- ジェイムズ・P・ホーガンのSF小説『ガニメデの優しい巨人』あらすじと感想
- 優しい異星人・ガニメアン
- 相対性理論とタイムマシーン
- 人工知能ゾラック
- 明かされる人類の謎
少しだけネタバレあります
かつて存在していた惑星ミネルヴァ。そこで何が起こったのか?
ジェイムズ・P・ホーガンのSF小説『ガニメデの優しい巨人』感想です。巨人たちの星シリーズ2作目。前作『星を継ぐもの』がすごく面白かったので楽しみに読みました。
前作のレビューはこちら

『ガニメデの優しい巨人』というタイトルからも想像できるように、2作目ではガニメアン (異星人) と遭遇しちゃいます!未知との遭遇です。
最初の方は少し中だるみしたけど、途中から止まらなくなりました。最後は前作と同じく驚愕の結末・・・。
『ガニメデの優しい巨人』あらすじ
次々と謎が明かされる!?
木星の衛星ガニメデに不時着していた宇宙船は 2500万年前のものだった。ガニメアンの技術の進歩は凄まじいものがあった・・・。
『ガニメデの優しい巨人』感想
前作では 木星の衛星ガニメデの氷の下に埋まっていた宇宙船の発見により、身長8フィートの巨人・ガニメアンの存在が明らかになりました。
優しい異星人・ガニメアン

2500万年前にこつ然と姿を消したガニメアン。彼らにいったい何があったのか? そして絶滅したミネルヴァ固有の陸棲動物。惑星ミネルヴァで何が起こったのか?
・・・解明されるのかしらとワクワクしながら読んでいました。
本作ではガニメアンと遭遇します。
シャピアロン号に乗ってやってきたガルースやシローヒン。彼らはみんな優しいんです。争いはなく温和で何事にも慎重な性格。戦争を繰り返した歴史を持つ地球人とは大違いでした。
弱肉強食、戦争を繰り返してきたので そう見えるみたいです。最後まで読むと、そういう風になった地球人の理由が明かされるんですよね。
チャーリーやコリエルといったルナリアンの進化も・・・。思わぬところに巨人たちが関係していました。
相対性理論とタイムマシーン
元はミネルヴァに住んでいたガニメアン。ある目的のため惑星イスカリスにいました。それが失敗に終わり、シャピアロン号で惑星を離れたのが2500万年前。
絶句しましたが、これにはアインシュタインの相対性理論が関係しています。
時間は重力や速さの影響を受けるというもの。
不思議な現象です。地球では2500万年経っているのに シャピアロン号上ではわずか20年・・・。浦島太郎みたい。光速を越えることができれば タイムマシーンも実現するのかもしれません。
SFものを読むと想像が膨らみます。
人工知能ゾラック

おっ!と興味を抱いたものがありました。人工知能ゾラックです。
ハント博士やガニメアンたちは ゾラックを介して話ができます。人工知能の学習能力には目を見張りますね。何回かやり取りをするうちに、どんどん吸収していく。
先日 見た番組がすごかった。
NHKで放送されていた人工知能のスペシャル番組を見ました。(将棋の羽生さんが出演していたものです)
人間のような感情を持ち行動するロボットがいました。初めは何も出来なかったAIが学習を繰り返すうちに完璧に近づいていくんです。
車の自動運転だったり、医療分野だったり・・・。人間よりも正確に安全に。
すごいです。どんどん人間に近づいていく。何十年か先には ゾラックのようなAIと共存する社会も夢ではなくなるのかもしれません。
明かされる人類の謎
木星の衛星ガニメデの下に埋まっていた宇宙船の動物から、まったく新しい酵素が発見されました。・・・それはどんな働きをするものなのか?
他にも様々な謎があります。
- シャピアロン号が出発した後、ミネルヴァで何があったのか。
- ガニメアンは何のために地球の動物をミネルヴァへ運んだのか。
- ミネルヴァ固有の動物が絶滅したのはなぜか
徐々に解明されていく謎。今回もダンチェッカー (生物学者) によって 驚愕の内容が明かされます。
壮大な物語を読むと、その余韻に浸っていたくて少しの間ぼーっとしてしまいます。今回も しかり。ガニメアンが地球を離れた時、胸が熱くなりました。彼らは知っていたんだ・・・。
ラストは 次作『巨人たちの星』も読みたくなってしまう展開でした。巨人の星。そこはどんなところなんだろう?



