『アキラとあきら』あらすじ・ネタバレ感想文と爽快な結末|池井戸潤
- 『アキラとあきら』あらすじと感想文
- 彬と瑛、それぞれの宿命
- メガバンク産業中央銀行の新人研修
- カネは人のために
- 東海郵船の運命とWアキラの決断
少しだけネタバレあります。
試練を乗り越えろ!
池井戸潤さんの小説『アキラとあきら』感想です。池井戸さんの本を読むのは『下町ロケット』『ガウディ計画』以来でした。
向井理さん×斎藤工さんW主演。WOWOWドラマ化されましたね。
700ページと読みごたえがあったよ。でも面白くてサクサク読めた。
『アキラとあきら』あらすじ
向井理×斎藤工W主演!
零細工場の息子・山崎瑛と大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬。生まれも育ちも違うふたりは、互いに宿命を背負い、自らの運命に抗って生きてきた。やがてふたりが出会い、それぞれの人生が交差したとき、かつてない過酷な試練が降りかかる。逆境に立ち向かうふたりのアキラの、人生を賭した戦いが始まった―。
『アキラとあきら』ネタバレ感想文
最後にスカッとするのが心地よい。ラストは爽快そのものでした。
しかもボリューミーなので読み終わったときの満足感が半端なかったです。
面白かった。
W主演!!彬と瑛
向井さん演じるのは、大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬(かいどうあきら)。斎藤さん演じるのは、零細工場の息子・山崎瑛(やまざきあきら)。
生まれも育ちもまるで正反対な彼らは、お互いに宿命を背負い、別々の人生を歩んでいきます。
自らの意志で人生を選んできたエリートと、自らの能力で人生を切り開いてきた天才。
2人の人生が交差するとき、新たな困難がふりかかる・・・。バブルで日本が沸いていた時代からバブル崩壊の激動の時代が舞台でした。
バブル崩壊したのって、私が中学生くらいの時。
銀行も潰れるんだとびっくりした記憶があります。私は超就職氷河期世代。短大を卒業したけど就職難でした。バブル期の好景気だったころの記憶は曖昧です。
それぞれの宿命
主人公2人の幼少期から、恋愛、就職、結婚までの人生が描かれていました。そんな中で感じたのが彼らの「宿命」です。
東海郵船の御曹司・彬は、家業を継がず自らの意志でメガバンクに就職。生まれながらのエリートです。
家のしがらみがすごい・・・。
恵まれているからって良いわけじゃないんですね。彼は自分の意志で人生を切り開くけど、結局しがらみからは逃れられないんです。
東海郵船の御曹司として生まれてきた彼の宿命をひしひしと感じました。
零細工場の息子として生まれた瑛もまた、同じメガバンクに就職します。
でも、それまでは過酷な人生だったんですよね。父の経営する工場が潰れてしまったり・・・。幼少期は瑛の視点の方が多めに描かれていました。
そんな瑛にも宿命を感じた。
メガバンク産業中央銀行の新人研修
別々の人生を歩んできた瑛と彬は、幼少期を経てやっと接点ができます。メガバンク産業中央銀行への就職。
新人研修が面白かったよ。
実践形式の融資戦略研修です。融資を申し込む会社役と、融資するかを決める銀行役に別れて戦略を考える。・・・ロープレのような感じですね。
会社側の階堂彬チームvs銀行側の山崎瑛チーム。
融資を申し込むチームは会社の存続がかかっているから必死です。でも業績は赤字続きで、とうてい融資を受けられそうな状態ではないものでした。
彬チームはどんな手をつかい融資を申し込むのか?対して稟議書を作成する瑛チームは融資をするのか否か。
・・・えっ!粉飾!?緊迫感が伝わってきて内容にびっくりした。これは面白い。
カネは人のために
銀行マン、バンカーとしての仕事が細かに書かれていました。
担当の会社に寄りそい、共に経営を再建していくところに圧倒されるんですよね。こんなことまでやるんだ、と・・・。
会社を経営したこともなければ、バンカーでもない私が感じた感動でした。
知識ゼロで読んでも胸が熱くなるよ。
後半の東海郵船の危機、彬の叔父・晋が経営するロイヤルマリン下田の件・・・。奔走する彬と瑛はすごい。ハラハラドキドキの展開です。
融資をするのは、会社のためでも銀行のためでもなく人のため。
会社と銀行って二人三脚なんですね。人と人とのつながりが感じられて心が温まりました。
東海郵船の運命とWアキラの決断
池井戸潤さんの本は、働くことで得られる熱い気持ちを一緒に感じられます。
仕事って、決してお金のためだけではないんですよね。
下町ロケットほどではなかったけど、イヤな奴もたくさん出てきました。彬の叔父、崇や晋。彼らの経営はズサンでひどかった。最後は彼らの尻拭いをするハメに・・・。
Wアキラの決断が胸アツだった。
瑛が書いた稟議書の内容を知るまでは、どんな解決策が?・・・と読むのを止められなかったです。結末は、とにかく爽快!!
読み終わったときの満足感が半端なく良かったよ。