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『ジヴェルニーの食卓』原田マハ【あらすじ&感想】クロード・モネ

私のアトリエは、この空の下

原田マハさん『ジヴェルニーの食卓』の感想です。
4週に渡って1話ずつレビューを書いてきました。第4回目、表題作 「ジヴェルニーの食卓」 が最後になります。

ラストを飾るのはクロード・モネ。睡蓮の絵が有名ですね。この小説の表紙にもなっています。

少しだけネタバレあります。

前回までのレビューはこちら

『ジヴェルニーの食卓』あらすじ

時代を切り開いた画家たちの物語。

『ジヴェルニーの食卓』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
モネ、マティス、ドガ、セザンヌ・・・。画家たちを描いた短編集。

クロード・モネ 「睡蓮」

モネと聞くと、ひだまりさん。が思い浮かべるのは、睡蓮を描いた風景画です。有名中の有名な絵画ですね。

確か学校の教科書だったかな。初めて目にしたときは、きれいだなと魅入ってしまった記憶があります。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
暖かなひだまりの中に描かれた睡蓮を見ていると、気持ちまで優しくなる。

この睡蓮、モネの家 (フランス、ジヴェルニー) にある庭の睡蓮なんですね。原田さんの小説を読んで初めて知りました。

「ジヴェルニーの食卓」 感想

モネの絵が身近に感じられる小説でした。そして2つの家族の物語です。

2つの家族

「ジヴェルニーの食卓」 では2つの家族が描かれています。

モネと妻・カミーユの家族と、彼を支えるエルネストと妻・アリスの家族です。

全く接点のなかった2組の家族がモネの絵を通して知り合い、一緒に暮らし、恋に落ちる・・・。やがてモネとアリスは結婚をします。

2つの家族がくっついたり離れたり1つの家族になったり・・・。その中で支え合う姿に感動を覚えました。

ブランシュから見たクロード・モネ

ひつじくん。
ひつじくん。
『ジヴェルニーの食卓』は実話を描いた小説だよ。

人物像はもちろん原田さんの創作です。でもネットで検索しながら読み進めていくと、これまでの3話と同様、実話に沿ったものになっています。

ブランシュや、彼女の母・アリス (後にモネと結婚する) や、友人のジョルジュ・クレマンソーなどの登場人物もちゃんと実在するし、モネが白内障になったことも・・・。

「ジヴェルニーの食卓」 は、モネの義理の娘・ブランシュの視点で描かれています。

現時点のモネを見つめる彼女と過去の回想。ところどころこれはいつの話?と混乱しましたが、彼を見続けたブランシュの想いが熱い。慕っているんだなと心が温まりました。

私のアトリエは、この空の下

モネの言葉が印象的でした。アトリエというと部屋の中のイメージですが、彼は違いました。

本当に、原田さんの言葉どおり。絵を眺めていると、風の音や太陽の光や輝く水面などの自然の風景を感じることができるんです。

モネと聞くと思い浮かべるのは睡蓮の絵と、先ほど書きましたが、やはり風景画のイメージが強いです。外がアトリエ・・・という言葉通りですね。

オランジュリー美術館 「睡蓮装飾画」

モネの睡蓮装飾画。
そのために建てられたのがオランジュリー美術館です。完成は1927年、モネの死後でした。

「ジヴェルニーの食卓」 では、その 「睡蓮」 を描いている頃のモネが書かれていました。なかなか筆が進まずに、期限が迫るなか、白内障にかかってしまったり・・・。

周りの人の支えがあり、手術をして、また絵を描きはじめた彼を見ていると、みんなに愛されていたんだなと感じました。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
原田さんの小説は 「愛」 がある。

一瞬とて、同じ風景はない

原田さんが描いたモネのことばが印象的でした。

目覚めて、呼吸をして、いま、生きている世界。この世界をあまねく満たす光と影。そのすべてを、カンヴァスに写し取るんだ。

光と影。そのすべてを、カンヴァスに写し取る。・・・力強いことばに圧倒されます。

妻・カミーユが亡くなってから、モネは外に出掛けなくなってしまいました。でもブランシュに引っ張られるようにして久しぶりに外の景色を見た彼。感動が伝わってきました。

自然って、一瞬なんですよね。雲も水も空気も光も影も、一瞬先には同じでは有り得ないんです。・・・そう思うと、この一瞬一瞬が尊く思えてきました。すべてをカンヴァスに写し取りたいと思う彼の気持ちに共感してしまうんです。

みんなでかこむ温かな食卓

この物語には食卓シーンが何度かでてきます。美味しそうなご飯のメニューとともに。その中で ひだまりさん。が印象に残ったところがあります。

モネと一緒に暮らしていたアリスやブランシュたちが、離れ離れにならなければいけない日の食卓シーンです。

モネの温かなことばにジーンとしてしまいました!別々の家族が、気持ちの上では1つの家族になった瞬間。

やがてジヴェルニーに家と庭を作り、モネは晩年をそこで過ごすことになります。庭の睡蓮を描きながら・・・。

小説を読んで絵画を鑑賞する

原田マハさんのアート小説『ジヴェルニーの食卓』。小説を読みながら絵画鑑賞したくなる一冊です。それぞれの画家の人生が垣間見えました。そして絵画にかける情熱も。

ひだまりさん。
ひだまりさん。
移りゆく 「一瞬」 が尊く思える。

とても素晴らしい物語たちでした。

『ジヴェルニーの食卓』より、他のレビューはこちら。

ジヴェルニーの食卓
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ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら

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