体・レオー

ラストの中篇「カレイドスコープ・キッス」は、アシスタント知性体が登場する物語。

アシスタント知性体といえば『華竜の宮』や『深紅の碑文』に、青澄の相棒としてマキが登場しましたね。マキがいれるコーヒーが美味しそうでした。

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ひつじくん。
ひつじくん。
マキは人型だったけど、「カレイドスコープ・キッス」主人公の相棒は人型ではないんだ。

銀色の腕輪です。主人公の少女はアシスタント知性体に「レオー」と名づけました。

人とアシスタント知性体。

オーシャンクロニクル・シリーズには、アシスタント知性体がちょいちょい登場して、その関係性が興味深いんです。

ただのアシスタントというだけではなくて、人に深く寄り添う。まるで旧知の友のように。アドバイスは的確だし、もはや欠かせない存在になっていました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
私もほしい。

海上都市マルガリータ・コリエで育った少女と、アシスタント知性体のタッグが良かったです。海上民のために全力をつくす彼女に好感が持てました。

陸にいようが海にいようが、我々は等しく人間です。人間が人間に尊敬の念を抱かずして、人類の存続が可能だと思いますか

海上民の生活を守るために奮闘する彼女が、『華竜の宮』や『深紅の碑文』に登場する青澄に重なります。

4つのストーリーの中では、「カレイドスコープ・キッス」が一番本篇に近い印象でした。

海上民の生きざまに胸が震える『獣たちの海』

オーシャンクロニクル・シリーズ『獣たちの海』、4篇とも素晴らしい。海上民や魚舟の生きざまに胸が震えました。

ひつじくん。
ひつじくん。
このシリーズ好きなら読むべき。

オーシャンクロニクル・シリーズを読んだことない人にもおすすめです。本篇を読まずに先に読んでも面白い。

こちらを読んで気になったら、ぜひ本篇も・・・。

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