『黒い家』あらすじ・ネタバレ感想文|サイコパスの恐怖|貴志祐介
- 『黒い家』あらすじと感想文
- 限りなく黒に近い自殺
- 世の中で1番恐ろしいもの
- 人間の心を持たない情性欠如者
少しだけネタバレあります。
人はここまで悪になりきれるのか。
貴志祐介さんの小説『黒い家』感想です。めちゃくちゃ怖い・・・。
なんて言うんだろう、人間の怖さを感じました。
色で例えるなら『黒い家』というタイトル通りのダークな黒。どこまでも底なしの・・・。
『黒い家』あらすじ
恐怖の連続!!
生命保険会社で働く若槻慎二は、ひょんなことから顧客の独自調査にのりだす。その先に待ち受けていたのは、信じがたい悪夢だった・・・。
『黒い家』ネタバレ感想文
初めは怖くないんです。「なんだ、全然こわくないじゃん」と油断していると、静かーにじわじわとやってきます。
世の中で1番恐ろしいのは、幽霊でも虫でもありません。人間!!・・・ということを思い知りました。
めちゃめちゃ怖かった。
限りなく黒に近い自殺
保険会社に勤める若槻の視点で物語は進んでいきます。中盤から後半にかけては本当に怖かった・・・。とくに、最後の方はハラハラしました。
子供の首吊り自殺の第一発見者になってしまった若槻。父親の菰田重徳と一緒に・・・です。
子供は自殺なのか、それとも他殺なのか?
父親を疑う若槻。不審な行動があったからです。菰田重徳が怪しい。心象は真っ黒なのに、結局 自殺ということになってしまう。彼にはアリバイが・・・。
警察の見解に納得できない主人公は独自に調べ始めます。これから迫りくる恐怖の始まりでした。
貴志さんは保険会社で働いていたことがあるんだね。
仕事内容や裏事情などが詳細に描かれていました。死因にちょっとでも怪しいところがあると調査する。多額の保険金を支払うわけだから、調査も綿密になるわけです。
警察と同じように、人の死や犯罪などが身近に存在する職業。
世の中で1番恐ろしいのは・・・
『黒い家』で描かれているのは、サイコパスと化した人間です。良心や善意を持たない人のこと。
菰田夫妻が暮らす家は、まさに「黒い家」でした。若槻が経験したことは仕事の上で巻き込まれたとは言え、不運・・・と一言で片付けるのは可哀想。
こんな事がしょっちゅうあったら、命が何個あっても足りない。
毎日のように若槻を訪ねてくる菰田重徳。やがて無言電話が入るようになります。精神的にも肉体的にも参っていく若槻の描写は、神経がすり減っていく気分になりました。
人間の心を持たない情性欠如者
「人間らしい心」をまったく持たない人間。
『黒い家』では、それが極端に描かれていました。残酷な事件がおこると理解に苦しみますね。彼らのような人って、サイコパス?と思わずにはいられません。
そもそも「人間らしい心」って何?
同情、羞恥心、良心・・・。人の痛みがわからない人って、それらの感情が抜け落ちている情性欠如者?
凶悪な事件が起こる度に、彼らの心の中はいったいどうなっているんだろうと考えてしまう。
貴志さんの『黒い家』は、人の心を持たないサイコパスの描写が怖いんです。
登場人物のうち誰がサイコパスなのか。ぜひ本を読んで確かめて見て。
『黒い家』サイコパスの恐怖を感じた小説
『黒い家』は、サイコパスの恐怖を存分に感じられる小説でした。
貴志さんの本を何冊か読み続けているけど、どれも読み応えがありますね。今回の『黒い家』も。納得のホラー小説大賞大賞受賞作です。
ホラー小説にも少しずつ免疫力がついてきた。