ヒューマン・ラブストーリー

『百貨の魔法』村山早紀 / 古き良き時代のデパート星野百貨店

星野百貨店のフロアで、もし、猫と出会ったら?

村山早紀さん『百貨の魔法』。
2018年 本屋大賞ノミネート作品の1つです。職業がら百貨店には馴染みがあるので楽しみにしていたのですが・・・。高評価なところ申し訳ないのですが、私には合いませんでした。

『百貨の魔法』あらすじ

「星野百貨店」 で繰り広げられる魔法のような物語!

『百貨の魔法』
おすすめ
かんどう
いがいさ
サクサク

【あらすじ】
古き良きデパートで働く従業員の物語。時代の波に抗えず、その存続が危ぶまれる星野百貨店。そこには様々な人の想いがあふれていた―。

表紙が可愛くて目を引きます。ちゃんと読めば感動もするのかもしれません。・・・ので 「オススメ度」 と 「感動」 は ★4つにしましたが、そこまで面白いとは思えず。登場人物がみんな清らかすぎて現実味に欠けるような気がしました。ファンタジーにリアルを求めてはいけないけど、その世界に浸れなかったです。

『百貨の魔法』感想

ここで描かれているのは、古き良き時代のデパートです。

エレベーターガールがいて、ドアマンがいて、屋上にはメリーゴーランドがあって・・・。昭和の、どこか懐かしさを感じる風景ですね。でも子どものころは敷居が高かったなぁ・・・。なんとなくちゃんとした服装をしないと入れないような気がして、気後れしてました。

・・・時代は変わるものだ。

本書で描かれている 「星野百貨店」 は、時代の波に抗えず、その存続が危ぶまれる経営状態でした。その中で繰り広げられる人間ドラマ。・・・ちょっぴり不思議で温かくて、ジーンとします。良い物語なんだなということは伝わってきました。

外側から見た理想のデパートと店員さん

村山さんが描く 「星野百貨店」 は、お客さま側から見た理想のデパートなんだなと感じました。

いつも笑顔の店員さん。百貨店は お客さまの願いを叶えてくれる場所。

そこで働く従業員が主人公のお話なのに、なんとなく内側じゃなくて外側から眺めた世界という印象を受けました。・・・なんて言うんだろう。まず店員さんはこうあるべきだという理想があって、それを全てのキャラに当てはめたような。

・・・綺麗すぎるんですよね。

そう感じるのは、ひだまりさん。が 百貨店で働く内側の人間だからかもしれません。裏を描かずに表のキレイなところを並べて小説にした、、、という感じです。

登場人物がみんな良い人すぎるんです。荒んだ人が1人もいません。いくら笑顔を絶やさない店員さんでもムカついたりもするし、様々な感情が湧き上がったりもしますよね。そういうのが一切なくて、お客さまの喜びが一番の幸せ~、、、という従業員ばかり。

理想ではあるけど、実際こんな人 なかなかいないでしょ。

そんなことを思ってしまったひだまりさん。冷めた気持ちで読んでいました。・・・私は心が荒んでいるのかしら ^_^;

だから ところどころ飛ばし読み。最後まで読んだのは、本屋大賞ノミネート作品だからです。たぶんそれがなかったら、途中で断念していただろうなと思います。

・・・と、酷評はここまでにしておきますね。
飛ばし読みしていた ひだまりさん。ですが、それでも心に響いた言葉がありましたので、ここからは それを紹介しながらのレビューです。

魔法を使う猫

「星野百貨店」 には 七不思議・・・ではないのですが、噂の子猫が登場します。

金目銀目の白い子猫。見つけて話を聞いてもらえば願い事が叶う。

短編のどれもがファンタジックなもので、ほっこりします。

魔法を使うねこ。もしも出会えたら、何をお願いしますか?

登場人物のほとんどが過去を引きずっていて、切なさもあとを引きます。ひだまりさん。の好きな物語は、「夏の木馬」 でした。切なくて温かなお話です。

どの物語も白猫がふらっと登場して、主人公たちの願いが叶っていく・・・。その辺りがファンタジーで不思議な世界に迷い込んでしまった感覚になりました。

本当にネコはいるのでしょうか?

魔法の夢

すてきな言葉がありました。

“魔法を使う猫” がいるのかと子どもたちから尋ねられたエレベーターガールのいさな。彼女は子どもたちに、そんなネコはいないと言うべきか迷っていました。彼女にアドバイスした同僚の言葉が心に残ります。

おとなの役割はきっと、子どもを無理に夢から覚ますことじゃないわ。でね、魔法の夢を見ていた時代は、あとできっと、幸せな思い出になるの。

この文章をよんだときに、小さいころ信じていたサンタクロースを思いました。ここで言う魔法の夢をみていた時代です。

歳をとり 気付かぬうちに自然と夢から覚めてしまいましたが、サンタさんを信じていたときのことは、いまでも幸せな思い出として心にあります。

サンタさんから手紙をもらったクリスマスの朝は、とても嬉しかった。(←たぶん父が書いた手紙)

いま思うと かけがえのない思い出です。“おとなの役割は、子どもを無理に夢から覚ますことじゃない” その夢がいつか子どもが大人になったときに、すてきな思い出に変わる。

そんな思い出がたくさんある人ほど心が豊かなんじゃないかなと思います。

共感したことば

思わず共感したことばがありました。

誰かに褒められると、ありがとうございます、と慣れた感じでお礼をいいつつ、心の中では、「よっしゃ」 と、いつだって叫んでいるのだ。

この部分です。

ひだまりさん。は 単純なので、褒められるととても喜びます。

それがお客さまからだったりしたら、澄まして 「ありがとうございます」 と微笑むのですが、心では 「よっしゃ!」 とガッツポーズ。トルソーに着せたお洋服を、そのまま全身買っていただけたときとか・・・(*´`) 嬉しくて小躍りしてます。

接客って楽しいんですよね。もちろん嫌気が指すことも度々ありますが、あまり苦になりません。ここで描かれているような心清らかな店員さんには到底及ばないけど・・・。

百貨のあるべき姿

百貨で働くひだまりさん。(正確に言うと、テナントとして入っているショップ店員ですが)
本音を言うと、百貨店はさまざまな規則があるから、若干の面倒くささと負担があったりします。

でもそれがあるからこその百貨で、お客さまも安心して買い物を楽しんでいただけるのかな。

・・・そんなことも思いました。ハマれなかったけど、百貨店のあるべき姿を再認識できた小説だったので、結局は読んで良かったのかな。ただ、私にはキラキラで眩しすぎる小説でした。

ABOUT ME
ひだまりさん。
ゆるりと本をよんでいます。ミステリー、ホラー、SF、ファンタジー、何でもよみます。ほとんど小説、ときどき絵本。→ 詳しいプロフィールはこちら
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