『ちょっと今から仕事やめてくる』あらすじ・感想文|ブラック企業とやめる勇気|北川恵海

- 北川恵海さん『ちょっと今から仕事やめてくる』あらすじと感想文
- 笑わなくなった主人公と陽気なヤマモト
- 泣いたシーン
- 決断する勇気
少しだけネタバレあります。
働く人は誰もが共感する!
北川恵海さんの小説『ちょっと今から仕事やめてくる』感想です。このタイトルにひかれる人、とても多いのではないかな。
本屋さんに行くたびに立ち止まり、今までスルーしてたのだけど、やっぱり買ってしまいました。
『ちょっと今から仕事やめてくる』あらすじ・評価
働く人なら誰もが共感!
隆が入社した会社は まさかのブラック企業だった。身も心も疲れ果てた隆は 線路に飛び込もうとするが、1人の男に助けられる。彼は 同級生の 「ヤマモト」 と名乗ったのだが、実は、本物の同級生は日本にいないはずだった・・・。
『ちょっと今から仕事やめてくる』ネタバレ感想文
私も言ってみたい。「ちょっと今から仕事やめてくる」・・・と。
タイトルを見るとエッセイか何かなのかな?と思うけど、小説なんですよね。
ブラック企業に勤めて心身衰弱していく主人公が登場します。1人の青年に出会い、立ち直っていくストーリーでした。
もしも会社がブラック企業だったら?

もしも勤めている会社がブラック企業だったら?
我慢して働くか、辞めるか。昔はブラック企業でも我慢して働く人の方が多かった印象です。けど、ここ最近は転職するのにも抵抗がなくなっていますね。
パワハラやセクハラなどにも敏感になる企業が増えつつある。まだまだ浸透しているとは言い難いけど良い風潮です。
『ちょっと今から仕事やめてくる』で描かれている上司は最悪でした。こんな環境だったら鬱になるのも頷ける・・・。1日の大半は職場で過ごすから、ギスギスしてたらイヤですよね。
笑わなくなった主人公|サザエさんシンドローム
主人公の隆は鬱になりかけていました。
仕事が上手くいかず、上司には怒鳴られる毎日。いつしか笑顔が消えていく・・・。これは危険な信号です。日曜日の夕方からテレビを見なくなる。
サザエさんシンドロームという言葉があります。
日曜日の夕方から深夜にかけてうつ状態になる症状。翌日の月曜日から仕事・通学しなければならない・・・という現実に直面した時に体調不良や倦怠感がおこる。
サザエさんは日曜の夜の放送でした。もしかしたら、あの幸せな一家団欒の風景に孤独感を感じてしまう人もいるのかもしれません。
私は土日祝など関係ない仕事についているから、その呼び方に違和感があるんですよね。でも連休明けはやはり憂鬱になったりもします。
それでもがんばって起きて仕事に行くのが休日の次の日の日課。
陽気なヤマモト
心身衰弱していた隆が無意識に線路に飛び込もうとした時、青年に助けられます。同級生の「ヤマモト」と名乗る不思議な彼。陽気なヤマモトに隆の心はほぐれていきました。
ここら辺は、ちょっと現実離れしているように感じました。・・・そんなんで治るものでもないと思うけど。
主人公は気分も上がり仕事も上手くすすむ。
でも人生はそんなに甘くないんです。仕事にクレームが入り、また落ち込んでしまう。上がったり下がったり、うまくはいかないものですね。
すっかり打ち解けた様子の2人だけど、実はヤマモトは同級生ではなかったのです。しかも、ほんとうの山本純は自殺していました。
幽霊だと信じ込んでしまう隆。この主人公、どこまで純粋なんだろ。突っこみどころ満載です。
泣いたシーン|人生は誰のためにあるのか

泣いたシーンがあります。隆が屋上から飛び降りようとしたところ。
人生は誰のためにあるのか。
もちろん自分のためですよね。でもそれだけではなくて、大切に思ってくれている人のためにもあるということ。
自殺をするのは勝手だけど、残された人たちの気持ちを思うと・・・。隆が実家の母親に電話をかけるところ、父と母の息子を思う気持ちが優しくて泣きました。号泣です。
決断する勇気|死にたくなるくらい辛い職場だったら辞めてしまおう!
死ぬか、辞めるか。死にたくなるくらいの辛い職場だったら辞めた方がマシ。
もし自分がブラック企業に勤めていて心身ともにボロボロになってしまっていたら・・・。1番大切なのは自分自身です。そして私ひとりの命ではないということ。
主人公は友達によって助けられたから良かったけど、自殺をしてしまっては元も子もありませんね。その前に「ちょっと今から仕事やめてくる」と決断する勇気が大切。


