- 住野よるさんの小説『君の膵臓をたべたい』あらすじと感想
- 号泣できなかった理由
- 僕と桜良の関係
- 桜良と僕の本音
- ガム男くん
少しだけネタバレあります
1日1日を大切に生きよう。
住野よるさんの小説『君の膵臓をたべたい』感想です。タイトルのインパクトが半端なく良いですよね。号泣はしなかったですが、途中ウルっとくる箇所はありました。
『君の膵臓をたべたい』あらすじ
余命わずかな彼女と僕。
ぼくが拾った本。それはクラスメイトの山内桜良が書いた日記帳だった・・・。
『君の膵臓をたべたい』感想
もし学生の頃にこれを読んでいたら、好きな部類の小説だったかもしれません。
ただ30代も半ばを過ぎ、小説に慣れ親しんできた私には、どうしてこの小説がここまでヒットするのか疑問に思いました。
ストーリー的には売れると思いますが、濃いようで薄っぺらな感じも否めません。・・・軽い。一見グロテスクなタイトルなのに軽くてびっくりしました。
今日のレビューは酷評もあります。私が号泣できなかった理由について書きました。
読みやすくて読みづらい?

マンガのような読みやすさ
読んで1番に感じたのが、サクサク読める文章の軽さです。本をあまり読まない人にも読みやすいんじゃないかな。
主人公の男の子と桜良の会話がユニークでした。他愛ない高校生の会話は微笑ましい。
でも読みやすさと同時に読みにくさも感じました。1回読んだだけでは誰が誰に向かって言ったものなのか理解出来ず、数回、同じ文章を読み直すこと度々。
圧倒的に好評価なレビューが多いのですが、同じように感じた方もいるようです。
こういう会話の面白さと軽さがあるから、膵臓の病気で余命わずかという内容なのに、全く重さを感じないのかな。
濃いようで薄い
感動したのは 一瞬のことでした。読み終わったあとに心に残るか?と聞かれると首をかしげてしまいます。文章が稚拙すぎて、そっちの方が気になってしまいました。
膵臓の病気で余命わずか・・・というのに、桜良が元気すぎやしませんか。
明るすぎるし、リアリティがなくて濃いようで薄い。だから心に残らないのかもしれません。綺麗なところだけをまとめて小説にした・・・という感じです。
それに、なぜ主人公の名前を最後まで隠す必要があるのか?
ミステリー小説を読みなれている人だったら感じることだと思います。何かある? と期待しながら読み進めてしまったんですよね。・・・結果、特に何もないではないか。落胆です。
伏線が全く生かされていない。
ある作家さんを連想する名前ではありました (志賀直哉と村上春樹?) が、それだけ? 完全に肩透かしです。
・・・酷評はここまで。小説を読んで良かったなと思ったことも書きたいと思います。
僕と桜良の関係

少し内容にふれますが『君の膵臓をたべたい』は、膵臓の病気で余命わずかな桜良が主人公の僕と残りの人生を過ごす・・・という物語です。
視点は僕。ひょんなことから彼女の病気を知ってしまい、彼女に振り回されながら過ごすうちに成長していく。
恋人でも、ただのクラスメイトでもなく。あえて彼らの関係に名前をつけるとすれば、友だち。
・・・ですが、そのひと言で括れないような曖昧な雰囲気が漂っています。
人に興味がない、本ばかり読んでいる僕。まるっきし正反対の彼女と一緒に過ごすことで、彼の心境が変化していく。
人との出会いって偶然や必然なのかもしれないけど、その人と関わるのかは自分の選択しだい。
・・・この考え方は好きです。今いる私は たくさんの選択をして出来上がった私なんだなと思うと しみじみしちゃいました。
主人公の僕のように、人と関わることで知らずの間にたくさんの影響を受けたり与えたりするんですよね。
桜良と僕の本音
全体的に軽い感じで進んでいくのですが、チラホラと桜良の本音に出くわすと心が締め付けられました。
軽さの中に突然でてくるとビクっとなります。読み手は彼女の心情を想像で補うんです。書かれてないから。そこに泣いてしまう人もいるんだろうな。
ラストにウルっときました。
彼女が残した「共病文庫」の内容。そして遺書を読んだとき。
ただ桜良の死は突然すぎて、あ然としました。この展開ってあり?・・・無理やりな感じがします。
彼女と一緒にいるうちに彼が素直になっていく。思えば本音ってなかなか人前では言えてないかも・・・。だから彼の素直な言葉にぐっとくるのかもしれません。
最後のメールが彼女に届いていてよかったと思いました。(届いてますよね?) この辺り、ジーンとします。
気になるガム男くん
素敵な物語だとは思いますが、それだけ。・・・正直、これが絶賛されてる意味がわからない。
主人公や桜良のキャラも個性的だけど、それよりも気になったのが、僕にガムを差しだすクラスメイトの男の子。
このガム男くん、ちょこちょこしか出てこないけど、いい奴なんだろうなと思いました。



